あらすじ
文化庁メディア芸術祭大賞受賞作!!なにわ拘置所に配属となった新人刑務官 及川。
そこには一筋縄ではいかない死刑囚達と制度が抱える問題があった。死刑を執行する側とされる側。
新人刑務官・及川直樹と死刑囚・渡瀬満の禁断の友情を通じ、死刑制度の<今>を描ききった
衝撃の問題作第1巻!
感情タグBEST3
「汝殺すなかれ」
あの名作「きらきらひかる」の作者郷田さんの渾身の一作です。
「汝殺すなかれ」
人が人を殺めるという大罪を犯し、そしてその人によってまた殺められる存在「死刑囚」。
彼らは人として最悪の罪人にあると同時に、全てのあまねく人々と同じく「人」でもある....。
「汝殺すなかれ」
世界中のありとあらゆる宗教の第一義に肯定されているこの一言が何度も何度も頭の中をぐるぐる駆け巡ります。
また自身にも馴染みの深い言葉で綴られているのが一層胸に迫る作品です。
葛藤
死刑が確定した囚人の監視、管理をする事になった若き刑務官の人生や価値観を揺るがす出来事が身に起こるおはなしの第一巻。
舞台は2004年の大阪にあるなにわ拘置所。
主人公の及川直樹は大学卒業後父親の後を追って刑務官になった。
研修の末配属されたのは死刑確定囚の管理をするG棟だった。
父親が元拘置所長だったこともあり先輩刑務官達からはボンボン扱いを受ける。
そんな直樹が日々相手にするのは全員世間を騒がせた殺人犯ばかりだ。
初日とあって囚人達にビビる直樹。
しかし囚人の中にはいつもと靴音が違うという理由で自分に死刑執行の番が回ってきたのではないかと発狂する者もいた。
そして直樹が配属された記念に大福が囚人達にも振舞われるがその中の一人、石峰の態度の大きさに腹を立てた直樹は彼の目の前で振る舞われるはずの大福を食べてしまう。
最初とはうって変わって泣く石峰に罪悪感を抱いた直樹は大福を買い直し翌日石峰に渡そうとしたがその日の午前中に彼は刑が執行されたのだった…。
ものすごく重くて暗くて考えさせられる作品だった。
深い
Y氏の隣人のようなキャラクター絵に、ナニワ金融道のような出てくる店の名前…、かなり独特なタッチです。
一方、内容はもっと独特で、かつ深い。
この手の作品の場合、大抵は「ルポライター等による経験談」として短い話をベースに様々なエピソードを連ねていくものでしょう。
当作品も基本はこのパターンですが、全体に流れる大きなストーリーが最初から出てきており、中盤からはそれが中心になっていきます。
扱う内容も当然重く、またそれを少なくとも作者なりにしっかり向き合って考えたストーリー。
ジャンルも絵も「キワモノ」的ではありますが、それだけにとどまらず、深く考えさせられる作品です。
万人に向けて有償でぜひ読んで!とは言いづらい面もありますが、ぜひ多くの人に読んでもらいたい作品ではありますね。