【感想・ネタバレ】ホメロス イリアス 下のレビュー

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Posted by ブクログ

さすがにアキレウスとヘクトル、両軍のトップがぶつかり合う後半の展開には燃えた。
徐々に物語を加速させ盛り上げていく構成力には、ホメロスの作家としての優れた手腕が発揮されている。
親友パトロクロスの死にキレたアキレウスが戦場に赴くという、少年漫画的展開を紀元前の時点でやるとは、ほんと男って変わらないな

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2023年06月10日

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トロイア戦争の最後までは描かれず、アキレウスの物語として幕を閉じる。トロイの木馬が出てこないのは残念。

ゼウスの厳命により神々が人間の戦争に手を出せなくなるなか、ヘレの謀略とポセイダオンの暗躍が目を引く。女神テティスとの約束を守るべく、ゼウスが戦争のシナリオを緻密に組み立てているのには笑った。すべては彼の手のひらの上といわんばかり。

アキレウスが失意から立ち上がり、神ヘパイストスが新たに鍛えた最強武具を装備して戦いに赴くシーンは、ファンタジーとしても戦記ドラマとしても盛り上がるところ。やがて傍観していた神々も戦闘への参加を許され、人神入り交じった戦争のスペクタクルのあと、本作最大の見どころ、アキレウスVSヘクトル戦へ突入。このあたりは映像的でアツイ。

パトロクロスに対する人気、その慕われっぷりには苦笑してしまうが、最終的にはアキレウスが恋愛よりも友情を重視していることが、この物語を薫り高いものにしていると思う。もともと女の取り合いから始まっているだけに(戦争もそうだが、彼個人としても)、人物の成長が見てとれるのだ。

終盤の葬送競技は8種目?ほどあっただろうか。現代の日本にはない習慣であり、葬式でいきなり陸上競技みたいなのが始まって面食らったが、興味深いところではある。

人名多さ故の読みづらさはあるものの、多様な人間の感情が盛り込まれたドラマの結晶は普遍的な魅力を放っており、数千年を隔ててなお失われないその輝きに感動するほかはない。

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2022年09月28日

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最後はしみじみと終わる。
戦とはなんなのか、と静かに問う姿勢があるようにおもう。

メモ
・年齢の上下に尊崇がある
・ゼウス、ポセイダオン、アイデスの3人の生きる世界は、日本神話との共通性がある。完全ではないが。
・アキレウスの武具を作る場面が秀麗
・ホメロスとは、盲人という意味

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2020年05月17日

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大英雄叙事詩の下巻。アキレウスが立ち上がり、トロイエ方を追い詰め、悲劇的な喪失を与えるまでを活写します。

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2016年04月03日

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ネタバレ

ヘラがゼウスを眠らせている間のギリシア軍の反撃。ヘクトル、アイネアス率いるトロイア軍の反撃。船陣での戦い。追い詰められるギリシア軍の姿を見てアキレウスに出陣を嘆願するパトロクロス。パトロクロス率いるミュルミドンの活躍。パトロクロスに倒されるサルペドン。ヘクトルとパトロクロスの戦い。ヘクトルに倒されたパトロクロスと奪われたアキレウスの武具。船の上からのアキレウスの威嚇。母ティティスによる武具の作成。アキレウスとアガメムノンの若い。アキレウスの猛攻。河神との戦い。アキレウスとヘクトルの一騎打ち。ヘクトルの遺体に加えられる侮辱。ヘクトルの遺体引き渡し。

1996年7月19日再読

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2012年05月31日

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イリアスの下巻。知っての通り、ヘクトルの葬儀で完結しており、いわゆるトロイ戦争のアキレウスの死や木馬の話は記載されていない。人間はすでに神の定めた運命をなぞらざるを得ず、アキレウスもこの地で果てることを知っていながらそれでも自分の意思で行動しようとする。ただし、後世とは異なり、運命にあらがう人の自由意志の発想はまだない。末尾のホメロス伝が興味深い。

