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Posted by ブクログ 2020年04月03日
短編2編と中編1編が収録。前作「dele」で徐々に明らかになり、ラストで判明した祐太郎と彼の家族に起った出来事とその真相、そして圭司(ケイ)の秘密が明かされ、今作のラストに収束していく様子は前作に続いて読みごたえがあったが切ないものだった。
彼らの抱えているものは消えないし、二人が別々の道に向かうラ...続きを読むストではあったが、祐太郎に関してはどこか前向きな印象を感じるものだった。
Posted by ブクログ 2019年08月08日
私は、この結末が好きだ。
あんなに真柴と一緒に怒っていたのに、、関わった人間に、実は化け物のような悪人はいなかった。
自分が生きている実際の世界もそうじゃないだろうか?
小説を読み慣れて、つい悪い方に穿ち過ぎてしまうけど、本当の悪人なんて早々いないものだ。
だからって、許せないことがあるのも事実。...続きを読む
それでも真柴が、鈴の死を乗り越える方法に気がついたことが嬉しかった。
一辺倒にはできないけど、私がなるとしたら、被害者側よりも加害者側の方が辛いと思う。
被害者は泣いて、怒って、許すことが出来れば乗り越えることができる。
もちろん簡単ではないけれど。
少なくとも、相手を責めることはできる。
でも加害者は一生背負っていく。簡単に乗り越えてしまってはいけない。良心が全くない人なんて、そんなに多くない。
そして自尊心や、自分の存在意義に関わってくる。
ケイはきつかっただろう。
Posted by ブクログ 2020年12月05日
ドラマも見てたけど読むのは今になった本その2。
アンチェインド・メロディもすきです。
9年間闇でもがき続けた祐太郎と、尊敬する父親が隠した不祥事が故にずっと向き合うことができなかったケイ。
ラストがすごく美しかった。
「そうか。これは最初から、俺の問題なのか」
Posted by ブクログ 2019年12月03日
1に引き続きおもしろかった。
故人に託された秘密のデータを削除する仕事。
テンポよく読み進められる作品。
圭司と祐太郎の関係性なんかいいなぁ、なんて読み進めていたら、祐太郎の過去に絡んでくる展開とは、、
みんな自分の身近で大事な人を守りたくて、根っからの悪人は出てこない結末に、なんだか切ない気持...続きを読むちになる。
故人の残したデータを見ても結局どうにもならないことが多いのかもしれないけど、この話の登場人物たちにとっては何らかの救いだったんだろうな。
Posted by ブクログ 2019年07月06日
1と2の感想。
知ることが救いになるのか、呪いになるのか、何も変わらないのか。祐太郎は、遺されたひとのために知りたいと願う。それに対して、圭司は、クライアントの遺志を尊重するべきだと考える。
どちらかというと、圭司に賛成かな、と思って読んでいた。何を伝えるか、伝えないか、勝手に仕分けするべきじゃな...続きを読むい。でも祐太郎は、そのひとに寄り添って、情報をどう扱うかをバランスよく判断できる、そういう感覚をもともと持っている人なんだと思う。
圭司が、未来のためにdeleを利用した母親の件から、少し変わっていく。これ、子どもと圭司のやりとりもすごくよかったなー
そうしてクライアントと遺された人にとっての最善を見出そうとするふたり…がもっと見たかった…
最後は、そこなの!?そこで繋がっちゃうの!?というやるせない気持ちに…
ふたりのスタンスの違いも、deleそのものも、そもそもの始まりはそこだったのか、という…辛いなー
ところで自分のことを考えると、消したいのはデジタルよりアナログなものが多いな…
Posted by ブクログ 2019年05月10日
シリーズ第2作目。
最後に1作目の伏線や祐太郎の妹の死の真相、圭司の父親のことなどが一気に明かされる。
ただ、ちょっと強引な気がしないでもない。
たったそれだけのことで隠ぺい工作が行われ、だれにもばれない?ちょっと無理がある気がする。
ただ、3作目が出るとのことなので期待。
Posted by ブクログ 2019年04月17日
去年の6月に読んだ本の続編。この続巻は次の月には出されたと思うけど、その時はあまり食指が伸びずに、この前中古本として仕入れた次第。
前作を引き継ぎ、短編が2つと、最後に少し長い話がひとつ。
祐太郎の亡くなった妹と離散した父母の話は、それまでも時折挿まれてきたが、最後の話はそこに行き着く。この話を書き...続きを読むたいために、ここまで話が重ねられたよう。
医療ミスで亡くなった妹、ミスを隠蔽した国と製薬会社、それを訴えんとしたために圧力をかけられ、結果、瓦解した家族…。
当時の真相を知るために圭とふたりでお得意の方法を駆使し、思わぬ横槍も入るが、サクサクと核心に迫る。
しかし、大山鳴動さそうとしても、巨悪は存在せず、あったのは人間の弱さばかり。なんとも微妙な結末ね。
死者の記憶が薄れていくことに罪悪感を感じる祐太郎だったが、その拘りが流れていったのが救い。忘れていくことが自然なことであり、人はそうして生きてきのだろうな。