あらすじ
一○年にわたるトロイア戦争の末期、物語は、激情家で心優しいギリシア軍第一の勇将アキレウスと王アガメムノンの、火を吐くような舌戦で始まる。トロイア軍の総大将ヘクトル、アキレウスの親友パトロクロス、その敵討ちに奮戦するアキレウスら、勇者たちの騎士道的な戦いと死を描いた大英雄叙事詩。格調高く明快な新訳。
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没頭してしまった。結末はもちろんわかっているのだが、判官びいきというか、トロイエ方を応援したくなる。ヘクトルがアルゴス方の防壁を破った瞬間は『このままアガメムノンを討て!』と思ってしまった。それ故、アキレウスの本格的な参戦を望みつつ、彼がいなければ或いは、とか妄想したり。理屈はともかく没入感があった。
比喩表現も素晴らしい。本巻の終盤、拮抗する両勢力を『日銭稼ぎの実直な女(糸を紡いで稼ぐ貧しい女)が、子らのため僅かばかりの手間賃を得るために、秤を手にして、両の皿に錘りと羊毛を載せ、持ち上げながら釣合いをとろうとする』などと表現する。羊毛の皿(トロイエ方)が少しでも重くあって欲しいと願うゼウスの影を見るのは、ただの深読み(勘違い)だろうか笑
興味深いのは、戦局や各々の命運が神々の意向によって大きく左右されているという点である。一般的には、強固な意思をもった人間が、運命に抗い立ち向う物語が好まれるものだが、この叙事詩では如何に神々を味方につけるかがキーポイントであるかのような語り口が見られる。高貴さ・勇敢さ・合理性を兼ね備えていながら、霊的なものも信じている古代ギリシャの戦士たちの心理描写や台詞は、本当に魅力的である。
下巻も引き続き楽しみたい。
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舞台は古代ギリシア。ミュケナイのアガメムノン王率いるアカイア人遠征軍を、英雄ヘクトル指揮下のトロイア軍が迎え撃つ、トロイア戦争末期を描いた物語。
冗長な箇所も多いが、両軍入り乱れて血みどろの戦闘を繰り広げるシーンは臨場感たっぷりで読み応えがある。なお、神々が戦いに介入してくるあたりは、日本人の感覚からすると若干モヤっとしないでもない…。
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軽快率直な文体ながら、美しい比喩や直接的な戦場描写が光るホメロスの長編大古典。
古代ギリシャの神々がさらりと介入してくるあたり、人と神の境界が曖昧で現実感が揺り動かされる。
三国志とか戦国時代の戦記ものを読んでる感覚。
オデュッセウスやアガメムノン、アキレウスやヘクトル、オリンポスの神々など、まさに英雄や神が名を馳せる時代で、彼らを強度なキャラ的誇張表現で持って描いたのが、昨今、日本でよく見られるアニメ群たち。
翻訳者の方の仕事も素晴らしい。
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紀元前8世紀ごろ口頭詩として制作されたとされる長編叙事詩。ギリシャ神話を題材とした、トロイア戦争を描く。
概要は有名な話であるし、2004年の映画『トロイ』も観ていたので、大ざっぱな筋書きは知っているつもりで、原典となる本作に挑戦してみた。すでに戦争が10年経過しているところから始まり、冒頭からアキレウスとアガメムノンのケンカが始まるので、多少の予備知識がないとやや面食らうかも。パリスがヘレネを連れ去ったという戦争の原因についても、知っている前提として話が進む。
映画と決定的に違うのは「神々の介入」。オリュンポスの神々が、それぞれのひいきの軍の動向を見守り、敵軍を支援する神を相手に言い争いをしたり、場合によっては肉体を持って自ら戦場におもむき掩護したりする。さらには、ゼウスがイデの山上から戦場を眺めながら、トロイエの勝利のためにあれこれ画策をしたり、お気に入りのヘクトルを守ったり。まるでお茶の間で巨人ファンの父親と阪神ファンの長男が推しの選手をネタに言い争っているかのごとく、またはシム系のシミュレーションゲーム(ストラテジーゲーム)をプレイして各ユニットやキャラクターに干渉するかのごとくである。これによって聞く側(読者)は、人間たちのドラマとそれを俯瞰する神々、両方の間に視点を持つことになり、物語に独特な味わいを生んでいる。こういった要素を現代の基準で映像化するのは難しいだろう。舞台上の演劇ならともかく、映画やTVドラマのような映像作品でこれをやってしまうとコメディになりかねない。先述の映画『トロイ』では、神々の要素をざっくりカットして、純粋に人間どうしの戦記ものとして描いており、これには賛否あるようだが、原典に触れてみた今、これは英断だったと思わざるをえない。
