【感想・ネタバレ】ロミオとロミオは永遠に〔下〕のレビュー

あらすじ

「大東京学園」の存在意義に疑問を感じはじめたアキラは、何者かの計略により「新宿」クラスへと降格になってしまう。そこでは、リーダーのシマバラはじめ13人の生徒たちが、学園からの脱走計画に命を燃やしていた。一方、肉親の死に絶望し、20世紀への想いを募らせるシゲル。それぞれの想いが交錯するなか、学園最大のイベント「大東京オリンピック」の開催日にして、“脱走の特異日”である10月10日が迫っていた――。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

古本屋でタイトルにひかれて購入

最初の方は物語の設定に付いていくのがちょっと出来なかったかな。新地球とか今普通にあるものがとっくに過去のもので…とか。
でも、設定が飲み込めてからは一気にその世界に入り込めた
授業の内容や試験など想像すると酷過ぎてひいてしまったけど、アングラでの話を読んでる時は楽しかった

ラストは「脱出できた!ん?昭和?…良かった…の?」って感じでした
てっきり未来とかもっと次元の違うところに行くのが成仏だと考えていたので(笑)
ハママツやナガオカ達の後が凄く気になる。観覧車何日いれられるのか…
オチャノミズが冒頭の弟だったことには驚いた。いや、だいぶヒントは合ったから気付けたはずなのにあの気配の薄さというのか、すぐ後ろに居たのに気づけなかった感じ。悔しい

読んでる時のハラハラ感はとても楽しかった

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2016年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

舞台は近未来。
戦争、科学、核実験、自然破壊…
先人たちの負の財産に埋もれた地球。
他国の人々は既に“新地球”に移住し、
残された日本人にあるのは果てしない絶望のみ。

そんな中、親族や地域の希望を背負って
日本各地から集まった少年たちが
「大東京学園」で繰り広げる学生生活。
友情と葛藤、挫折と憧憬
揺らぎ迷いながらも懸命に生きる生徒たち。

登場人物たちの漲る生命力に圧倒され、
臨場感ある文章に煽られ、どんどん広がっていくイメージ。
まるで、自分も主人公たちと一緒に闘っているような。

宙に舞うイエローキャブに乗った生活指導・タダノは、
数多い登場人物の中でも特に存在感のあるキャラ。
「新宿」クラスの天敵である彼は本当に強烈。笑

そして、学園の地下に広がる夜の世界“アンダーグラウンド”。
そこで行われる“部活動”は、物・金・人が溢れていた時代、
前世紀サブカルチャーの幻影に想いを馳せる生徒たちの青春。
日中は閉鎖的な学園で歪んだ学業に徹し、
夜はアングラで思い思いに興に入る、という暗黙のルール。

東京23区から名を取ったクラス分けや、
月に一度の“実力テスト”もといサバイバルゲーム、
大東京オリンピック(いわゆる体育祭のようなもの)は
全て学園が取り決めた特別ルールがあり、内容も相当ユニーク。

大東京オリンピック開催中に仮想現実が入り混じり、
まさに混沌としか言いようがない事態が起きるのですが…
“直立二足歩行する恐竜のような怪獣”
“頭に赤いリボンをつけた巨大な白い猫”
“真っ黒な耳、黄色い靴を履いた巨大なネズミ”
他にも巨大なビーグル犬やらペンギンやらがどんどん出てきて、
キャラクター同士で闘いだすんだから思わず笑っちゃいます。
ゴジラにウエスタンラリアットかますキティちゃんw 強いww

下巻中盤からは、少年たちの息を飲むような脱走劇。
繋がる点と線、クライマックスの緊迫感がたまりません。
同志たちが次々に倒れていくシーンは何度読んでもつらいです。

最後の最後で驚きの展開。
「脱走」の本当の意味は、読み手によっては
ハッピーエンドともバッドエンドとも捉えられる気がします。

巻末に「サブカルチャー用語大辞典」が載っていて、
その解説もおもしろかったです。

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2016年09月25日

Posted by ブクログ

ネタバレ

昭和から平成初期までのカルチャーを閉じ込め、タイムカプセルに仕立て上げたような小説でした。
それは物語の構成とも通じるものがあります。

恩田さんは「ハッピーエンドのつもりだった…なんだか非常に絶望的な結末に感じ」たとあとがきで書かれています。

個人的には、喪失感が募るラストでした。
失われたと感じるのは、カルチャーに対してか。未来への希望に対してか。
現代は、まるで荒涼とした地雷原を腹這いで手探りに進むようです。何もかも食い尽くしてしまい、あとは滅びるのをゆっくりと待つ虚しさを感じます。
本当は展望と野心をいっぱいに抱え、欲望のままにコンテンツを消費し続けられたらいいのに。

『成仏』によって高度経済成長期の日本へトリップが叶ったアキラやシゲルたちが羨ましい限りです。

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2023年02月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

近未来を舞台にした、サイバーパンクサブカルチャーSF学園もの作品。

ざっくり言えば壮大なる脱走劇なのだが、散りばめられてるネタが20世紀をオマージュしてるとかで、昭和ものの話がてんこ盛り。

昭和を生きた人間からすると懐かしさや郷愁が漂う。

そこに恩田作品定番である学園もの、「ドミノ」のようなハチャメチャ感、サイバーパンクなSF感が盛り込まれた爽快なエンタメ作品で、上下巻でありながらあっという間に読みきってしまうほどの仕上がり。

ただあまりにいろいろなことを詰め込みすぎて、中途半端さ感が否めないところがちょっと。

様々な展開を見せるてんこ盛り作品は「ドミノ」くらいに抑えた方がしっくりくるなぁという気がする。

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2015年12月13日

Posted by ブクログ

ネタバレ

再読。「大脱走」っぽいなあと思いながら読んでいたら、あとがきによるとまさに恩田さんは「大脱走」のイメージで書かれていた。途中脱走計画を妨げる数々の妨害や障害に、胸がヒリヒリする失敗が続いて、ちょっとしんどい。まさに「大脱走」。最後に「成仏」の意味が解き明かされ、ちょっとあっけにとられたけど、微笑ましくて、まあいっかという結末。やっぱり恩田さんの中では異色作かな。

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2015年02月25日

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