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2024年06月06日

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上巻でアキレウス(アキレス)とアガメムノンの言い争いからアキレウスが戦線離脱し、ギリシャ勢は奮闘するもトロイア側が優勢に。

トロイア方の大将ヘクトルに親友が討ち取られたことを知ったアキレウスが満を持して戦線復帰し、ヘクトルを倒すところで終わり。

読み始めは理解が追いつかなかったのですが、物語開始時点でなんと、このトロイア戦争勃発から10年目だということ。それは分からん
そしてこの戦争のきっかけとなった出来事を計画したのが神ゼウスで、その理由は人間が増えすぎたから人間同士で争わせて人口を調節しようという、まぁ身勝手な動機。

神々の意思の前では人間なんてちっぽけな存在なんだと、跪きたくなるような気分になってしまいました。

オデュッセイアにいきます。

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2023年12月26日

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ネタバレ

YouTubeでゲームさんぽを見て、面白そうって思って購入したものの、数ページで難しすぎ!って白旗上げて投げてたやつ。
その後のイベントで解説されていたのを聞いて、「なるほど!」となり、無事「めちゃくちゃ楽しめたヤッター!」となりました。私にとっては読むのにある程度の事前知識が必要だった本。

パトロクロスが殺されたあとのアキレウスは例外として、他の面々はどの場面でも割と理性的なのに、当然のように殺しあって次々と退場していくのがやるせない。戦争嫌だね。
現代人的な価値観のままでも感情移入しやすかったからか、アンドロマケにとても同情してしまって、そこでも戦争嫌だぜ状態になりました。
なんかこう、運命がどこかでガラッと変わって皆で平和に生きていきました〜みたいな、ゲームで言うところのトゥルーエンド的ストーリー、どっかにあったりしませんかね?

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2023年06月18日

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戦いはスプラッター気味だが、ときどき日常生活的な比喩が出てきて面白い。
アキレウスは少し頑迷すぎる。ゼウスは適当に介入しすぎ。

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2023年02月20日

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ホメロス「イリアス 」2/2 終盤一気に面白くなる。全体を通して、二項対立により 物語が進み、単純さと面白さを生んでいる

壮絶なパトロクロスの最期が最も印象的で、物語を転回させたシーンだと思う。戦争の中で亡くなった勇士は 神が決めた運命の通りに動いただけというのも 戦争の虚しさを感じる

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2017年12月01日

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ご存知トロイ戦争の一大叙事詩。

戦いシーンは、結構、細かい描写で血みどろなのがびっくり。あまりにも人間くさい神々と、神にもみまごう英雄たち。それを描写する雄大で優雅な比喩が気持ちいい。また、もとは韻文ならではの、決まり文句の枕詞もなれるとなかなか気持ちいい。

要するにとっても面白かったのですが、たぶん10年前に読んでも全然面白くなかったろうな、と思うと、この面白さがどこからくるのか、が不思議です。いろいろな物語を知って、結局、その骨格と醍醐味は同じものだ、と知ったからかな?先を急ぐこと無く、言葉を楽しむ、という余裕ができたからか・・。要するに年を取った、ということですかね^^)

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2011年12月21日

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映画「トロイ」のその場面。アキレウスの無双ぶりに目が離せない。人の世の不条理。それを神々のいたずらになぞらえて古代の物語は紡がれていったのだなと感じました。

11/10/16

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2011年10月16日

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 アキレウスは,従者パトロクロスをトロイエ勢の将ヘクトルに討たれて失くし,悲しみと怒りから戦線に復帰する.アキレウスに討ち取られたヘクトルの遺体を,トロイエ王プリアモスがアキレウスの陣屋へ受け取りに赴く.プリアモス王が帰還し,ヘクトルを荼毘に付すところまでが詠まれている.(続きはクイントゥスのトロイア戦記などで・・・).
 憎しみと争いに身をやつす人間の業の深さを,これでもかというほどに描いている.約3千年後の現在も,やってることあまり変わってないなぁ.

 巻末付録の(伝)ヘロドトス著「ホメロス伝」も興味深かった.