もうひとつ気になったのは、ギリシャ神話をモチーフにした作品ではよくあることかもしれないが、人物名の多さに辟易したこと。クリュセスにクリュセイス、プリアモスにブリセイスなど、語感が似た名前も混乱する。とはいえ、主要な人物さえ把握してしまえば、人名の80%くらいはどうでもいいやつだと後で気づいた。なのでこれから読む際にはご留意いただきたい。
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(歴史ではなく神話ですが、)様々な本でイリアスのプロットや登場人物がメンションされているが、そのバックグラウンドを知ることができて満足。
物語としても、とてもおもしろい。
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イリアスとは、都市イリオス(トロイ)の歌の意だそうだ。神を巻き込んだ、複雑な争いと力関係が描かれている。愛する女性の所有が争いの元だが、一度始まった争いは、休戦の機会が度々あるものの、勢いは止まらない。
通読にはある程度の慣れが必要。最初に訳者のあとがきを読んでから、各歌の冒頭のあらすじを頭に入れておくとスムーズ。
メモ
・神が身近で人間臭い
・神の世界では男が立てられているが、女性も相当な存在感を持っている
・元が口承文学であったことが随所に窺われる
・肉弾戦の描写が生々しい
・倒した相手の武具は奪う
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何世紀も口承のみで伝承・発達させられてきた人類最古の文藝の一つ/戦争=個人的恨みなしに集団で武器を持って闘う伝統は紀元前二十世紀にすでにできていた。男たちの胸に勇気を吹き込むのは神々で、戦いの目的を「正義のため」などと幼稚なことは言わない、勝つのが正義。ヘレネーの危機には駆けつけるとの約束はあるが、実のところパリス靡いているらしいので、むしろギリシャの面子の問題/総大将アガメームノンは英雄アキレウスの面子を損ね、彼は女神である母に訴えた…/トロイの戦士も戦闘前の凶兆にも怯まず「祖国のために戦う、これ以上の吉兆があるか」
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ギリシャ古典中、屈指の大英雄叙事詩。長く読めておりませんでしたが、ようやく読んでみました。もっと早く読むべきでしたね、血湧き肉躍る名作でした。
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リリシズム漂う大叙事詩である。引き締まった構成、緻密な描写は圧巻で手に取るようだ。ギリシアの神々は気まぐれで聖なる神のイメージは覆る。英雄たちや人びとの戦いと心の葛藤もよく描かれている不朽の名作である。ホメロスさんありがとう。
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ホメロスの叙事詩。現代文と比較すると文章が少しだけ読みにくいかもしれないが、「トロイア全史」で全体像をつかんだ後に読むと、壮大で感動的な作品に感じられる。アキレウスが死すべき運命の戦いに向かっていくことの原因となるパトロクロスの死のくだりに涙が出る。
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アキレウスとアガメムノンと戦利品の女性をめぐる対立。ギリシア軍を襲う疫病。戦闘への参加を拒否し自分の船に引き籠るアキレウス。メネラオスとアレクサンドロスの一騎打ち。ディオメディスの奮戦。ディオメディス、オデュッセウスの偵察。ドロンの殺害。ヘクトル率いるトロイア勢の猛攻。突破される防壁。
1996年7月18日再読
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トロイア戦争の末期を描いた叙事詩で、主人公アキレウスはギリシア軍として戦っていたが、アガメムノンとの対立により、しばらくの間は登場しない。一方、トロイア軍として戦いに励んだヘクトルはギリシア軍の実力者と一戦を交えるなど、攻防戦が次々と展開される。また、オリュンポスで、ゼウスは中立的な立ち位置で戦争の様子を俯瞰し、アテネやアポロンなどの神々はギリシア、トロイアのどちらかに加担して、時には助けたりするというように、神々の間でも対立が生じる。
