あらすじ
夫は妻の仕事をよく知らずに結婚。ある日、妻が薔薇を手に町を歩く姿を目撃し尾行する。秘密に気づいた時、夫は……(「薔薇配達人」)。妻は笑顔の優しい夫の早世を悲しんだ。死の間際に"会いに来る"と言ったが……(「花あらし」)。男は若い頃に交際した女と出張で再会。旅先の遊びだったが、女の秘めたる激情に震撼し……(「爪のあと」)。ありふれた日常の風景の裏に隠された妖しく不気味な謎、幻想、恐怖。読むごとに生と死が隣り合わせであることを思い知らされ、ぞくりとさせられる。短編の名手が放つ戦慄のミステリー11編。
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Posted by ブクログ
最後に背筋が凍るような作品、結末に驚く作品が多い短編集。特に「初詣で」「犬を飼う女」「迷路」が印象に残った。「初詣で」は登場人物が何故その行動をしたのかという謎の、ラストの伏線回収に驚いた。「犬を飼う女」は、ラスト二行で恐怖のどんでん返しが待っていた。「迷路」は、冒頭の描写とラストの真相が恐ろしかった。
Posted by ブクログ
小学生の頃、親の本棚にあった阿刀田高の本をソッと抜き取ってコッソリ読んでいた。
ちょっといけないことをしているような気持ちでドキドキしながら、大人の世界を覗き見ているような気になっていた。
私にとって、阿刀田高といえばそんな思い出の作家の一人。
読んだ感想としては…はて、こんなにマイルドな結末を書く作家さんだったっけ??最近の刺激の強いミステリー小説をたくさん読んで、感覚が麻痺してしまったのかなぁ…。
でも筆致は美しくて、子供の頃の、のめり込んだ気持ちが思い起こされた。「あとがき」にも同じようなことが書かれていたけど、なんか情景がカラーでふわぁって浮かんでくる感じ。
書かれた時代のこともあって、ちょっと古くさく感じる設定や言い回しもあるけど、個人的にはそれがさらに趣深く感じる。
そして最後の短編「迷路」!!
これ、なんか掲示板とかで有名になったコピペのの元ネタなのでは!?って、非常に興味深かった。
Posted by ブクログ
傑作短編集ということで、既読作品ばかりなのだけど、やっぱり阿刀田作品はいい。
こういう、日常の隣りにあるちょっとした怖さとか、ぞくっとする感じに没入。
ま、「爪のあと」の男性は、つらっと何してやがるって感じで好きになれないけど。こいつが痛い目に合うオチがほしkったw