あらすじ
藤子・F・不二雄のSF短編112話を全8巻に完全収録した“PERFECT版”が登場! 鋭い風刺精神を存分に発揮した「藤子美学の世界」にどっぷり浸かれる作品集!
ある日突然、ある町のスーパーマーケットのむすめが、スーパーマンになってしまった。「女の子のくせに、えらいものになってくれたね」と嘆く両親だったが、町内会長がやって来て、「スーパーマンの店と大はやりになるだろう」と言ったことから、両親は大喜び。「がんばってスーパーマンをやりなさい」と言われるものの、むすめは何をしたらいいのかわからず……(第1話)。
乗っていた惑星間航行ロケットが故障し、生き残ったのはオレ1人。水、食料ともに底をついたが、救助艇がくるのは23日後だという。やっとの思いで不時着した地球型の惑星。そこには低い段階ながらも文明があり、ミノアというかわい子ちゃんとも出会うことができた。ところが、その文明というのが実は……(第2話)。
目次
第1話 スーパーさん
第2話 ミノタウロスの皿
第3話 ぼくのロボット
第4話 カイケツ小池さん
第5話 ボノム=底ぬけさん=
第6話 ドジ田ドジ郎の幸運
第7話 じじぬき
第8話 ヒョンヒョロ
第9話 自分会議
第10話 わが子・スーパーマン
第11話 気楽に殺ろうよ
第12話 アチタが見える
第13話 換身
第14話 劇画・オバQ
第15話 イヤなイヤなイヤな奴
感情タグBEST3
流石の一言
藤子・F・不二雄さんの凄さが際立つ作品。
こんなに古い作品なのに引き込まれていきます。
読み切り作品の為、読みやすさもあって非常に良いです。
すこしふしぎ
F先生の大人向け短編集。
単行本を比較検証するほどのマニアではないが、何種類かある単行本の中で収録作が多い。
オチの解釈が難しい話もあるが、表題作を含めて傑作も多い。
星新一のショートショート的
星新一のショートショートの漫画版といったところか。漫画でないと表現できないところをうまく描いている。
ボノム=底ぬけさん
「遺伝子と環境が人の性格を決定する。」別の言い方をすれば、「遺伝子と環境が人を操っている。」確かにそうなのかもしれない。作者の持論かも。
ドジ田ドジ郎の幸運
偶然という現象に目を付けた作品。やはり人の運とは偶然なのか。
じじぬき
実感。頑固爺さんの物語だが、ストーリー展開が非常に良い。最後の落ちもいい。
ヒョンヒョロ
大人は常識にとらわれ、子供はとらわれない。
自分会議
これは面白い。最後の落ちが悲しい。
わが子・スーパーマン
子供の純粋な気持ち、それを見事に表した秀作です。
気楽に殺ろうよ
殺人も見方を変えれば、正しい?
アチタが見える
オチが、未来の予言ではなく、過去の話だったとは。
換身
最後のシーンの警察官の、今ではタブーの一言。
劇画・オバQ
オバQのその後、正ちゃんが大人になった時の話。一人残されたオバQは・・・。
イヤな イヤな イヤな奴
物語の途中から、作者の意図が分かった。
こういう憎まれ役が必要なのだ、しかも命を懸けた・・・。
Posted by ブクログ
ミノタウロスの皿を、無料配信で読んでから手元に欲しくなり購入しました。本の装丁もよく、ずっしり素敵な重さなので、すでに大満足です。
ミノタウロスの皿はもちろんのこと、
私が好きだったのは「じじぬき」です。お話が二転三転しておもしろく、読後はなんとも哀愁のある、他では味わえない独特の感情になりました。
また、「ヒョンヒョロ」「自分会議」が、トラウマレベルで凄まじいと感じました。藤子・F・不二雄先生の可愛らしい絵柄とホラーSFテイストが絶妙にマッチしているからこそ、ここまで怖くなるんだと思います。
ミノタウロスの皿めあてでしたが、1冊まるまるとても良かったので、2巻目も購入予定です。
迷ったら買ってぜひ読んで欲しい1冊です。
大人向けの藤子F不二雄作品
勿論、お話がすごいです。
なかなかに面白い短編がそろっています。この巻では、全体的に初期作品と思われ、絵柄や内容も、もう少し後の時代の方が個人的には面白いと思っております。こんな衝撃的なストーリーよく考えられたものだな、感心しきりです。
富山の藤子・F・不二雄ミュージアムに行き、色んな作品が読みたいなと思ってこの本を購入しました!
ドラえもんやキテレツ大百科の作者だな!というのが伝わる面白い作品ばかりでした!
Posted by ブクログ
色々出てますけど、やっぱりPERFECT版を推します。
ハードカバーに白の手触りの良い特殊紙、装丁も重厚です。
自分の本棚の一番手前に並べておきたいタイトル第一位です。
藤子・F・不二雄先生の、「すこしふしぎ」をまだご存じない方にはぜひとも手に取って頂きたいです。オススメしといてなんですが、PERFECT版は手に入りづらいかもなので、今でしたら大全集で気軽に読めます。
「ミノタウルスの皿」は有名どころですが、拘らずに全部の話を気軽な気持ちで1篇1篇読んで見て下さい。きっとこの本は、宝物になるはず!