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松平千秋氏訳によるイーリアス。元来叙事詩であるが、あえて散文調で記しているため、読み物としては読みやすい。訳注においても他文献との比較や、訳出する上での考慮点が記されているため、細かい背景も理解できる。入門書として最適だが、読みごたえも十分な逸品。戦記物だけあって生々しい戦いのシーンが多くはあるが、ディオメデスの活躍が素晴らしい。
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スパルタ王(ギリシア)の妃が誘拐された。犯人はトロイア(イリオス)。怒ったスパルタ王は妃を取り戻すため、トロイアにギリシア軍を送る。総大将アガメムノン。最強の戦士アキレウス(主人公)▼アキレウスは戦地で美女ブリセイスを妻にする(ブリセイスは夫を失い捕虜になっていた)。しかし、情欲と権力欲の強いアガメムノンが美女ブリセイスをアキレウスから横取りする。怒ったアキレウスは戦線から離脱。最強の戦士アキレウスを失ったギリシア軍は苦戦。アガメムノン「アキレウス、帰ってきてくれ。お前の女を横取りして悪かった。あのとき、私は狂気の神に取りつかれていたのだ」。アキレウスは申し出を拒否▼戦線から離脱していたアキレウスだったが、親友パトロクロスが敵トロイア最強の戦士ヘクトルに殺されたことを知り、ヘクトルへの復讐のため、戦線に復帰。アキレウスはヘクトルとの一騎打ちに勝利。ヘクトルの遺体をトロイア王に引き渡す。ホメロスHomeros『イリアス』BC8世紀
〇アキレウス。弱点はかかと。母はテティス。
〇オネイロス。夢の神。
〇ディオメデス。武将。
〇メネラオス。妻を誘拐されたスパルタ王。副大将。アガメムノンの弟。
〇ヘレネ。スパルタ王メネラオスの妃。トロイア王子パリスに惚れ、連れ去られる。
●パリス。トロイアの王子。スパルタ王の妃ヘレネを誘拐。ヘクトルの弟。
●ヘクトル。トロイアの王子。トロイア最強の戦士。アキレウスに殺される。
●アンドロマケ。ヘクトルの妻。夫をアキレウスに殺され、アキレウスの子の奴隷になる。悲運の女。
知謀知略のオデュッセウス。トロイア戦争が終わり、故郷に帰るまでの10年間の漂泊▼一つ目巨人キュクロプス族の国。巨人の1人ポリュペモスは、オデュッセウスの部下2人をわしづかみにし、地面に叩きつけた。部下たちの頭は割れ、脳ミソが流れ出して土を濡らした。その巨人は部下たちの手足をバラバラにして、内臓や肉だけでなく、骨まで喰らい尽くした。そこでオデュッセウスは巨人の機嫌をとり酒を飲ませると、巨人は「お前の名前は何だ」と聞いてきたので、オデュッセウスは「誰もいない」という名前だと答えた。巨人が眠ってしまったので、オデュッセウスは先を尖らせたオリーブの丸太を巨人の目に突き刺した。巨人は大きな叫び声をあげ、仲間の巨人たちを呼び寄せた。仲間の巨人たちが「お前を殺そうとしている奴がいるのか」と聞くと、巨人は「俺を殺そうとしている奴は”誰もいない”」と答えた。仲間の巨人たちは「誰もいないのか」と言って去っていった。オデュッセウスは大きな羊の下に身を隠し、巨人族の国を脱出した。しかし、オデュッセウスが目を潰した巨人ポリュペモスは神ポセイドンの息子で、神ポセイドンはオデュッセウスに怒り心頭、オデュッセウスの故郷への帰還を妨害しはじめる▼ロータス(蓮)の実を食べて過去を忘れた人を豚に変える魔女キルケー▼美しい声で人を島に惹きつけて難破させるセイレーン▼現在の難儀もいつの日かよい思い出になる。逆境における希望、順境における気遣いは、幸いと災いに備える感情である▼ペネロペイア。オデュッセウスの妻。20年間、夫の帰りを待っている。108人の男に求婚されている。この状況に危機感を持ったオデュッセウスの息子テレマコスは、父を探す旅に出て、ついに父を見つけて連れ戻す。オデュッセウスは年老いた乞食の姿に変装し、妻ペネロペイアに言い寄る男たちを殺害する計画を練る。12本の斧の穴に矢を貫通させることができた者がペネロペイアの夫に決めること。求婚者たちが全員失敗した後、年老いた乞食の姿のオデュッセウスが見事成功。求婚者たちは退治される。ホメロスHomeros『オデュッセイア/Odysseia』BC8世紀
〇ナウシカア。パイエクス国の王女。難破したオデュッセウスを助ける。
