あらすじ
貿易商の一人息子である麻倉通忠は全寮制の旧制高校へ入学する。そこで同室になったのは、幼い頃に唯一心を許した幼馴染み、立花だった。けれど立花との再会は麻倉にとって複雑なもので───
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時は大正十一年。貿易商の一人息子・朝倉は、入学した全寮制の旧制高校で、かつての幼馴染・立花と再会する。立花はかつて、異人の血が混じっていると言って虐められていた朝倉をかばってくれた唯一の人間だった。「あの頃、おまえのことが好きだった」と告白する立花。朝倉も立花が好きだと自覚するが、時代が2人の恋を引き裂いて──。
互いに叶わないと思っているからこそ、すれ違ってしまう2人の関係が切ない!華族の跡取りという立場もあり、自分の気持ちを押し殺そうとする朝倉ですが、立花と一緒にいることで、感情が抑えられなくなってしまいます。 そうこうするうちに関東大震災が起こり、2人は再び離れ離れに……。立花が生きている痕跡を探そうと必死な朝倉がまた、健気で可愛いのです。
何かを得るためには、何かを失わなくてはいけない。その重みや痛みを知る2人だからこその結末には、きっと心を打たれるはず。
「玉響(たまゆら)」という言葉の響きもあわせて、しみじみと切なく、美しい作品です。
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Posted by ブクログ
この作家さんは初読みですが、久々に読み応えのあるお話を読めました。
丸々一冊、一つのお話です。
それでも未だ足りないところはありますが、矢張りいいですねえ、旧制高校。
この時代が何より好きなので、たまらないです。
幼馴染みの再会に、旧制高校、弓道部(ちょっと弓の扱いが違ってましたが、許容範囲)好きなものが此処まで詰まっている漫画に出会えたのは、久しぶりです。
そして、この時代の話は最後絶対に別れるのですが、最後まで添い遂げましたっていうのは新鮮です。
時代に流されない子がいてもいいですよね。
こういうお話に出会えるので、BLは侮れないです。
この時代は今ほど理解がなく、同性同士の恋愛はとくに、奇異の目に晒されることが多かったと思います。そんな時代背景も丁寧に描かれていて、だからこそ感情移入してしまって1ページめくる事に泣いてしまう。
さすがゆき林檎せんせい!なんとも言えない、絶妙なバランスでいつも大感動な作品描いてくれて嬉しい。
あと「玉響の昨日の夢見しものを今日の朝に恋ふべきもの」万葉集では夢じゃなくて夕なんだけど、夕なら「昨日の夕方ほんの少し会っただけなのに朝にはもう恋しい」みたいな感じだったけど、夢なら「夢の中でほんの少し会っただけなのに朝にはもう恋しい」って感じ?わざとなのかな?わざとだったらエモいし天才!夢の中でちょっと会っただけなのに、起きたらもう恋しいって。。。もう、それは恋じゃなくて愛だよ!!
まじでゆき林檎せんせい天才かよ!
初作家さん。絵が綺麗で、白っぽくも無ければ書き込み過ぎでもなく見やすい。
物語は読ませるなぁと思った。女性視点からすれば、攻めさんも受けさんもクズ野郎。けれども時代がそうさせた部分もあるだろうなぁと納得もできて。できればいちゃこらをおかわりしたい。
って思っていたらあるではないの。有り難く〜
切ない
最後の描写が(т-т)
昔の環境が話を切なくさせていて、普通に泣ける。激しいえろがある訳じゃないのに、2人の気持ちの変化にずっとキュンキュンしてました。
時代やそれぞれの家の事情などで行き違う二人がようやく想いを遂げる過程が、切なくて、でも優しいストーリーです。読んだ後はほっこりとした気持ちになりました。
耽美な映画のよう。
古き良き時代の物語、といった風情が漂う作品。
お互いの気持ちは激情で、すれ違ってほんの少し重なって、またすれ違って。こういう時代だから、というには軽すぎて、死が二人を分つまでの魂の話。
俯瞰して読むと、振り回された女性たちに同情を禁じ得ない。
泣ける
この時代のBL、好きです。
閉鎖的な時代背景の中、どういう感じで物語が進むのか、ドキドキしながら読みました。
2人が幸せになってくれて、本当によかった。
あの小説の最後の言葉は何度読んでも涙が出る。
『また いつか』
なんて素敵な言葉なんだろ。
少年時代のエピソードが少ないので、立花が少年時代からずっと浅倉を好きだったとは途中まで気づきませんでした。ゆえに一読目では立花がやや高圧的な態度に見えたのですが、気持ちを知った上で繰り返し読むと切なくなりました。最終話は怒涛の時の流れです。5年も立花から浅倉に連絡なしは酷いと思うし、2人を待ってくれていた女性にも残酷すぎます。そしてその後更に時は大きく流れ…ハピエンではありますが哀愁漂うラストでした。
絵も話も素敵‼︎
ずっと気になっていた作品だったので、即買いました( ^ω^ )
時代描写やタイトルとの繋がりが上手く、違和感なく話に入り込める…作家さんの力が素晴らしいです‼︎
二人が結ばれてから後の話が、少なかったですが、全体の流れは綺麗にまとめられており、読み終えたあとにはほっこり幸せを感じました(>_<)
番外編があるなら、是非読みたいです。
作家さん初買い
とても静かな作品だなという印象です。物語としては設定とかも面白いな、と思いました。すれ違いが起こっていたところで震災により何年も音信不通に。受けの執念により再開がかなうも、、おそから結ばれるまでが1番の盛り上がりだと思うのですが思ったよりさらっと読めてしまったなというのが感想です。ただこちらの作者さんは初めてなのでこういう作風なのかな、と思えばそういうものなのかなと思わないことも。。好みの問題かな?これはこれで良かったと思います。難しい時代ですが結ばれて良かった。
Posted by ブクログ
全寮制の旧制高校へ入学した麻倉道忠は、かつての幼なじみ立花と偶然同室になる。
少年時代、複雑な家庭環境の下で暮らしていた麻倉にとって、立花は唯一心を許した友人だったが、ある日立花の情事を目撃した麻倉はひどく動揺し、逃げるように欧州へ留学してしまう。以来ずっと疎遠だった立花との高校での再会は、朝倉にとって複雑な思いで・・・!?
美しく儚げな表紙がお話のイメージにぴったり。同性愛者が「変態」と蔑まれていた時代の物語で、ハピエンなのに切ない(´Д`)
ストーリー自体は目新しい感じはないけど、それだけ王道ともいえ、ハズレ感はない。
なおエロは終盤のみ。
3.2
よくある身分違いの恋、というやつですが。
悪くない、悪くはないけどグッともこない…という。
設定に頼りすぎて二人の感情の機微に目が行かない、ドラマチックさが演出できていない感じがします。
色々読んできて今だかつて時代物で名作に出会えないということはこの設定は簡単そうで魅せるのは難しいんだな~とつくづく思います…。