Posted by ブクログ
「スーパーさん」がイントロダクション的に終わってからの、いきなり「ミノタウロスの皿」。
人と話してて埒があかないときに、いつもこのマンガを思い出す。
あとは作者自らが培ってきた世界を、オチでしょんぼりに転換する「ヒョンヒョロ」「劇画・オバQ」が白眉。
Posted by ブクログ
これら、一連の藤子・F・不二雄SF短編作が出版された1970前後の頃、その売れ行きはさっぱりだったそうだ。「ドラえもん」は売れ行きが伸びているのに、時間をかけてリサーチして作っているSFはまるで売れなかったという。
しかし、名作は永い年月の間にもしっかりと残るもので、今こうして、全112話のSF短編は装丁を変えて新たに世に出され、読者に感動を与えている。物語の作り手からすると、これ以上の喜びはないのではないかと思う。
特に名作だと思うのは、1巻の「ミノタウロスの皿」「劇画オバQ」「気楽に殺ろうよ」、4巻の「カンビュセスの籤」「未来ドロボウ」。
いずれの作品も、考えもつかないような盲点を突いた価値観の逆転を示していて、しかも風刺がきいている。ほんの数十ページの短編だけれども、何千ページもの文学作品にも匹敵する大作だと思う。
その他の作品にも駄作というようなものはなく、純粋にSFとしてとてもレベルが高い。本来、「ドラえもん」のような作品よりも、きっとこういうSFの分野のほうが、藤子・F・不二雄の本領がより存分に発揮されている感じがする。
あたしたちの死は、そんなむだなもんじゃないわ。おおぜいの人の舌を楽しませるのよ。(p.34)
食欲、性欲・・ともに最も根源的な欲望ですな。
どちらが欠けても地球人は滅亡する。
ところで、このふたつのうちどっちかはずかしがらねばならんとすれば、はたしてどちらですかな。
食欲とはなにか!?個体を維持するためのものである!
個人的、閉鎖的、独善的、欲望といえますな。
性欲とは!?種族の存続を目的とする欲望である!
公共的、社会的、発展的、性格を有しておるわけです。(p.240)
そうか・・・正ちゃんに子供がね・・。
と、いうことは・・正ちゃんはもう子供じゃないってことだな・・・な・・・。(p.322)
Posted by ブクログ
<収録作品>
スーパーさん、ミノタウロスの皿、ぼくのロボット
カイケツ小池さん、ボノム=底ぬけさん=
ドジ田ドジ郎の幸運、じじぬき、ヒョロヒョロ、自分会議
わが子・スーパーマン、気楽に殺ろうよ、アチタが見える
換身、劇画・オバQ、イヤなイヤなイヤな奴
ドラえもんなど子どもたちに愛される作品で知られる
藤子先生ですが、この本はビッグコミックなど
大人向きの雑誌に連載されていた作品を集めたものです。
子ども向きのマンガにはないブラックさだったり
過激さだったりがありますが、どれも引き込まれる内容で、
人生に一度は読んでおくべき作品ばかりでした。
Posted by ブクログ
F先生のいろいろな顔が拝める。秀作揃いだが、中でもやはりブラックユーモアの形で常識に疑義を申し立てる「気楽に殺ろうよ」と、単なる動物愛護ではないイデオロギー批判の物語「ミノタウロスの皿」の二つが抜群に良い。
Posted by ブクログ
「ミノタウロスの皿」が読みたくなって購入。
「相手の立場に立って物事を考えていない」という主人公のぼやきが、そのまま主人公に返ってくるところはうまいと思う。
最後の絶望感も好きだが、どのように食べられたのかが気になる。
「ヒョンヒョロ」も面白い。最後に「子供が持っていたからかーーー!」となった気持ちよさはたまらない。子供のその後に思いを馳せるのも楽しい。
ただ、警察のシーンは蛇足に感じた。話が無駄に長くなっているだけで作品への効果は感じられなかった。
Posted by ブクログ
考察をググらなければわからない作品も何個かあったけれど、普段ほのぼのとしたドラえもんなどの作品に慣れ親しんでると、この絵柄で後味の悪い話を書かれることにゾワッとするものを感じた
Posted by ブクログ
ブラックユーモア満載。無料読切で話題になっていた"ミノタウルスの皿"は確かに衝撃受けた。立場を置き換えると自分たちがしていることが見えなくなるんだな。よく分かる。
Posted by ブクログ
NHKで短編ドラマ化されて放送されている。
蓮くんパパが、流血鬼に出演してた。
時代に合う様にアレンジされているので、
時代錯誤感はない。楽しめた。
で本書を読んでみると、藤子・F・不二雄が現役で活躍している時を知っている者でも、時代を感じてしまう作品もある。
全部読まなくたって合うモノを読んで藤子・F・不二雄ワールドを楽しめば良い。
^_^
追記 あとがきは娘さんが執筆している。
なかなか興味深い。
Posted by ブクログ
どの作品も大昔で自分が生れる何十年も前に書かれてる。
ずっと気になってたミロタウロスの話と、性欲と食欲が反転する話が読めて良かった。
作品の一つにオバQが出てきたけど、オバQも藤子不二雄やったんやと初めて知った。