あらすじ
成績優秀、世渡り上手なリア充高校男子が絵を描く喜びに目覚め、美大を目指す! 藝大実技1次試験、ハプニングがあったもののなんとか乗り切った八虎。そんな中、龍二が試験を放棄したことを知り2次試験への準備に集中できなくなってしまう…。 読めば何かを始めたくなる! 超話題の伝染性青春漫画、待望の第5巻!
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スクールカースト上位のリア充高校生が、知識・経験ゼロの状態から美大を目指す青春物語です。
第1巻では、それまでやりたいことも情熱を注ぐようなものもなかった主人公が、絵を描くと自分の好きなものと向き合うことができる、と気づくシーンが印象的です。
彼は、美術の授業で「私の好きな風景」という課題を与えられ、「まどろみの中で青く見える早朝の渋谷」が好きだが、それを好きと言うことを怖がっていた自分を自覚します。
そして、完成させた絵を褒められたことで、彼は美術に関心を抱き、実質倍率200倍(!)の超難関大学である東京藝術大学を目指すことになるのです。
「好きなことは趣味でいい」とよく聞く大人の理論がありますが、それを言い訳にせず、好きなことに人生を賭けようとする主人公の若さとひたむきさが眩しい作品です。
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Posted by ブクログ
ユカちゃん周りで気になったこと全部(多分)解消されて良かった。大分引っ張ったなあ。別に押しつけられていた訳ではないし、きっと(微妙に理想とはずれながら)唯一味方をしてくれるお祖母ちゃんも好きではあったんだろうけど、いざ本格的に目指し始めて、実はやりたいこととずれていたということに初めて自覚して、そのズレに気づいて苦しくなって。
ジェンダーだけではなく、彼(自認がどっちかは分からないし、以前(多分素に近い方で)は一人称が俺だったからこう書くけど)の絵描きとしての悩みみたいなところもしっかり描かれていて良かった。そういう文脈でも自由に見えて型枠に押し込められそうで苦しむキャラクターなのかも。
苦しんだ結果、分かりやすいカテゴライズに自分から迎合しようといってしまったりするのも悩み方として良かった。でもそれって理解じゃなくてカテゴライズだよな、という八虎の言葉も含めて。
性自認と性的志向は別のものだと思うけど、多分そうはみてくれない人もいるし、多分彼はいわゆる「女性」の格好が好きなだけで、別にそのものになりたい訳じゃないんだろうな。今こうして書くために参照している概念も、やっぱりいわゆるマイノリティによった二項対立的なもので、それはカテゴライズを否定するような話とは少しそぐわない気もするけど、今考えたことを記すにはこういう言葉しかもってないから、とりあえずこれで...。
互いを理解し合おうと踏み出すまでのドラマ(流れ)も凄く良かった。こういう関係をもう少しみたいなあ。
仲は良いけどコンプレックスの源になってる、桑名姉とマキも好き。
ユカちゃんと矢虎の自分探し旅、とても泣けた。
ユカちゃんの気持ちと想いを吐き出してるところも泣けた。
今回は矢虎だけじゃなくユカちゃんにも共感した。
とても引き込まれる作品です。
おすすめです!