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2009年10月04日

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ネタバレ

読み終わって、えっここで終わり!?という感じ。戦争の途中から始まって、途中で終わってしまう。主人公というべき存在のアキレウスの怒りから始まる物語ではあるが、再三予言されるその死までは語られず…と、ちょっと消化不良感がある。食事や火葬の手順が細かく書かれていたり、麦の刈り入れや野獣に食われる羊など、当時の風俗をうかがい知れる例えの描写は相変わらず面白いけども。
アキレウスがかなり頑固で残忍なので(特に仇の死体を何日も馬車で引きずり回すのはドン引きした)、個人的には敵方の完璧兄貴ヘクトルのほうが好感度が高い。親や嫁の嘆きようも哀れを誘うが、お父さんたら他の子に「お前らがヘクトルの代わりに死ねばよかった!」って、それは言っちゃあおしまいだよ(笑)。どうせならへたれの弟がヘクトルの仇を打つところまで読みたかったなあ。「オデュッセイア」は戦後の話のようなので、トロイア戦争のあらすじが追えるような本を探してみようかと思う。

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2023年07月29日

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ネタバレ

ゼウスもヘラもアテネも酷い奴らだ、というのが単純な感想。

とはいえ、神々に人間臭さがあるあたり、多神教らしさを感じる。

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2018年09月13日

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ネタバレ

古代ギリシャの叙事詩。トロイア戦争の末期、英雄アキレウスの怒りから大将ヘクトールの戦死までの数日間を描く。戦場に響き渡る大音声の名乗りや叱咤、雑魚キャラを撫で切りしていく英雄たちの豪快さは、ジャンプやマガジンの少年誌、コーエーのゲームにも通じるものがある。絢爛で大仰な表現がテンコ盛りであけっぴろげな壮大さが心地よい。古典だとか文学だとか肩肘はらずに楽しめました。

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2015年06月01日

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ホメロスによる西洋文学最初期の英雄叙事詩。ギリシア神話中のトロイエ戦争を材に取っている。このトロイエ戦争とは、アカイア勢(ギリシア軍)が小アジア(現在のトルコ地域にあたる)にあるトロイエのイリオスに遠征軍を送って行われた戦争で、主な登場人物は、ギリシア側ではアガメムノン,アキレウス,パトロクロス,オデュッセウスら、トロイエ側にはヘクトル,ラオコーンらがいる。「トロイの木馬」とラオコーンの逸話でも知られているが、本詩中では取り上げられていない。なおホメロスは『イリアス』と『オデュッセイア』の二大叙事詩の作者として一般に知られているが、そもそもホメロスという一個人が実在したかどうか、正確なところははっきりしていない。

一読して、ホメロスの描く人物には、奥行きが無い印象を受ける。ホメロスが描いた以外の語られない部分へと想像が全く向かっていかない、内面が無い、充足したそれ自体しか無い、否定性が無い。登場人物の心情が、描写に於いて全てが剥き出しにされていて、そこで完結してしまっているように感じられるのである。精神史上の「内面の発見」(B.スネル)以前に於ける、叙事詩の叙事詩たる所以であろうか。

凡そ英雄譚というのは、どれも野蛮で血腥い代物だ。「戦さは男の仕事、・・・」「・・・、今日のこの日に己れの意志で戦いを怠る男が、このトロイエの地から無事に帰国するようなことがあってはならぬ、ここで野犬の玩具になればよいのだ」「・・・、今こそ男子たる面目にかけ、己れが武勇のほどを思い起こしておけ」「いや、トロイエ人は一人たりとも、険しい死とわれらの手とを免れさせてはならぬ、母の胎内にいる赤子といえども、男児であるからは見逃してはならぬ、彼等は一人残らず跡も残さず、このイリオスから根絶やしにしてやらねばならぬのだ」。他者=敵を浄化せんとする殲滅思想、男は戦争・殺し合いをする存在でしかなく、女は愛欲と生殖の為の存在でしかない。そこに文化的な意匠が施されている点だけが動物との唯一の差異か。西洋文学の最初期から人間の即物的な醜悪さは今も変わらぬ。その暗澹たる事実を見せつけられる。

