【感想・ネタバレ】僕たちが何者でもなかった頃の話をしようのレビュー

あらすじ

あんな偉い人でも、なんだ自分と同じじゃないかということを感じとってほしい ――永田和宏「はじめに」より

細胞生物学者にして、歌人としても著名な永田和宏・京都産業大教授から、あこがれの対象を持っていない若い世代へおくるメッセージ。
各界を代表する人物の講演と、永田氏との対談を収録。

「あんなに偉い人でも自分と同じ失敗や挫折を経験してきたのかと、また将来への不安や焦りもあったのかと、その場で驚き、感じとってほしい。それはそのまま、自分の将来にひとつの可能性を開くことになるはずである。ひょっとしたら自分だってと思えるということは、それに向かって努力してみようかと思うことでもあろう。初めから圏外のものとして除外するのではなく、ひょっとしたらと思えることだけでも、その若さに可能性を付与することになるはずである」

◆目次◆

第1章 山中伸弥(京都大学iPS細胞研究所所長)
「失敗しても、夢中になれることを追いかけて」
【対談】環境を変える、自分が変わる

第2章 羽生善治(将棋棋士)
「挑戦する勇気」
【対談】“あいまいさ”から生まれるもの

第3章 是枝裕和(映画監督)
「映画を撮りながら考えたこと」
【対談】先入観が崩れるとき、世界を発見する

第4章 山極壽一(京都大学総長、霊長類学者)
「挫折から次のステップが開ける」
【対談】おもろいこと、やろうじゃないか

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Posted by ブクログ

ネタバレ

素晴らしい、著名な方々、偉人を一定人たちが何を考えているかを語ってくれている。
どういう姿勢で物事を捉えているかを話してくれている。
特に初めの二人が良い。
山中先生の苦手なことで挫折したけど、新しくチャレンジして得意なものを突き詰めていって成功するあたりの話は非常に重要。
羽生さんの感性・理論としての将棋の向き合い方も素晴らしい。
自分の好奇心に従ってトコトン突き詰める。この姿勢を大事にしたい。

大事な一歩は自分で決断して移動すると決めたこと
アメリカに行くことで、「こんなにすごい人がいるんだ」「なんだ、自分と同じじゃないか」という2つの現実を知ることができる。
良い研究と同じくらい、どう講演で発表するかが重要。
何をしたら正解というのはないが、何もしないというのだけはやめてほしい。なにか打ち込めることを見つけて欲しい。

誰でもミスはする。その後にミスを重ねて傷を深くしないことが大事。「今、初めてその局面に出会ったのだとしたら」というその時点から見る姿勢が必要。
挑戦には「様々な種類のものさしを持つ」事が大事。これを持てば不安にならずに進める。
挑戦に結果を求めると上手くいかない時に苦しさが出る。そのプロセスの中に「面白い、価値がある」という感動を見つけられることが原動力になる。
新しいアイデアは実はあまりなく、今までにあるアイデアとアイデアを過去に例がない組み合わせで用いている、事が多い
情報化社会により、スタートラインに立つための情報量のハードルが高くなっている。
手堅い手法を続けることは、短期的にはリスクは低いが、長期的にはリスクが高い。挑戦することが安全策の場合もある。
冒険や小さな挑戦、身近で未知なるものに出会う機械を求めることが大事。

レンズ、カメラを通すことで、普段そこにあるけど見ていないものに気づくことができる。

自分にしかできないことを探す、他人にできることはその人に任せる。
諦めなけれはいつか何らかの方法で叶う、だけどいい塩梅で見極めることも大事。「いい加減にしよう」と言ってくれる友だちがいれば良い

0
2018年12月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「僕たちが何者でもなかった頃の話をしよう」 山中伸弥 羽生善治、是枝裕和、山極壽一、永田和宏
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京都産業大学での講演・対談シリーズ「マイ・チャレンジ一歩踏み出せば、何かが始まる!」。どんな偉大な人にも、悩み、失敗を重ねた挫折の時があった。彼らの背中を押してチャレンジさせたものは何だったのか。
「BOOK」データベースより
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すごい人たちの講演と対談をまとめたものです。
山中伸弥さんと羽生善治さんが何となく好きなので買ってみました。

