【感想・ネタバレ】マルクス 資本論 1のレビュー

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Posted by ブクログ 2021年07月23日

疎外。本来、自分のものであるはずのものが自分から離れてよそよそしくなる。本来、労働は創造的な活動で、自己実現、人間能力の開花につながる。しかし、ものを生産する手段(労働者)を資本家が握る社会では、労働者は自分の人生や運命を決めることができない。
※疎外の指標(無力・無意味・孤立・自分が自分でないよう...続きを読むな感覚)。単純流れ作業の労働者は疎外感が高い。選択肢もなく、ただひたすら単純作業を機械のように続ける労働者。一方、職人は疎外感が低い。自分の技術を日々磨き、成長・やりがいを感じている。R・ブラウナー。

物の価値は労働量で決まる。資本家は労働者を酷使して、労働力をできるだけ多く搾り取る。人間は自分で素材を買い、働いて価値を付けて、売るのなら、搾取はどこにもない。靴職人が革を買って、それを加工して靴を作って売る。搾取はない。しかし、素材を買うお金がない人は労働力を売って生きるしかない。資本家は靴職人を雇って、靴を作らせ、その商品を売る。売上の一部を靴職人に賃金として渡す。資本家は安い賃金でたくさん靴を作らせた方が儲かる。労働者を限界までこき使うようになる。賃金以上に働いて生まれた価値(剰余価値)はすべて資本家のものになる。

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Posted by ブクログ 2020年06月04日

 学生時代に読んだ記憶があるのはこの第1巻のみ。今回30年ぶりに再読を思い立ったが、この岩波文庫版が第9巻まであるということを知り愕然とする。みんなよく読むよなあ。以前ホッブスの「リバイアサン」に手をつけたときは第3巻の最初で挫折、しかも今回は優にその3倍以上はある。全巻読破は無理かなと思いつつ、幸...続きを読むか不幸かコロナ禍で通勤時間が節約できている今しか読む機会はなかろう、と考え読み始めた。

 個人的に貴重な再発見であったのは以下のくだり。商品生産における価値体系「使用価値」「交換価値」とパラレルな形で、労働にも「具体的な有用労働」と「抽象的な人間労働」があり、交換価値は専ら労働時間で計量される抽象的人間労働」によりもたらされる。商品同士の交換では、一方の使用価値が他方の交換価値と相対するが、そこでは同時に私的で具体的な労働が社会的で抽象的な労働と対峙している。──有名な「労働の二重性」だが、ここで価値の交換が成り立つための条件を考察した先駆者としてアリストテレスが持ち出されているのが興味深い。交換されるべき価値の共約数である「人間の平等性(等一性)」の発見者として、マルクスはアリストテレスを高く評価しているのだ。当時はスコラ哲学を経てデカルトやベーコンの機械的人間論が幅を利かせ、アリストテレス的な形而上学は傍に追いやられていた時代だと理解していたのだが。

 本来なら等価交換で剰余価値が生まれるはずのない商品経済で、何故か価値の蓄積を続ける資本。その価値の源泉が、本来貨幣と等価交換されるべきその使用価値が消費された途端に交換価値を生じるような特殊な商品、すなわち「労働力」であったという転倒。労働力に超越論的に内在する剰余価値=使用価値と交換価値の差異を搾取しながら、ベンサム的功利で自らを正当化する資本を糾弾したところで第1巻は終了。

 この第1巻は比較的難解だとされているようだが、学生時代とは違い今改めて読むと意外にシンプルで読みやすく感じる。比較的有名な論点が多くいろんなところで言及されているせいもあるだろう。一方、事前に知りたいと思っていた物神化や類的本質といったマルクスを特徴づけるタームの出現頻度はここでは低く、本書を読んだだけではほとんど理解が進まなかった。

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Posted by ブクログ 2014年05月03日

これを読むとアリストテレスのすごさが分かる。とりあえず1〜3まで分からなくてもいいから黙って読めと言われているので、読む、非常に面白い。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2012年12月25日

アダムスミス,リカードの経済理論から,イギリスの経済を分析して体系を作りなおしたもの。
膨大な理論で,難解なところもある。
ヘーゲルの哲学との関係はうまく読み込めなかった。

時間,主体を捨象したマクロ経済学的側面を持ちながら,ミクロ経済学的論理を展開しているように読める。

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Posted by ブクログ 2012年05月07日

「20世紀最大の思想家」とも云われるマルクスの主著。
基本的には「経済学批判」の続きであり、改めて何かをいうことはない。ただマルクスの碩学さには恐れいる限りで、経済学に限らず哲学や文学、はては自然科学に至るまでのあらゆる文献から引用し、説を進めて行く。貨幣には様々な「手段(蓄蔵・支払etc)があるが...続きを読む、私が知る限りはマルクスがはじめて紹介しているようだ。
ともかく、これは読み物としても面白いというのは分かる。ペダンディックともいえる文章の書きかたは、読むものを惹きつける。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