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個人的には『オイディプス王』以来久しぶりの古代ギリシア文学。気づいたこととしては、「〇〇の息子、〇〇は」とか、「〇〇の息子は」といった表現が多く、ゼウスとは言わず、クロノスの息子と言われるとややこしいが、一方で毎回毎回複雑な家族構成を振り返りやすかった。
読み始めて300pぐらい経った頃に、巻末に家系図が載っていることに気づき、「しまった!こんな便利なのがあったのか」と思った。
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長い。
読書苦手なので読むのが大変でした。
ヘクトールの亡きがらをアキレウスが引き摺ったという話の真偽を確かめたく、原典に近そうということでこちらを読みました。
結果的には自陣にヘクトールの亡きがらを運ぶために引き摺ったのみならず、毎朝の日課のように、何日か、何回か、引き摺っていたので、答えは得られました。ただ、アキレウスが引き摺った心境も理由もちゃんと書かれていますので、腑には落ちます。
アレキサンダー大王がファンになるのも納得です、読めてよかったです。見方を変えれば、領土拡大思想に取り憑かれる権力者が好きな話なのかもしれません。
現代人も抱えている名前を残さないで死ぬ恐怖。何ものかにならないと生きる意味がないのか。
他人を害してまで名声は必要なのか。
近しい人と過ごす何もない安らぎの日々では足りないのか。
自尊心の高いアキレウス。
戦争のさなかの名声を求める心と、アガメムノンへの憤り、もういっそ故郷へ帰ってしまおうか、と考えたり。嫌なことされたら母に言いつけたり。
アキレウスは両極に引きちぎられるように自らの激しい気性に振り回されます。
武勇と妻子を愛したヘクトールの最期の揺らぎ、
メネラオスの戦禍での悲痛な叫び。
アキレウスの復讐。
12人、殺すために選ぶシーンがあるのですが、
あの時は捕虜にしたのはパトロクロスが言ったから、けれどもう…というような部分。半神アキレウスの人間らしさを繋ぎ止めていた楔、
「アキレウスはパトロクロスにおいてだけ辛うじて人間性につながっており」p164 『イーリアス』ギリシア英雄叙事詩の世界 (岩波セミナーブックス)
父に愛され、神に愛され、友に恵まれ、美しい。そんな人が戦争の中で育ち、父にも会えなくなり、友も殺されて、一つ一つ剥奪されていき、嫌いな言葉ですが「無敵の人」になっていく様だと思っています。
プラトンの饗宴p46「パトロクロスのあとを追い、自分も一緒に死のうとしたのです」とあるのですが、この解釈だとアキレウスの戦争を使って殺されるまで殺すタイプの自殺に巻き込まれたトロイアの人々はたまったものではないですね。
メネラオスのように戦争をはじめた側が、長々と続く殺し合いに嘆き、それでももうどちらも終われない、怒りは甘く。死すべき人間は脆く。臓腑の河で血に濡れる人界と、ネクタルをあおるオリュンポスの神々。叙事詩の環。トロイの木馬はまだ出ません。
イリアスの登場人物は、原始的な素直さ、と訳者か誰かが称していましたが、人類史における戦争の繰り返しで、人間が共通理念として獲得した表層的な理性がイリアス内では未発達です。
人や人以外の動物は人間のエゴで殺してはいけなくて、他人のものは奪ってはいけなくて、死体蹴りはしてはいけない。
すべてが守られてはいません。
いえ、未発達…なのではなく、原始的な素直さ、つまり、これが人間の本来の姿なのかもしれないなとも思いました。ただ、現代の書物では、それらが、非倫理的という前提条件で書かれているのに、イリアスではこれが正当なこととして何ら疑問も無く書かれている節があり、それが本当に不安な気持ちにさせるのです。
昔、ドキュメンタリー番組でどこかの原住民の子供たちが猿の死体で遊んでいるのをみた時に感じた時のあの気持ち。現代人も教育を受け共通の理性の白粉を塗っただけで、本当の姿はこっち。原始的な生き物でしか無いのだろう。今後とも人間は何度も戦争をして、世界が統一されるまで戦争し続けて、一つになったとしても隣人を殺し、不審は増して少なく産んで、緩やかに滅びるのでは。と。
小規模戦争の形跡がトロイアから出てるらしく、トロイア戦争の実際は航路の拡大戦争とかの説もあるらしいです。ギリシャとトルコの戦争をギリシャ側がこんな神話にしたとしたらこんなグロテスクなことはないなと思います。