この講演・対談は大学で行われたものだそうです。
講演・対談の趣旨としては、
『最近の大学生たちは「あの人と自分は最初から違う人種」とか「あの人は特別だから」というある種の線引きを最初にしている。
なので「あの人のようになりたい」とか憧れをもつこと自体少なくなっているように感じられるけど、実は一流の人たちも自分たちと同じような人間で自分らとそんなに違わないんだよということを、若者にも知ってもらいたい』
みたいな感じです。

最近の若者が、っていうわけでもないと思うけどね。。
最近の若者をうみ出してきた最近の中高年がこういうおまじないを唱えて生きてきた結果、最近の若者がそれを受け継いでるだけで。。。
年齢問わず、今を生きる多くの人がある程度は当たり前に持ってる考え方なんじゃないかしら。

「あの人と自分は最初から違う」っていうのは真実でもあるのだが、都合よく線引きするにとても便利な言葉だと思う。
「あの人と自分は最初から違うから、自分には無理」という思考をいろんな場面で使うようになっちゃうと、あんまりよろしくはなさそう。

あと、相手が芸能人だと「芸能人なんだからこれくらい言われるの当然」みたいに、芸能人特別枠でバッシングすることもよくある気がする。
けど、私はこれも個人的にあんまり好きじゃない。
なんか、自分と違う枠で都合よく扱って、大事なことが色々見えなくなったり気づけなくなってく気がして。。
こないだワイドなショーで髭男爵の人が、一般人から浴びせられる辛口評価にたいして
「その厳しい目、自分自身の人生に向ける勇気ある? あるんやったらいいんですけど」 
って言ってたんだけど、それよね。
なんか、他人を別枠扱いにして、自分自身のいたらなさや努力不足から逃げてんのはあんまりかっこよくないなぁと思うのよね。
まぁかといってストイックに生きるのはしんどいし、適度に活用するくらいならアリだと思うけどさ~。私だって時々「あの人は最初から違うわ」とか言うし。
ただ、使いすぎには気を付けたい。


話は戻りますが、本の内容について。
講演や対談を本におこしたものなので読みやすいです。
すぐ読めます。
そんで、グッとくる一言も多いです。
経験値をたくさん積んでる人は、経験値を集約して、極めてシンプルな理論を確立させてるなぁ、というのを全体を通して感じました。
またこのシンプル理論がなんともいい具合に響くのだ。
こういうシンプル理論は、40年近く生きてきた普通レベルの私でも多少あるんだけど、バラバラしてたいろんな経験とか知識の集合の中から共通項を発見するってなかなか面白いのよね。
世の理を発見した気になる、みたいな?
学者さんに将棋の名人、映画監督などジャンルは違うけど、その道を極めた人の話は面白い。
世界に名を成すような人だけでなく、近所のママ友とか、別の職種の友達とか、普通の人たちでも、話してみるとその人なりの仕事論とか、その人が見つけた真理とか垣間見えるときがあってすごく面白いなぁと思う。
偉人じゃなくてもさ、人の生きざまを知るってのはそれだけで面白いもんですよね。
家族も同じで、親の生きざまも意外と知らないから、年取ってから若い頃の話を聞いて新発見することもあるし。
うちのじいさんに至っては、亡くなってから実はバツイチだったって聞いて家族一同びっくりだもんね(笑)
この本のなかではそこまで各自の人生を掘り下げてるわけでもないので、「こんなすごい人も実は若い頃は普通だったんだ」と思うにはちょっと物足りない感はあるんだけど、でもやっばその人の人となりを知れるので面白いです。

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2017年11月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

是枝監督のファンなので読みました。
天才5人がみんなと同じ人間だということを実感してもらうための書籍とのことでしたが、やはり5人とも若くから頭角を現しているように思う。

