【感想・ネタバレ】夏草の賦(上)のレビュー

あらすじ

英雄豪傑が各地に輩出し、互いに覇をきそいあった戦国の世、四国土佐の片田舎に野望に燃えた若者がいた。その名は長曽我部元親。わずか一郡の領主でしかなかった彼が、武力調略ないまぜて土佐一国を制するや、近隣諸国へなだれ込んだ。四国を征服し、あわよくば京へ……。が、そこでは織田信長が隆盛の時を迎えんとしていた。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

このページにはネタバレを含むレビューが表示されています

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦国時代を舞台とした小説で、土佐の一大名である長宗我部元親(ちょうそかべもとちか)が主人公で物語は進んでいきます。
天下統一という大きな目標をもっていた元親は、一介の大名でありながら土佐統一、他国への侵略を行っていきます。
元親の、目標に対して邁進する姿、揺るがない信念がかっこいいです。
チームを引っ張っていくリーダーはこうあるべきだ、という気づきもありとても良い作品だと思います。

0
2018年06月07日

Posted by ブクログ

ネタバレ

土佐の長曾我部元親と、そこに嫁いだ菜々がメインの話(今のところは)。元親は戦上手の謀略家だけど実は臆病でくよくよ悩んだり冷徹なところもあったり。理屈っぽくて言い訳を考えては自分を納得させている。おもしろいです。菜々もなかなかぶっ飛んだ人。まさか元親が光秀を唆したの??と思いつつ、下巻へ。

0
2016年10月28日

Posted by ブクログ

ネタバレ

上巻は美濃の武家生まれである奈々のむすめ時代から始まる。
奈々は、織田家に仕える明智光秀の家臣・斎藤内蔵助利三の妹です。この妹が、四国・土佐を治める長曾我部に嫁ぐはなし。
政略結婚が主流だったとはいえ、はるか遠く未開の地(と思われていた)へ嫁ごうなんて、勇気のある(…というか、ちょっとおきゃんで冒険好きな)女性だったのでしょうか。司馬先生の描く奈々はそんな感じ。なにせ上巻で一番印象に残ったシーンが、“うわなり討ち”(…という、家の台所を戦場にした女合戦)…だったもので。しかもそれが他人の家の台所なんだからたまりません。台所をめちゃめちゃにされた土居宗珊かわいそうwwてか国主の妻が武器までとて乱暴してまわるなんて面白すぎますね。読んでて楽しかったです。奈々かわいいw

それ以降は主人公を長曾我部元親に譲って国盗り物語が進行してゆきます。安芸国虎を滅ぼし遊蕩に耽っていた一条兼定を追放し、土佐一国をきりとり、ひたすら国土拡張をおしすすめる一方で、家中のものの教育に専念し、世継ぎである千扇丸(…これはのちの弥三郎信親ですが)をうむなど、内政もぬかりなく行っていった元親。
四国平定後は全国制覇も視野にいれ、織田信長との交流まで如才なく行っていましたが(息子・信親の「信」の時は、信長からもらったのです)その信長から「四国をよこせ」などと言われてしまいます・・・・
義憤にたえない元親...可哀そうですがこれが戦国の世の習いなのでしょう。

0
2013年05月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ

戦国時代、四国を統一した英雄・長宗我部元親の野心に満ちた前半生。複雑な性格の元親と明るく軽はずみな妻の組み合わせもいい。

0
2012年05月05日

Posted by ブクログ

ネタバレ

主人公は、土佐の長宗我部元親。

四国の覇者も、秀吉の軍師に手もなくころっと、やられてしまうのが、
地方と中央のレベルの差か(^^;;

センゴク天正記ではいい格好している仙石権兵衛こと仙石秀久が、
九州で敵前逃亡したために、嫡男の信親を戦死させてしまった戦犯として描かれています。

0
2011年12月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

斎藤利三の妹・菜々は四国土佐の片田舎で野望を燃やす長宗我部元親の元に嫁ぐ。元親は武力調略ないまぜて、土佐を統一し、四国制覇を目指し更に阿波など近隣諸国へなだれ込む。

