あらすじ
険しい雪山を越え、教授も訪れたという集落・ウタツに到着したハカバ一行。人間に似た見た目の人に出会ったり、暗闇の中で命がけの狩りをしたり、「分からない」をかみしめながら、少しずつ考えを巡らせてゆく。
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本作は、現地の言語とコミュニケーション研究を専門とする学者かつ探検家の教授に師事しているが、そんな教授が現地調査の帰りに怪我をしたため、その現地調査の続きを任されることになり、早々に「現地」である「魔界」へ向かうことになった私、ハカバの手記、のような態を取りながら、ワーウルフの集落で落ち合った現地ガイドのススキとともにハカバが調査を進めていく様子を描いたコミックです。
1巻から既に、「言葉で意思の疎通を図ること」「文字があること(そもそも"文字"とは!?)」「食べるものの評価ポイント」などなど、目からウロコが落ちるような、そして「なるほど!!」と膝を打ちたくなるような着眼点の連続で、非常に読み応えがあって脳が活性化します。
日本語を母語とする人々は英語の「L」と「R」の発音区別が得意ではない、というのはよく言われることですが、理由は簡単、日本語には「L」と「R」の発音を区別することで意味が変わる言葉がないから、なんだそうです。つまり、必要ではない・使わない・耳にしない音(おん)を認識したり再生したりすることは非常に難しいのですが、本作の中の「知らない言葉は鳴き声に聞こえる」というセリフでこの難しさを思い出しました。また、「私が理解だと思っていたこと」は「理解ではなく解釈だった」「理解への壁は限りなく高い」というセリフは、「モンスター」に対してだけでなく、「異文化」ひいては「自分以外のひと」についても言えるのではないかと自省を促された気がします。
言語学や比較文化論に興味がある方はもちろん、語学学習が好きだけど行き詰ったことのある方や旅の醍醐味は異文化コミュニケーションにあると思う方にもぜひ読んでいただきたいです。そして、ススキのかわいさもお見逃しなく!
感情タグBEST3
言語学
異文化を交流するにあたって、言語を理解していくと陥ってくる問題を本当に丁寧に描いている
これから先も変わらず展開が楽しみな一作
Posted by ブクログ
物語が動いた4巻。これはよい。よい。
私たちの世界、彼らの世界。徹底的な世界観の違い、認識の違いがみえてくるのは圧巻。
センセイが一歩もニ歩も進み、悩み、そして次に進む様は、淡々とした物語のようでいて、熱いのだ。
Posted by ブクログ
異世界文化交流漫画の第4巻。
面白いんだけど、やはり異文化とのコミュニケーションの難しさだけを延々と続けられてと単調さが気になってくる。そこでてこ入れなのかどうかは判らないが人とのハーフと思われる新キャラが登場。物語としても少しまた動き始めた感じ。
Posted by ブクログ
モンスターにはナラティブの概念が無い。それが分かったのは進歩だけど、じゃあどうやってそれを教えるのか。もしくは教えることなんてできないのか。興味深い展開。