 資本論。60年代の大学生たちを熱くさせたマルクスの資本論。岩波文庫全九巻中、第一巻。価値形態論が熱い。資本とは何か?についてとか書かれてる。おそらく、九冊中一番面白い巻かもしれない。けれど、二巻からなんかだれてくるのであります。。がんばって全部読んでみるでごわす。2008.5.26-19(4d).

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Posted by ブクログ 2009年10月04日

説明不要
聖書と並ぶ“永遠のベストセラー”
資本主義的生産メカニズムの正体と
その生成と発展と没落の必然性を
唯物史観の観点から説き明かした
革命家マルクスの集大成にして人類史上最大の大著
人生狂う恐れあり、要注意

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Posted by ブクログ 2023年01月07日

読みたいと思いながら長年躊躇してきた資本論をついに読んだ。まだ1巻だけで、9巻もあると思うと心が折れそうだが、時間をかけても読破したいと思う。

正直もっと硬い本だと身構えていて、確かに古い訳でもあってかなり硬いのだが、資本主義について、マルクスおじさんが分析したことを熱く語っている、その語り口調は...続きを読むなんとなく面白くてばーっと読むことができた。マルクスおじの言っていることはいま読んでもかなり正しいと思える。これだけ資本主義の現実というもの、資本家優位でそれに労働者が鞭打たれている現状を淡々と語られると、これに影響されて社会主義活動を進めた人たちの気持ちがよく分かる。(マルクスおじさんは決して資本主義を倒して社会主義を推し進めろと言っている訳じゃなく、純粋な資本主義の分析をしていただけだそうだが)

そもそも人間社会の営みというものは、全て神話から成り立っている。虚構を信じるという能力はサピエンスのみが得られた能力であり、それがなければ150人までしか社会を形成できないそうだ。(サピエンス全史より)
古来から、ギリシャ神話を信じて協力したり、キリスト教、儒教、仏教、ブシドー、ロマン主義、律法、そして国の発行する貨幣を信じた資本主義経済を信じて人々は協力しあって社会を形成している。いずれも自然界に実存する制度ではなく、人間が作り出した虚構で神話である。そして、いずれにも格差が生じ、甘い蜜を吸う人間が現れる。それでも人々が協力し合うのは、その神話を信じているからであり、誰も信じなくなって仕舞えば人間は協力することができなくなる。しかしいまさら土人に帰ることは不可能なので、別の神話に取って代わられることになる。資本主義という神話の虚構、その洗脳を完全に解いてしまったのがマルクスだった。そのせいで協力できなくなった人間たちが別のイデオロギーを掲げたが、資本主義社会の強大さには勝てなかった。人間には何らかの神話が必要なんだなぁ。

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Posted by ブクログ 2022年12月07日

資本主義社会の分析を目指し、その最も根本的な要素である「商品」や「価値」についての考察がされている。
私のような、マルクスの考え方に慣れていない人間にとっては、理解に時間がかかると思うが、根本的であるが故に、「よく考えたら当たり前じゃん!確かにそうだ!」となる内容が多い。マルクスの熱い表現(小説のよ...続きを読むうな、あるいは、居酒屋でくだをまくオッチャンのような)は好き嫌いが分かれると思う。
本の内容については、この後の2分冊目以降を読めば理解が深まる(と思いたい)が、私がこの本から得た視点を感じたことがあった。
この本を読んだ直後、ある政治家の「同性愛者は生産性がない」という発言が物議を醸したのだが、これはマルクス的にいえば人を再生産前提の「労働力」として見たときの「交換価値」にのみ着目したときの考え方だなぁ、と感じた。現実には、人にはそれ以外の側面がたくさんあるはずなのだが、マルクスが資本に感じている冷血的な視点で見たからこそ出てしまった発言なのかな、と捉えることができた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年01月28日

アダム・スミスが、資本主義社会を分業の観点から見ていたとするなら、このマルクスの『資本論』は、分業された社会を、アダム・スミスが見ていた社会を逆から、逆立ちして見ていたと言える。
ミクロに、モノが売られ、購入される、商品→←貨幣の場面を執拗に分析する。