女奴隷たちが空気なのにまともに考え始めると境遇が地獄すぎる点が気分的にマイナス100億点、比喩が多すぎて話が進まない、盾の説明が超絶長いなどひっくるめて星4つでお願いいたします。
よみおわって2年くらいなのですがやはり未だに考えてしまう。そういう作品です。
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まずは上巻。登場人物(&神)が多すぎて、誰が神で誰が人か、誰が親で誰が子か、誰がアカイア側で誰がトロイエ側か、どんどん混乱してくんだけど、それでもやたら面白い。
話としては、ひたすらアカイアとトロイエの戦いなんだが、とにかく主要人物のキャラが立ちまくってる。戦争の原因をつくったパリスなんて顔だけの役立たずだし、アカイアの総大将アガメムノンは強欲のかたまりだし、俊足のアキレウスはアガメムノンへの恨みでいつまでもうじうじしてるし。数少ない知的な人物として描かれるネストルも若い日の武勇伝を延々語って、どこにでもいるジジイとしての側面が描かれる。
とはいえ、人間のダメっぷりなどゼウスとヘラに比べたら可愛いもので、最高位の神のくせになんなんだその行き当たりばったり出たとこ勝負感は。人間だっても少しもの考えて行動するだろうにと。
そんなわけで、キャラクタ小説としてとても楽しめる。魅力的なキャラがいれば物語は勝手に駆動していくんだなと。
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以前からホメロスは読まなきゃと思っていましたが、シュリーマンに触れ必要にかられて読み始めました。これが口承で伝わってきたのかと思うと奇跡ですが、ホメーロスの力はすごいなと見せつけられました。躍動感あふれる古代の英雄、その背後で身勝手に一喜一憂する神々。この対立はどうなんでしょうか。信仰も何もあったものではないと思うのはキリスト教的で、自然の不条理がこのように映じるのだなと持った次第です。
しかしこれ読んで発掘にとりかかったシュリーマンは何者かと思いましたが。
11/10/15
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この前読んだユスティノスの著作にけっこうホメロスの引用があったので、当時のギリシア語教養としてその辺を抑えておくのも必要なのかなと思い、この際読んでみることにした。
もっと退屈なものを想像していたけど、思った以上にダイナミックで臨場感あふれる感じで面白かった。しかし、人間の戦いや生き死にに私情で適当なちょっかいをかけて干渉してくるギリシア神たちの残酷さは恐ろしいけど、神とて決して完ぺきではなく、騙し騙されたり親に泣きついたりとなかなか憎めない。人間にしても、自分の女を取られたという理由だけでこんなに大規模な戦争を10年もしたり、すねて参戦をやめたりしているのだからしょうもない。そんな神・人間の利己的な成り行きの上に、義侠心による助け合いや勇猛な活躍の壮大な抒情詩が描かれるのがかえってその厚みを確かなものにしているように思える。
神の機嫌一つで英雄も死んでしまうが、現代のスポーツなんかでも神の計らいとしか思えないことは起こるものだ。古代の戦争でもそんなことがたくさんあり、それは時代を経ても変わらないのだろう。神のちょっかいは、人間の心の中にずーっと息づいている!
Posted by ブクログ
ホメロス「イリアス 」1/2 ギリシア神話にトロイア戦争の英雄史を足した 武闘的な叙事詩。敵と味方がわかりやすい二項対立な物語なので 単純で面白い。
人間の運命は 全て神の手の中にあることを暗示。神が人間の争いを仕掛ける→人間の争いが広がる→神同士まで争うようになる
Posted by ブクログ
古代ギリシャの叙事詩。トロイア戦争の末期、英雄アキレウスの怒りから大将ヘクトールの戦死までの数日間を描く。戦場に響き渡る大音声の名乗りや叱咤、雑魚キャラを撫で切りしていく英雄たちの豪快さは、ジャンプやマガジンの少年誌、コーエーのゲームにも通じるものがある。絢爛で大仰な表現がテンコ盛りであけっぴろげな壮大さが心地よい。古典だとか文学だとか肩肘はらずに楽しめました。
Posted by ブクログ
トロイア戦争のほんの一部。
いきなり途中から始まるので、状況把握にちょっと苦労するかも。
人間と神の自分勝手ぶりを大いに堪能できます。
でもヘクトルはかっこよし。
ただ、神様の異名やらが何の説明もなくバンバン出てくるの(巻末に解説あり)で、予備知識がないと読みづらいかと思います。