あらすじ
高坂哲史が、両親の遺した定食屋『てしをや』を妹とともに継いで三年。店は常連を中心に愛され、経営も軌道に乗ってきた。そして、哲史に神様から託されたもう一つの大切な任務である「死者の未練を晴らすこと」もつつがなく進んでいく。憑依された死者とともに哲史が作るのは、羽根つき餃子、〆の焼きそば、冬瓜のスープ……。ところが順調なはずの哲史の日常は、てしをやにライバル店舗が登場したことで大いに乱されてしまい──? 温かい料理が伝えた気持ちに涙が自然と溢れ出す、ハートフルストーリー第五弾。
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Posted by ブクログ
食と真摯に向き合う人たちの思いが光る一冊。信念や目的を忘れてしまった時、商売は単なる金もうけになってしまう。てしおをやさん、自分もいつかそののれんをくぐらせていただきます。
Posted by ブクログ
悔いなく生きることの難しさよ
“明けない夜はない”と同義で“止まない雨はない”というのがあると思うが(止んでくれないと困っちゃう)、生き続けているうちは時間は過ぎて行くし、どんなに変えられない過去を悔いたとしても、飲み込んでいかなきゃいけないこともある
立ち止まるといろいろ考え込んで落ち込んだりもするけれど、雨宿りついでにひと息少し休んで、足元注意しながら進められるといい
目線を上げて周りを見れるようになったら、雨も雨上がりも、楽しめるようになるといい
薬に活きのいいって言うの、初めて見たかもw
冷静に考えると効きすぎる薬もヤバそうだけど、昨今気象病は悩ましいトコロよね
妹ちゃんと彼はようやくくっついたか〜(料理談議を生暖かく見る壁になりたいw
餃子の作り方は参考にしたい
Posted by ブクログ
神様とのやりとりは軽快でコミカルでついつい笑ってしまうのだけれど、「案件」は切なくて暖かくていつも泣かされてしまう。
おばちゃんのことはいいから、若い子達幸せになってくれ。
は、完全同意。ホンマそれ。
コミカライズするそうなので、期待して待ちます。好きなタイプの作画だと尚良いんだけどなぁ。
Posted by ブクログ
どの話も涙がとまらなくて外出先で読むのが大変でした。
故人を想う気持ちも大切ですが、生きている人が日々前向きに生活しているのが、故人にとっても幸せなのかなと思いました。
自分も亡くなるなら、そう思うかもしれません。
『お局焼きそば』のようなセクハラ・パワハラは、女性は誰しも経験があると思うので、こんなお局様がいてくれたらなと思いました。
「おばちゃんのことはいいから!若い子たち!幸せになってくれ!」には共感しました。
私もそろそろおばちゃんなので、若い子には、私が嫌だと思った経験はしてほしくないな。
志穂さんと敦志くんが結ばれたのがよかったです。
お話に出てきた料理、作ってみたいなと思いました。
Posted by ブクログ
安定の面白さで、楽しんで読めた
志穂に彼氏ができたのも良かったし、それぞれの話も良い話だった
食品偽装したカフェを、もっとこらしめる内容があれば、もっとスカッとしたかなとは思った
Posted by ブクログ
両親の定食屋「てしをや」を継いだ高坂哲史が、神様から託された「死者の未練を晴らす」という使命を果たしながら日々を過ごす物語。常連客に愛され、経営も順調な三年目の「てしをや」だが、ライバル店舗の登場によって平穏な日常が揺らぎ始める。今回もまた、温かな料理とともに様々な人々の心が癒されていく。
登場するエピソードはいずれも心に残る。
小学生で早逝したヒロトの好物・羽根つき餃子を通して、息子を失った父親が後悔から解き放たれる話は切なくも温かい。忙しさにかまけて家族との時間を持てなかった父の悔恨と、ヒロトの想いが交わる瞬間には胸が熱くなる。
「お局焼きそば」と呼ばれたベテラン女性社員の物語も印象的だった。若手を守るために嫌われ役を買って出ていた彼女の真実を後任が知り、涙する場面は、人生の中で見えないところで自分を支えてくれていた人の存在を思い起こさせる。
また、頑固な肉卸の親父が冬瓜スープを通して娘と和解する話も胸を打つ。勘当した娘への後悔を抱き続けていた父と、素直になれなかった娘。生前できなかった仲直りを料理がつないでくれる場面は、このシリーズらしい温かさにあふれている。
ライバル店で産地偽装疑惑が浮上するが、かつての恩を返すべく肉卸の親父が舌と知識で真実を暴く展開も痛快。料理と人の縁が、ここでも物語を動かしていく。
さらに妹・志保の恋愛模様も決着。ケンジと結ばれ、失恋したアツシは自分のビールで作られた豚肉のビール煮を食べながら、それぞれの想いを受け入れる。小さな人間模様にほっとする結末だった。
全体を通じて、死者の未練を晴らすというテーマの根底には「料理を通して心をつなぐ」という一貫した温かさがある。雨が止んだ後の澄んだ空のように、読後にはじんわりとした明るさが残る一冊だった。