流通過程
亜麻布ー貨幣ー聖書

貨幣の資本へ...続きを読むの転化。
資本は流通からは発生しない。

労働力。
資本は、生産手段の所有者が、市場で労働力の売り手を見出すところに成立する。
労働力の価値とは、その国の文化環境によって異なる。

例示が多いので、難解だが、まだなんとか理解できる。

形態変化
WーGーW

法則
流通手段の量
流通する商品の価格の総和。

貨幣流通の平均速度。
に規定される。

貨幣退蔵。

貨幣こそ商品。(p240)

資本の形成の歴史的過程
土地所有。
 ↓
貨幣の形態。
貨幣財産、商人資本、高利貸資本。

W-G-W
貨幣が媒体。
売りをもって始まり、買いをもって終わる。
最終目標は、商品獲得による使用価値の取得であり、欲望の充足である。

G-W-G
買いをもって始まり、売りをもって終わる。
商品が媒体。
最終的に貨幣が貨幣に交換される。
無意味で無目的な操作にも見える。
量的な相違のみ存在する。

G-W-G’
G'=G+⊿G
⊿G=余剰価値
この運動が、価値を資本に転化する。

(考察)
全ての商品の利益率が同じであるという前提がおかしい。

労働力の価値は、流通に入る前に決まっている。

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Posted by ブクログ 2011年09月24日

貧富の差は自己疎外により拡大再生産される。

資本主義社会では、持てる者は更に持ち物を増やし、持たざる者は更に持ち物を失う。
この理由を「疎外」概念で説明した。
これはとても明晰な分析だと思う。

働く、否働かざるを得なくなる、というのは、その非自主性故に、
心も体も懐も貧しくなってしまうのだ。
...続きを読むれについては、アリストテレースも言っていた。
「だから真っ当な市民は政治以外の場面で働いちゃダメなんだよ。生活の為に働くのは奴隷だけで良いんだよ。」

つまり、資本主義下で働く者は、本質的には資本家の奴隷なのだ。つまり、自由を身代とされた金の奴隷なのだ。

何か暗い話になりそうですが、ここで素敵な助け船が登場。
バタイユは言う「ある時点に達すると、拡張の利息は逆の利息、すなわち奢侈のそれによって相殺される。」。
稼ぎすぎるとマイナスになるくらい吐きださなくちゃいけなくなるよ、と。
つまり、富を独占しちゃうと革命を起こされちゃうよ、と。
あ、マルクスと同じだ。

(でも、ココから私有財産否定にまで跳んでしまったのは、マルクス痛恨のミスだろうなぁ。。)

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Posted by ブクログ 2010年05月23日

難しい。

様々な分野の様々な著作に現れるカール・マルクスという名。
その名を不動のものにした名著である。

しかし、難しいのでこれを読む必要は無い。
他の平易に内容を纏めたものをお奨めする。


マルクスは資本主義が崩壊すると予言した。
先に宣言しておく、マルクスの予言は的中する。
...続きを読むしかし、それがいつのことだかはわからない。

人間がこれでいいと思うまで、資本主義は機能し続ける。

この男の名が聞こえなくなる日は恐らくは来ないだろう。

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Posted by ブクログ 2015年10月19日

価値には交換価値と使用価値が存在する。
交換価値は労働時間で表される。
交換価値が同一のものが交換される。
交換価値を表す物差しになるのが貨幣。
貨幣は貴金属、特に金。
流通の中では剰余価値は生まれない。
労働者は自由を失わない範囲で自分を売る。
貨幣所有者は、労働者に前貸しで労働を買う。

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Posted by ブクログ 2011年07月08日

長い割に、話が進まない印象を持ちました。それだけ、細かい所を読解できなかったのかもしれません。経済学の概論とか原論とかで学ぶことが書いてあります。経済学を学びたい高校生なんかは目を通してみるといいかもしれません。思想的な意味も持っているでしょうが、そこはよくわかりませんでした。

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Posted by ブクログ 2009年10月07日

文体は難しいが、とくに難しいことが書かれているのではない。商品の分析からはじめて貨幣という商品を導き出し、交換過程へすすみ、資本の蓄積の秘密として、労働力という特殊な商品を導くところまでです。それにしても、明治維新の前年にこんな著作があったのはすごいことです。現代社会を見る眼も養うことができます。遊...続きを読む牧民が交換過程で果たした役割とか、日本の開国が日本経済に与える影響とか、トルコ帝国がなぜ長く存立したのかということも注釈に書いてあります。資本主義の条件として賃金労働が存在することを指摘している点は重要な点です。資本論はその名のとおり資本のしくみを分析している本で、社会主義の聖書ではないことは心得ておく必要があります。

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