【感想・ネタバレ】日々ごはん(7)のレビュー

あらすじ

さまざまな出会い、別れとともに日々は続きます。『日々ごはん』(1)~(12)の続きは、『帰ってきた日々ごはん』として2015年発売。

<ある日の日記より>
家族とか、暮らすとかいうことは、毎日だらだらと、なあなあで過ごしてきているようだけど、固くて安心だと思っている地面は、あんがいと柔らかいのに、毎日ごはんを食べたり、親戚やら集まるたびに、毎年恒例のご馳走を作ったりもする。笑ったり、泣いたり、大人たちに囲まれて愛されて、親と喧嘩したり、おばあちゃんにひどいことを言ってしまったり。そんな毎日、子供のころからの、ふとした瞬間に見たどうでもいいようなシーンが、見えた時のまま、私の体に残っている。
こんなもんだよなぁと思う。スローライフとか、今流行っているけどさ。畑からひっこ抜いてきた葱と同等に、カラオケやヘルスセンターや演歌やら猫のうんこやらがある。毎日って、なんて図太いんだろう。

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感情タグBEST3

Posted by ブクログ

大豆と麴を混ぜてからいちど団子に丸めるのだが、その時に、「おにぎりみたいにして団子にしてください」と私が言ったら、何の迷いもなくせいせいと三角おにぎりを握った生徒さんがいた。とっさに私は笑ったけれど、なんだか嬉しかったのだ。こういうことは、本当は間違いではない。彼女のおにぎりはおいしそうだなぁと思わせる、慣れ親しんだ手つきで、ふっと見とれてしまうような丸い動きだった。本当は、こういうのこそがオリジナリティーの源で、創作の原点なのだと思う。自分だって、子供のころから、つい皆と違ったことをやってしまい、先生に笑われたりクラスメイトから白い目で見られたりしていた。でもそれは、紛れもなく自分の中から素直にヒュッと出てきたことだし、そういう作為のない無垢な動きこそ大事なことが詰まっているんだよな。学校の先生って、そういうことを大事にしてくれない人が多すぎる。何が失敗で何が正しいかなんて、そんなたいして意味があることではないって私はいつ、誰に教わったのだろう。

このころ読んでいた、おすすめの本
ユベール・マンガレリ おわりの雪 
          しずかに流れるみどりの川
川内倫子 CuiCui
銀色夏生 ひょうたんから空 ミタカくんシリーズ2
西加奈子 さくら
テリー神川 赤毛のアンの生活辞典
高橋みどり おいしいヒミツ
MAYAMAXX キミのコトバを描いてみようか?
ジョルジュ・シムノン メグレ警視の事件簿
いしいしんじ ポーの話

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2021年02月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

【お気に入り抜粋】

最近ヒラリンは、引っ越しをしたり、家族の具合が悪くて実家に帰ったりしていたか。なのに、そういう気持ちのバタバタや緊張を、ヒラリンてぜったい私に見せないし、仕事に持ち込まない娘だから。

撮影する時って、自然に体が動く。撮りたいと思う本能で動いています。こういう写真を狙いたいと、私の欲求が先走りすぎてもよくないし、ぜんぜんないのも困るし、なんなんだろう。いろんなものと調和していると、向こうから見せてくれる時があるんです。自分が見たいと思ったものは、実は一部でしかなかったりするので、待つというか謙虚でありたいと思う。(by川内倫子さん)

料理をする時に、こうしてやろうとかああしてやろうとか、狙いながら作っていたらそこまでの料理しかできないけど、ふっと、自分でも驚くような瞬間があった。その時、気がついたら自分は野菜の下にもぐり込んでいた。上に立つんでも、横に並ぶのでもなしに、自分の存在が野菜で隠されるような感じ。

最近、若い人の悩みをよく聞く機会があるのだが、皆たいへんだと思う。これは、前にスイセイに教わったのだけど、そういう時は、自分のランクをひとつ下げたらどうだろうと思う。だいたいの悩み(自分も、そういう悩みにはまって落ち込むことがあります)は、周りの人たちと比べて自分はダメだとか、周りの人たちに分かってもらえないとか、周りの人たちに期待されているからなどと、考えの軸が、自分よりも他人の方に傾いている気がする。だからたぶん、基準を自分の方にがっしりと置いたらいいんではないだろうか。周りに比べたら自分はダメダメだけど、自分の中では精一杯頑張っているのだから、それで他人の期待にそぐえなくても、それが自分なんだから仕方がない。で、最近私は気がついたのだが、ランクを下げてもそれは周りの目のことなので、自分自身は一向に減っていない。そればかりか、余計なものがなくなった分、かえって芯が太くなるような気がする。そうやって身軽になったところで、自分がやって楽しいこと、夢中になれることを、足元からひとつひとつ頑張ればいいのだと思う。会社だって、仕事だって、家事だって、無理だったらやめてしまえばいい。実家に帰ったって、誰かに依存して生きたって、ぜんぜんオーケーだと思う。

ポーの話 いしいしんじ
荒々しく胸倉をつかまれたまま、ずいぶん遠くまで連れていかれた。頭よりも、心よりも、体の中をかき回されるみたいな感じがあったな。もういちど読みなおそうと思うが、その前に「しずかに流れるみどりの川」を読んで、いちど飛ばそう。

お盆の前から後にかけて、仕事の依頼がけっこうあった。でも、けっきょくほとんどお断りしてしまい、きれいさっぱりになった。私は、こうしたらもっとおいしくなるとか、こうしたらもっと便利だとか、こういう時気持ちがいいなとか、自分の気がついたことをどんどん皆さんに贈りたい。いいことは、お腹の中に抱えておかず、ケチケチせずにどんどん出したい。だからそこに脚色が加わり、間違って伝わることが分かっているような仕事は、できるだけやりたくない。スタッフの方々もそういうことを理解してくださって、労を惜しまずに、本当にいいものを作りたいと思っている人たちとだけやりたい。などと、思っていたら、今やれる仕事がどんどん狭まってしまった。自分で自分の仕事を減らしているようなものだけど、もっと濃い、未知のことにも体も気持ちもどんどん使い切りたい。(それでいいんだよな、私は)なんて、洗濯物のパンツを干しながら思った。天上はどこまでも高く、青く、晴れ渡っている。

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2016年04月19日

Posted by ブクログ

自分を取り戻せる感じがするよ。コンビニのごはんも食べる高山さんのおおらかさが大好き。つわりでしんどいけど、きちんと生活したいな、野菜食べたいな、ごはん作りたいな、と思わせてくれる。

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2015年07月24日

Posted by ブクログ

2005年3月~8月の日記。
いつもながら、高山なおみさんの文章は気取りがなくて率直で、
なんでもない言葉が後からじわっと沁みてきたりする。
何気ない風景や日常の描写から、春の始まりから夏の終わりにかけての
ウキウキしたり暑さにダレたり、といった季節の空気も思い出せます。
4/18~4/28のフランス旅行記は
『フランス日記』として別にまとめられているので、
『日々ごはん〈8〉』の前にそちらを読もうと思っています。

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2011年04月01日

Posted by ブクログ

いつも同じような感想になってしまうけど、高山さんの文章を読むと、心が整ってくる感じが好き。
ヨガやジョギングを続けている健康志向もそうだけど、ごはんを好きな人たちと美味しく食べられるのが、理想の生活だなぁと思う。

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2019年05月09日

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