【感想・ネタバレ】蓮の数式のレビュー

あらすじ

35歳の千穂は不妊治療を始めて10年、夫と義母からの嫌味に耐え続けてきた。ある日、夫が酒に酔った男・透を轢いてしまう。謝罪のため透を探す千穂は彼が算数障害だと気付き手を差し伸べる。だが、二人の関係を怪しみ千穂を追い詰める夫。一方的に疑われ、これまで抑えてきた感情を爆発させた千穂は、家を飛び出し透の元へ逃げるのだった――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

親による虐待や、ろくでなしの男に追われるという要素から「アンチェルの蝶」を連想させられました。ただ、登場人物のほとんどに共感できなかった点で、これまでに読んだ遠田作品に比べると心象が悪く感じます。

確かに、高山徹(=大西麗)や安西千穂の過去には哀れみを感じますが、殺人に対する罪悪感のない徹と彼に尽くす千穂、そして実の娘をないがしろにする賢治の身勝手さに対する苛立ちが、それを上回ってしまうのです。

さらに私が本作を受け入れづらいと感じた決定打があったとすれば、千穂の懐妊を徹が知った時の「あんたの自己満足のために子供を産むな」というセリフ。本作の登場人物のほとんどに嫌悪感を覚える要因はこれかな、と。

悲惨な過去や経歴があるとはいえ、自己満足を優先して他者(特に子供)をないがしろにする登場人物たちのそうした姿と、(これは勘違いかもですが)作品内にうっすらと漂う「彼らにも同情すべき点がある」という空気・雰囲気に、拒絶反応が生じていたのかもしれません。

文章に関しては、冒頭から終章までじっくりと、一文字も漏らさず読みたいと思わせるクオリティの高い作品だと思うのですが……読後感の良くなさが、嫌な感じで後を引いてしまいました。

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2018年03月03日
星のみの評価 8件

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