【感想・ネタバレ】ヘテロゲニア リンギスティコ ~異種族言語学入門~ (3)のレビュー

本作は、現地の言語とコミュニケーション研究を専門とする学者かつ探検家の教授に師事しているが、そんな教授が現地調査の帰りに怪我をしたため、その現地調査の続きを任されることになり、早々に「現地」である「魔界」へ向かうことになった私、ハカバの手記、のような態を取りながら、ワーウルフの集落で落ち合った現地ガイドのススキとともにハカバが調査を進めていく様子を描いたコミックです。
1巻から既に、「言葉で意思の疎通を図ること」「文字があること(そもそも"文字"とは!?)」「食べるものの評価ポイント」などなど、目からウロコが落ちるような、そして「なるほど!!」と膝を打ちたくなるような着眼点の連続で、非常に読み応えがあって脳が活性化します。
日本語を母語とする人々は英語の「L」と「R」の発音区別が得意ではない、というのはよく言われることですが、理由は簡単、日本語には「L」と「R」の発音を区別することで意味が変わる言葉がないから、なんだそうです。つまり、必要ではない・使わない・耳にしない音(おん)を認識したり再生したりすることは非常に難しいのですが、本作の中の「知らない言葉は鳴き声に聞こえる」というセリフでこの難しさを思い出しました。また、「私が理解だと思っていたこと」は「理解ではなく解釈だった」「理解への壁は限りなく高い」というセリフは、「モンスター」に対してだけでなく、「異文化」ひいては「自分以外のひと」についても言えるのではないかと自省を促された気がします。
言語学や比較文化論に興味がある方はもちろん、語学学習が好きだけど行き詰ったことのある方や旅の醍醐味は異文化コミュニケーションにあると思う方にもぜひ読んでいただきたいです。そして、ススキのかわいさもお見逃しなく!

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2020年09月10日

絵が読みやすく、先が気になる良いまんがなのは変わらずに嬉しい。1.2巻では言葉の意味や文化の基礎が分からないことへの壁があったのに対し、3巻では定義づけに際して、定義してわかりやすくすることで逆に本質を見落としてしまっているのではないかという内省に触れており、作者の異文化に対する誠意のようなものを感...続きを読むじた。

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Posted by ブクログ 2020年09月12日

異世界民俗学漫画の3巻。言語学者が異世界でフィールドワークするというもの。地味な話で3巻でも特に大きなことは起こらないながらも、淡々とかつ丁寧に話は進んでいく。意思疎通できているのかできていないのか、そのもどかしさ。
3巻であらたに登場したゴブリン、今の所まったく関係を築けているようには見えないけれ...続きを読むど、この先どうなるのか。

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購入済み

探検家になれる漫画

2020年09月10日

未知の世界
異文化異人種異世界
そこで生きるという事
子供の頃読んでいた少し不思議な物語をオトナになっても味わう事ができる名作だと言える。

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購入済み

学術書みたいで面白い

2020年09月05日

通巻3巻目。地味だが、面白い。
通訳の妙、というか、探検家の気持ちになれる。
ネタバレする方が難しいが、永遠に続けられそうな展開である。
異文化・異文明への興味というのは、尽きないもの。

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