あらすじ
テクノロジーの不可避な変化が向かう未来とは?
人工知能、 仮想現実、 拡張現実、 ロボット、
ブロックチェーン、 IoT、 シンギュラリティ――
これから30年の間に 私たちの生活に破壊的変化をもたらすテクノロジーはすべて、12の不可避な潮流から読み解ける。前作『テクニウム』でテクノロジー進化の原理を鮮やかに描き出したWIRED創刊編集長による待望の最新作!
(原書タイトル:THE INEVITABLE)
[目次]
1.BECOMING―ビカミング
2.COGNIFYING―コグニファイング
3.FLOWING―フローイング
4.SCREENING―スクリーニング
5.ACCESSING―アクセシング
6.SHARING―シェアリング
7.FILTERING―フィルタリング
8.REMIXING―リミクシング
9.INTERACTING―インタラクティング
10.TRACKING―トラッキング
11.QUESTIONING―クエスチョニング
12.BEGINNING―ビギニング
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Posted by ブクログ
2016年の本ながら今でも有用。備忘録的に目次解説残しておきます。
1.Becoming
2.Cognifying
3.Flowing
4.Screening
5.Accessing
6.Sharing
7.Filtering
8.Remixing
9.Interacting
10.Tracking
11.Questioning
12.Beginning
1. Becoming
地球をテクノロジーが覆い、止まることのないアップデートが永遠続くという意味において、ネット化したデジタル世界は名詞(結果)ではなく動詞(プロセス)化する。テクノロジーは生命のように生態系を構成(=テクニウム空間)し、我々は目的地となるユートピア的な発想ではなく、明日が今日よりも良くなるというプロトピア(ある状態になっていくことを指す言葉)の世界観を持つ。その中では、新たに生み出される利便性と同じくらい新しい問題も起きてくる。
2. Cognifying
ほんのちょっとであれAIによる認知機能を組み込むだけで、全てが従来とはまるで違うレベルの働きをするようになる。AIは無料化されコモンズ(=共有物)となり、この惑星を膜のように覆い(ネットワーク化されたAI超生命体、そしてスタンドアロンのAIとが共存する)、人間全ての文明からフィードバックを受けて自動修正され、強化され、新たなサービス価値を生む。それは「無料である」ということを超えた生成的な価値で、即時性、パーソナライズ、解釈(マニュアルとか)、信頼性、アクセス可能性(保管、アクセスの便利さ)、実体化(身体性)、発見可能性(レコメンドやレビュー)等が想定される。
ディープブルーがガルリ・カスタロフを最初に破ったのは1997年。その後に、カスタロフはデータベースツールを使うのがAIに許されるなら人間が使ってもいいはずだという考えから、人間の知性を拡張するマシン強化型プレーヤー(=ケンタウロス)による試合を考案した。これからは、ロボットやマシンと一緒に働くプロセスを最適化できたものが成功を掴む。つまり、われわれ人間の役割は、ロボットのために仕事を作り続けることだ。
3. Flowing
デジタルであるということは、自由にコピーを繰り返されるということ。あらゆるサービスが他の領域に流れて合流していく。
4. Screening
つまりは、本などに固定されること無く流動化して、空間の画面で読まれるようになるということ。
デジタル化によって人は本を読まなくなったというが、人々が「文字」を読む時間は1980年代と比べてほぼ3倍になっている。いわゆる「文章」を読むばかりでなく、MVの歌詞や映画のエンドロールやアバターのやり取りの吹き出しやラベルやオンラインの図形に出てくる言葉を解読するようになる。我々のこの新しい活動は読書(リーディング)というより「画面で読む(スクリーニング)」と呼ぶ方が正しいだろう。言葉を読むばかりか、イメージを読んだりすることさえ含まれる。
5. Accessing
デジタルになると、すべての製品がサービス化してリアルタイムにアクセスされるようになる。まずその変化は音楽(Spotify等)から始まり、映画(Netflix等)、そして他の領域にも展開していく。所有の概念が変化する。
6. Sharing
さらに、シェアによって所有という概念が時代遅れになる。これは、アドホクラシー(構造のない組織)、デジタル社会主義といったものを実現する、コラボレーションを可能にするソーシャルテクノロジーである。最貧層への医療提供や無料大学の教科書開発、珍しい病気の薬の開発資金調達にも使われる。現在の資本主義社会の人間があまり価値を置いていなかった、シェアやコラボレーション、オープン化、自由価格、透明化などに力がシフトしていく。また、資本主義においては、生産者と消費者は明確に分かれているものと考えられていたが、これからはトフラーの言うプロシューマー(生産者+消費者)といった概念が一般的になる。
7. Filtering
コンテンツの増え過ぎにより見つけたいものが見つからなくなるため、フィルタリング機能がこれからますます重要になる。フィルタリング機能は、ゲートキーパー(親、権威、牧師、教師)、仲介者(出版社、音楽レーベル)、キュレーター、ブランド、政府、文化的環境、友人、われわれ、といったもので分類される。時間の奪い合いが始まっているわけだが、アテンションの時間は等しく24時間しかない。そのアテンションの先にお金が流れる。
8. Remixing
Flowingされるようになると、サービス化した従来の産業やコンテンツが自由にリミックスして新しい形となる。音楽用語では、リミックスやマッシュアップ、サンプリング。さらには、分配、借用、変換、変異し、改良され、進化したものがリミックスだ。何らかの価値を持つ創造物はやがて明日には何か違うものになる。これから30年の間に生まれる最も重要な文化的作品や強力なメディアは最もリミックスされたものになる。
9. Interacting
VRのような機能によってプレゼンスは解像度が上がり、コマ数がアップし、コントラストが増し、カラー表現の幅が広がり、音響が豊かになる。VRはプレゼンスとインタラクティブ。しかし、VRの真の凄さはインタラクティブにある。マイノリティリポートとかアイアンマンみたいに空間で手を動かすものではなく(=疲れる)、手話に近いものや、目で選んだり、ぶつぶつしゃべったりといった操作方法になる。ウェアラブル、BMI、各種センサーによってより多くの感覚を使うことになり、すべての体験の没入感が格段に増す。クアッドコプターの操縦などは正にそれ。ゲーミィフィケーションの手法で実際の生活でも参加者を好ましい方向に誘導できるようになる(ポイントが貯まる、スコアが出せる、レベルが上がる)。
10. Tracking
自分が何者であるか解き明かす非正規IDサービスなども出てくる。定量化された自己(Quantified self) を管理する時代に。そうした全てを追跡するセルフトラッキングは健康分野だけでなく、あらゆるサービスを向上させ、ライフストリームを記録し、現在のライフログを超えた電子版人生の物語を紡ぐ。
11. Questioning
問題を解決する以上に新たな良い疑問を生み出す。Wikipediaは社会の力についての新しい評価を生んだ(こんな辞書が成立するなどは誰しもが信じていなかった、不可能であると考えていた)。かつて不可能であったことが毎日現実になっていく。こういったテクノロジーは善いことにも使われるが、悪いことにも使われる。テクノロジーは新たな疑問、まだ誰も発していない疑問を発する。
12. Becoming
そしてついには全てが統合され、次のデジタル環境(未来のインターネット)へと進化していく。インターネット2.0は、世の中の全てを検索できるようになり、過去の情報やフッテージを見ることができるようになる。さらには、行動を予測し、行動に応じたリコメンドをしてくれる。テクノロジーが生活に融け込み、常時存在している会話の一種のようなものになる。新しい考え方、完璧な検索や記憶、惑星規模の知的能力と新しい精神をもたらす。それが始まっている。