精神史上は、古代ギリシアのこの時期は、概念を神として具象化・擬人化し神話(ミュトス)という物語を生成し解釈していくことを通して生を紡いでいった、神話という神々の物語の解釈を以て思考としていた。それは理性・論理(ロゴス)に基づき抽象概念を用いて為される哲学的思考とは根本的に異なっていた。思考や生の機制が、現代とは全くその形態を異にしていたと云える。則ち、近代的な内省に於ける自己対話 monologue の代わりに、内面に於いて常に神々と対話していたのではないか、神々とともにある自己と対話していたのではないか。「彼とても、いつかその気を起こし、またいずれかの神が促して下さるならば、戦いに加わるであろう」 「だがその責めはわしにではなく、ゼウスならびに運命の女神[モイラ]、そして闇を行くエリニュスにある。その方々が集会の場でわしの胸中に無残な迷い[アテ]を打ちこまれたのであった――このわしがアキレウスの受けた恩賞(の女)を奪い取ったあの日のことだが。だがわしに何ができたであろう、神というものはどのようなことでも仕遂げられるのだからな」

古代ギリシアの文化とキリスト教以降の西欧文化との差異を考えさせられた。多神教のギリシア神話に現れる神々はみな人間臭く、一神教のキリスト教の神に観られる「神性」は一切無い。気紛れで心変わりしては両軍の人間たちを翻弄し・人間を唆して戦さをさせ・神々の間でも両陣に分かれて戦争を始め・愛欲には打ち負かされ・謀略を企てては取引をし・反目し合い・そして逡巡もするギリシアの神々は、決して揺るぎない「善」――キリスト教的「最高善」――を体現することはない。その反照として古代ギリシア神話には悪魔という存在が登場しない。そもそもキリスト教的な悪魔という観念が無かったのではないか。キリスト教世界に於いて初めて、神のアンチテーゼとしての悪魔の観念が誕生し、擬人化された悪魔から概念化された悪の観念も生まれたのではないか。上で引用したが、神々に自らの責めを転嫁するかのようなアガメムノンの言葉から長い思想的変遷を経て、人間の自由意志としての悪という観念がアウグスティヌスの時代に生まれる。

ギリシア神話の神々は、世界万象そのもの、神話という物語のうちに投影された人間的生の運命そのものであり、キリスト教的な超越的存在ではない、世界を超越した造物主ではない。だから「創世記」の類を記そうという発想も無かったのではないか。「聖書」「聖典」の類も存在しない。則ち、「此岸」から超越した別次元の「彼岸」という観念が古代ギリシアには無かった。ギリシアには、「神話」は在っても「神学」という知性の方向はついに生まれ得なかった。「神学」は、一神教の下でなければ生まれ難いのだろうか。アガメムノン(人)も血筋をたどるとゼウス(神)に行き着くという。勿論アガメムノンは神話中の英雄ではあるが、人と神との間の形而上的断絶という思考は、当時の人間にはそれほど強くなかったのではないか。プラトンによってイデア界/仮象界という二元的世界観・形而上学が構想されることで、人間は初めて自分たち以外の世界という観念をもつに到る。それまでは、人間も神々も同じ世界に並立していた一元的世界観であった。世界は神々の下に統べられているというよりも、神々の躍動とともに在った。そして神々が与える不条理を人間は運命として解釈することで受け容れていたのだ。そういう「生」を営んでいたのだ。

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2014年02月24日

Posted by ブクログ

ほとんど、主要人物がピンチになったら神々が助けてくれる展開。
他力本願はよくないぜ。

ヘクトルの葬式で終了。
あれ・・・木馬は?

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2013年04月17日

Posted by ブクログ

いよいよアキレスとヘクトルの一騎打ちが語られるが、その前にアキレス甥の死をいたむ競技会が長々と行われる、戦争を中断してオリンピックの原型みたいな物なのか、ちょっと中だるみがする、一騎打ちに決着がついてさあ木馬の登場か!と思ってたらいきなり終了、そうなの?なんで?消化不良な原作でした

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2009年10月04日

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