あらすじ
一○年にわたるトロイア戦争の末期、物語は、激情家で心優しいギリシア軍第一の勇将アキレウスと王アガメムノンの、火を吐くような舌戦で始まる。トロイア軍の総大将ヘクトル、アキレウスの親友パトロクロス、その敵討ちに奮戦するアキレウスら、勇者たちの騎士道的な戦いと死を描いた大英雄叙事詩。格調高く明快な新訳。
...続きを読む感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
パトロクロスの戦死とアキレウスの参戦、そしてベクトルの葬儀。紀元前に描かれたとは思えないほど、瑞々しい物語であった。
神々が宣告する死の運命に気づいてもなお、懸命に戦ったヘクトルの生き様はあっぱれであり、日本人である私の心に深く響いた。
そして敵同士とはいえ、大切な人間を戦争で失ったプリアモスと、一時的にではあるが和解をしたアキレウスの器の大きさにも感動した。
極めて日本人的な感覚で古代ギリシャ叙事詩が読めたことに驚いている。トロイア戦争後が舞台のオデュッセイアも是非読んでみたいと思う。
Posted by ブクログ
上巻に引き続き、アカイア勢とトロイア勢両軍の衝突から、トロイア軍の実力者ヘクトルがアキレウスに倒されて、彼の葬儀を終えるまでが下巻の内容である。主人公アキレウスはパトロクロスの死によりアカイア軍として参戦し、トロイア軍を次々と倒していく。とくにヘクトルとの戦いはアキレウスが奮戦するという熱い展開がなされる一方で、アキレウスのヘクトルの遺体に対する扱いは、人間の惨たらしい様子が描写される。
Posted by ブクログ
イリアスの後半。
戦死した友パトロクロスの仇を打つべくアキレスがヘクトルと対決、これを倒す。最終章では故郷トロイアにてヘクトルの葬儀が催される。
英雄であっても神の意図を無視することはできない。この世界観は、多かれ少なかれ後に続くすべての西洋文化の基礎となっているのかもしれない。
Posted by ブクログ
ヘラがゼウスを眠らせている間のギリシア軍の反撃。ヘクトル、アイネアス率いるトロイア軍の反撃。船陣での戦い。追い詰められるギリシア軍の姿を見てアキレウスに出陣を嘆願するパトロクロス。パトロクロス率いるミュルミドンの活躍。パトロクロスに倒されるサルペドン。ヘクトルとパトロクロスの戦い。ヘクトルに倒されたパトロクロスと奪われたアキレウスの武具。船の上からのアキレウスの威嚇。母ティティスによる武具の作成。アキレウスとアガメムノンの若い。アキレウスの猛攻。河神との戦い。アキレウスとヘクトルの一騎打ち。ヘクトルの遺体に加えられる侮辱。ヘクトルの遺体引き渡し。
1996年7月19日再読
Posted by ブクログ
YouTubeでゲームさんぽを見て、面白そうって思って購入したものの、数ページで難しすぎ!って白旗上げて投げてたやつ。
その後のイベントで解説されていたのを聞いて、「なるほど!」となり、無事「めちゃくちゃ楽しめたヤッター!」となりました。私にとっては読むのにある程度の事前知識が必要だった本。
パトロクロスが殺されたあとのアキレウスは例外として、他の面々はどの場面でも割と理性的なのに、当然のように殺しあって次々と退場していくのがやるせない。戦争嫌だね。
現代人的な価値観のままでも感情移入しやすかったからか、アンドロマケにとても同情してしまって、そこでも戦争嫌だぜ状態になりました。
なんかこう、運命がどこかでガラッと変わって皆で平和に生きていきました〜みたいな、ゲームで言うところのトゥルーエンド的ストーリー、どっかにあったりしませんかね?
Posted by ブクログ
読み終わって、えっここで終わり!?という感じ。戦争の途中から始まって、途中で終わってしまう。主人公というべき存在のアキレウスの怒りから始まる物語ではあるが、再三予言されるその死までは語られず…と、ちょっと消化不良感がある。食事や火葬の手順が細かく書かれていたり、麦の刈り入れや野獣に食われる羊など、当時の風俗をうかがい知れる例えの描写は相変わらず面白いけども。
アキレウスがかなり頑固で残忍なので(特に仇の死体を何日も馬車で引きずり回すのはドン引きした)、個人的には敵方の完璧兄貴ヘクトルのほうが好感度が高い。親や嫁の嘆きようも哀れを誘うが、お父さんたら他の子に「お前らがヘクトルの代わりに死ねばよかった!」って、それは言っちゃあおしまいだよ(笑)。どうせならへたれの弟がヘクトルの仇を打つところまで読みたかったなあ。「オデュッセイア」は戦後の話のようなので、トロイア戦争のあらすじが追えるような本を探してみようかと思う。