【感想・ネタバレ】刀語 第九話 王刀・鋸のレビュー

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Posted by ブクログ

ネタバレ

この後に毒刀『鍍』所有者、真庭鳳凰、炎刀『銃』所有者、左右田右衛門左衛門とのクライマックス連戦が控えていることが早くから判明しているため、読む前はこの巻は退屈だろうな・・・と思っていたがどっこい、盛りだくさんの要素とまさかの展開で、ほのぼのした読み口ながらこれまでの九巻中ベストな面白さ。

その盛りだくさんなところを挙げてみると、物語当初からとがめに調教され続け、見事なまでに人間化したことがはっきり読み取れる七花、ついにベールを脱ぐ奇策士とがめのこれぞまさに奇策、完全に物差しと化した錆白兵(哀)、さらば麗しき真庭鴛鴦タン(つД`)・゜・とフックありまくり。
なにげにこの左右田右衛門左衛門 vs 真庭鴛鴦タン戦がこの物語の世界観の特殊性をよく表していると思う。魔法としか言えない奇天烈な真庭忍法の数々など、ファンタジーと言って差し支えない世界だけれどもおそらくストーリーの根幹に関わっているだろうある一点だけ、ファンタジーの常識に反し、逆に一般的な(山風とかじゃない)時代劇に則した要素がある。それが明示されたのが左右田右衛門左衛門 vs 真庭鴛鴦タン戦ではないだろうか。そういう大局的な見地でも鴛鴦タンは犬死にではない。鳥だけに。

と、脇ストーリーについて長々騙ってしまったけど、しかしやはりこのエピソードの面白さは王刀『鋸』所有者、汽口慚愧の突き抜けたキャラクターとすっかり丸くなった七花の噛み合わせの妙。剣法家同士の真剣勝負なのになぜか異種格闘技みたいなことに・・・
結末も清清しくオチまでついて、初期の殺伐感はありません。この辺りの最早別ものな変化も巻ごとにグラデーションをつけて自然に見せるあたり西尾維新の手腕に唸らされます。

そして引きは・・・・・・ここへ来て王刀によって張られる(いや、むしろ回収に入った?)伏線。

すばらしい

※巻末お馴染みになった「まにわに犠牲者イラスト」、眠る(死んでる?)鴛鴦タンに停まる蝶という構図が泣ける・・・

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2011年02月08日

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