【感想・ネタバレ】烙印の紋章X 竜の雌伏を風は嘆いてのレビュー

あらすじ

皇帝グールに対しついに反旗を翻したオルバは、辛くも緒戦に勝利しビラクを手中に収めた。 帝都ソロンでは皇帝の専横がますます目立ちはじめ、メフィウス国内の風がオルバに吹き始めるかに見えた。しかし、隣国ガーベラとエンデでも内紛が起き、それがメフィウスにも影響を与え始める。 ネダインでの反乱、そして竜神教の不穏な動きなど刻々と変化していく緊迫した情勢の中、オルバが選ぶ次の一手とは。そしてビリーナの覚悟とは。皇帝VS皇太子の行方ははたして―― ?

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Posted by ブクログ

ネタバレ

9,10巻と続けて読んだが、これは正解だった。ギルが復活してから、首都ソロンへと繋がるまでの上下巻といっても良いストーリー構成だった。
9巻での戦い自体は、勝利を収めこそすれ、今までの戦いとは打って変わった力押し、スマートさに欠けたもので、華麗で気持ちのいいものではなかった。しかもオルバが失ったものは大きく、またそれを丁寧に、予感させながら描いたことで、一定して暗い雰囲気のままだった。
それが10巻ではどうだろう。あのガキで無鉄砲で足手まといにしかならず、たまにおっと思うようなことは言っても存在感も薄かったビリーナが、英雄オルバを凌ぐ活躍とカタルシスを与えてくれた。感激ですよ。
話はそれにとどまらず、まだまだワクワクさせる展開を匂わせつつ終わったわけです。今回は、オルバの英雄的活躍というよりも、他のキャラの格好よさに焦点があたっていた。ビリーナだけでなく、とある皇帝近衛兵も、そしてパーシルも抜群に魅力を放っていた。
物語は佳境とはいえ、まだまだひと波乱ふた波乱どころでは済まなさそうなところが、この作品の魅力で、ますます期待して続刊を待ちます。

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2012年02月09日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公であるところのオルバ=ギル皇太子が皇帝に反旗を翻し、内乱の炎が燃え上がるメフィウス。
一方、そのメフィウスの隣国であるガーベラ、エンデそれぞれにも内乱の炎がくすぶりつつある。
大陸中央の国家群はそれぞれが内憂と外患を抱え、きな臭さはいよいよ増すばかり・・。
そんな危うい情勢の中、これまで沈黙を守っていた東の強大国アリオンがついに動き出す・・みたいなお話。
大陸全土を巻き込んだダイナミックな戦の予感、といえば聞こえはいいが、ぶっちゃけると舞台や登場人物があちこちに飛びまくるので追うのが大変。
主人公であるはずのオルバの出番も少ないこと少ないこと。
舞台が変わるたびに人物像から舞台背景、それぞれの国の文化風俗に至るまでいちいち語られるので、理解するのが少々面倒くさい。
ところで、多くのライトノベルは「美味しいところだけをチョイスしたお菓子」のイメージだと俺は思っている。
面倒くさい下準備などは省かれ、甘くて美味しいチョコやフルーツが食べやすく皿に盛られたのが、「萌え」を中心にした多くのライトノベルだ。
そんなライトノベル群に比べると、この烙印の紋章は味わうのに手間がかかる。
料理のための下準備をし、味付けをし、皿を並べて、盛り付ける。
料理を楽しむまでに、いくつもの準備が必要になる。
それはつまり、世界観の把握だったり、宗教観、人物像の把握だったりする。
そうした、場合によってはたいして面白くもない準備段階を経て初めて、美味しい料理を「味わう」ことができる。
皿が並べられる過程や、料理が運ばれる行程もすべて「食事を楽しむ行為」に含まれるとは思う。
とは言え・・・こう舞台が広がると、場所を移すたびに皿を並べなおす作業から始まるのが辛い。
ただ、1巻からこの10巻までで、そろそろ全ての皿がテーブルに載せられたのかもしれない。
それはさながら、満干全席のごとき豪華さ、といえるのかもしれない。
あとはこれをむさぼり食らうだけ。そう考えると、この先が楽しみでならない。
という観念的な感想はここまでにして・・・。
この10巻はビリーナ大活躍だったね。さすがに一隊を率いて戦闘に及んだのは予想外。その口上も、お見事。
予想を超える展開というのは、読んでいて実に楽しい。
一方、ライラ関係のエピソードはどこまでも想定内。操られるところから、暗殺未遂に至るまで、全てが予定調和と言っていい。
それは正直退屈な展開ではあったが、そうした予定調和もまた物語の味わいと、いえないこともいない。(^^)

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2013年03月07日

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