以下、備忘録。
山中伸弥
・iPS細胞のiはiPhoneをパクって小文字にした
・アメリカではみんな「素晴らしい研究だから頑張れ」と励ましてくれた。
日本では「こういうやり方ではダメだ」と忠告の方が多い。ディスカッションで大事なのは、身分の上下があっては絶対にいけない。
・学生時代に海外に行って欲しい。
・20代の失敗は宝物。財産。失敗してでも夢中になれることを見つけて欲しい

羽生善治
・様々な物差しを身につける。3年かかって英語を身につけたら3年の物差し、1週間で竹馬をマスターしたら1週間の物差し。
・棋士になって、コマを動かす楽しさは捨てなければいけなかった。

是枝裕和
・講演が苦手。1人で喋るのが苦手。
・1960年代のテレビドキュメンタリーに権力の抑圧を受けて歪められた姿がみえる
・英語が苦手
・小説家になりたい
・学生時代、サークルは入らなかった
・大学在学中から映画を撮りたいと思っていた。映画を見まくっていた。
・協調性がなかった。大人を信用していなかった。
・クイズ番組、旅番組、情報番組を1年目にやらされてくだらないとしか思えなかった。
・自分は全く役に立たないと悩んでいた。初めてディレクターとして「地球ZIGZAG」という体験型ドキュメンタリーを作った。
・1本目でやらせをした。演出というものに自覚的になった。
・先入観が崩れることが面白い。面白いことが起きてると感じる反射神経が最も求められること。
・映画は自己表現じゃない。
何かをじっと見ている表情を、見ている先を映さずに撮ると、何を見ているのかを含めて観客はフレームの外を想像し、人物の内面に寄り添う。
・映画を観てる人が、分かってくれるだろうという信頼感がないと説明に走ってしまう。テレビはながら見でも分かるように作るが、地球ZIG ZAGのプロデューサーからは「誰か一人に向けて作れ」と言われた。彼女でも母親でも。それが今も役に立ってる。
・自分の映画で取り上げたものが日常に戻った時にちょっと違って見えるようになるよう意識している
・普段自分たちは全然物事をみていない。カメラは世界を発見する道具と子供たちにも教えている。
・巡るというのが好き。楕円時間。1年経って桜が咲いているが去年のものとは違う。少し成長、進んでいる。
登場する人物にも変化が生まれる。
・悪を排除して解決出来ることなんて大して問題じゃない。
神もいないと思ってるので、グレーゾーンの中で物語を作り続けたい。

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2022年09月11日

Posted by ブクログ

ネタバレ

山中伸弥:受精後、最初の1週間ぐらいは、受精卵はお母さんの子宮の中でプカプカと浮いていて、1週間位して子宮の壁に潜り込んで妊娠が成立します
羽生善治:挑戦と言うと、何か大きな目標に向かっていくことを想像しがちですが、毎日の生活の中で何かを選択したり、新しい知識を得ようとすることも、小さな挑戦の積み重ねと言えるのではないでしょうか
是枝裕和:自分が学生の頃は、先生とか大人と言うものを全く信用していなくて、まともに学校に通っていませんでした

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2019年05月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

著名な方々(山中伸弥、羽生善治、是枝裕和、山極壽一、永田和宏)の講演・対談集。この著名人の中に興味がある人がいれば楽しめる。何者でもなかった頃、いわゆる若手時代が語られている。自分に響いた箇所は以下。

「どうしたってインターネットで得られないものがある。それは、考え方です。知識をどう使うか。どうやっておもしろいことを見つけ出すか。」

「人間の一番重要な能力は、諦めないということです。動物はできなかったら諦めちゃう。人間はしつこいんです。」「失敗しても失敗しても諦めない。だから人間は空を飛べるようになったし、海中深く潜れるようになったし、様々な道具を発明して、人間の身体以上のことができるようになった」

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2024年06月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

歌人の永田和宏氏がホストで私の好きな是枝監督、ipsの山中教授、(他将棋の羽生氏、山極氏)との対談集。
ここまで一角の人物になるにはいろいろな苦労や下積みがあったからこそ。そこであきらめたり腐ったりしてたらそこで終わりだものね。
あきらめない才能ってあるんだね。

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2018年02月21日

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