ストーリーはもちろんだけど、絵柄がかっこよくて好きです!!それぞれの夢に向かって頑張る姿は最高に応援したくなります。
Posted by ブクログ
熱いなあ
この作品はエンタメとして成立させつつ、魂が乗ってるのがすごいなあ
ユカちゃん周りの話は特に面白いですね
個人的にはユカちゃんとかヨタスケくんを主人公に据えるべきだと思ってしまう
ここまで読んで思った。これってただ美術大学入りたくて頑張る漫画じゃないんだって。
うまい言葉が出ないけど、人として生きるのがどういう事かとか、難しいことを考えさせられる。
流し読みできないと思った。
Posted by ブクログ
ここまで読んで今さらですが、このマンガって、藝大や美大受験ってこんなんなんだ、ってのがよくわかります。
今回は2次試験対策~当日まで。
画材持って8階まで階段で上るって考えただけでも死にそう。
八虎、目の痛み?でぐらぐらしているのが気になります。無事受験できるのか?(いやたぶんできるんだろうけど)
そして今回はユカちゃんの話に動きがあります。
ユカちゃんの親父・・・ユカちゃんのお部屋にあった大事なもの全部捨てるって鬼畜の所業。この親父のやったことって引きこもりのゲーマーのゲームを無理矢理捨てるのに似ている。これ親が1番やったあかんことやん。
さらにおばあちゃんの的外れな気遣いが・・・
でもこのおかげでユカちゃんも自分らしく生きる道を模索していけそうな感じなので、あのクソ親父のやったことでも悪いほうには行かなくてすむのかも・・・
ひょっとしてこの話って、美術を通して無難な自分を演じて武装している主人公がどこまで心が裸になれるかを描いた話なのか・・・なんてことをふと思ってしまった。
ユカちゃんの真相が明らかに。
前巻でユカちゃんが大きいバツを書いて試験会場を出て行った深層が明らかになりました。自分の好きなものがはっきりと分かっている、かっこいい存在として描かれていたユカちゃん。しかし、ユカちゃんもかなり悩んでいたことが分かり、「なんかちょっとつかめないキャラ」だったのが、親しみを感じるようになりました。そんな心温まるシーンも束の間、八虎の目は大丈夫なのでしょうか... 不穏な予感がします。
Posted by ブクログ
"周りの人から見た自分"というものにがんじがらめになっていた二人が、セルフヌードを同時に描き、自分を見つめる作業をしている過程は胸に迫りました。お互いがお互いをケアするのではなく、自分が自分を見つめることで、葛藤に向かい合っていく。きれいなところも汚いところも、かっこわるいところも。一人では自分を見つめることができなかったけれど、なんて名称になるのかよくわからない不思議な関係の二人が、一緒になら、自分を見つめることができたんですね。誰かがそばにいることで。青年期の、自分とは何か悩む過程、自分の凡人さを感じて吹っ切れた部分、何かを描き、受験というプロセスを経て、成長していく様子は、就職率とか、生産性とか、そういう軸なんてちっぽけに感じられるくらい、もっと根源的な問いの答えをもらえる気がします。いい作品に出会えたな。
Posted by ブクログ
真面目過ぎると切り替えや気分転換は
中々上手くいかないと思う。
奇を衒う必要はない、
結果を求めた人に結果が全てじゃないなんて言わない
と先生が言ってくれるところが良い。
八虎は違うと思っても納得がいったらすぐ反省して
自分を恥じて改めようとするのが凄いと思う。
絵もそうだし、人間関係もそうだ。
龍二に電話をするまではやれても、
鬱陶しそうにされて「何かして欲しいことないの」
と食い下がれるのは八虎ならではだろう。
しかしそこまで食い下がったのに、愛にきてと言われて
断ってしまうのはやはり真面目が過ぎる。
きっと頑張って本心の欠片を吐き出したのだろうに。
橋田くんが言う通り、
「そこまでする必要があるか」の判断は八虎次第なのだが、
その必要が無いとして拒絶した事になると
八虎自身は思っていなさそうなのが問題だと思う。
先生の「自分以外はみんな変人」は名言だ。
普通の基準は思ったよりばらばらなはず。
龍二くんの絵を見て気付くことがあって、
もう一度電話するところが八虎っぽい。
龍二くんは家を出た方が良いと思うのだが。
蕁麻疹を掻くの、龍二くんが止めてくれてよかった。
取り立てて相談に乗るとか悩みを聞くとかではなく
正に裸で、でもそれは己と向き合ってのことで。
それぞれ己の裸に向き合いながら
ぽつぽつと話をするなんとも言えない空気感と、
外には海。
2人の気持ちが前向きになれていると良いのだが。
こういう描写があるということは、
実際8階まで運ばされるケースがあったということだろうか。
何故エレベーターを使わせてくれないのだろう。
事前に配送を受け付けるとかそういった対応があっても良いのでは。
相手が学生で受験生だから文句も言えないからやっているのは普通にパワハラだと思う。
番外編のランチをおすすめしあうエピソードも良かった。
それぞれの険の担ぎ方もらしいし興味深い。