『功名が辻』の千代とは違うタイプだけど、元気で個性的な菜々が可愛らしくて良い。侍女のお里とのやり取りや一条家での騒動など楽しくて良かった。

0
2025年11月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

「では千翁丸殿を」
どうする気か。わずか五歳のあの子を戦場につれてゆこうというのは、ゆくゆく自分のような臆病者にさせぬための早期鍛錬のつもりなのか。
「そのおつもりでございましょうか」
(ならば反対したい)
 とおもった。物のあやめもわかぬ五歳の幼童を戦場につれて行ったところでなんの鍛錬にもなるまい
「ちがう」
 と、元親はいった。鍛錬や教育のつもりではない、という。
「当然、物におびえ、敵の声におびえ、銃声におびえるだろう。どの程度におびえるか、それをみたいのだ」
「みて?」
「左様、見る。見たうえで、ゆくすえこの児にどれほどの期待をかけてよいか、それを見たいという興味がある」
「怯えすぎれば、千翁丸の将来を見はなすというのでございますか」
「いやいや」
 かぶりを振り、元親は、奈々が思いもよらなかったことをいった。
――臆病者なら信頼しうる。
 というのである。聞きちがえたか、と奈々はわが耳を疑った。が、元親は、臆病者こそ智者の証拠であり、臆病こそ知恵のもとである、といった。知恵があるものでなければ臆病にならない、とも元親はいう。
「そのことは、おれは自分自身が人一倍臆病者であるから知っている」
 という。幼童のころ、夜陰、冬樹が天をつかむように枝を張っている影をみては妖怪かと思い、厠にも行けなかったが、これは想像力がゆたかすぎるからであろう。その他、物の影や音を、さまざまに想像しては怖れたが、想像する知恵が幼童になければ怖れまい。幼童の豪胆は鈍感の証拠であり、無智の証拠だ、という。

0
2018年12月24日

Posted by ブクログ

ネタバレ

 長曾我部元親について改めて知ろうと思い再読しました。最初に読んだのが文春文庫の旧版第9刷、1980年の学生時代でした。今更ながら司馬遼太郎は冒頭から面白い!岐阜城下で一番の美人とうわさの菜々が、土佐の元親に輿入れする話は笑ってしまいます。菜々は後に明智光秀の重臣となる斎藤利三の娘(史実は利三の兄、石谷頼辰の義理の妹らしいですが)として生まれ、信長がまだ天下布武に遠く、元親も土佐一国すら切り取り途中の時期に、遠交近攻策の政略結婚に嬉々として嫁ぎます。隣家の光秀が縁談を持ち込み、信長も菜々に立派な嫁入り仕度を指示し、秀吉も祝賀に訪問と役者が揃います。
 司馬遼太郎はいつもの様に、長曾我部氏や本拠の岡豊城の名前の由来等の余談も交えて、当時は鬼国と思われた土佐の風土を語って行きます。そして元親は四国を制圧する為に謀略と共に、戦力不足を補うため、農民を兵に組み入れた「一領具足」を積極的に活用します。このことは土佐一国の団結を生み出し、元親もそれを利用します。やがて秀吉との決戦の可否を衆議するときに、一領具足の兵も参加する場面は印象的です。
 一領具足は江戸時代には郷士となり、幕末の尊皇攘夷に多くが参加します。
 元親は四国の制圧には成功しますが、信長や秀吉など中央の覇者には適いません。毛利との同盟、本能寺の変の後の光秀への加勢、秀吉と家康の対立時に家康への加勢など実現できればと思うと残念です。
 夏草の賦、この小説の題名はやはり芭蕉の句より採ったのでしょうか?
 魅力に溢れた小説です!

0
2018年02月04日

Posted by ブクログ

ネタバレ

四国の戦国大名、長宗我部元親を描いた小説。才覚に恵まれ、調略・謀略を用いながら四国を統一していく様子を、司馬遼太郎の小説らしく、一歩引いたスタンスで描いています。
四国の歴史はなじみが薄いので、一方の主人公である元親の奥方が、織田家中の明智光秀の親族で、兄は本能寺の変後に秀吉に敗死、姪は家光の乳母・春日局として取り立てられた云々、元親が採用した屯田兵制度である「一領具足」が山内藩政では郷士となり、土佐の明治維新の中核を担う事になった等々、本著を通じて初めて知る事ばかり。

0
2014年04月27日

Posted by ブクログ

ネタバレ

~全巻通してのレビューです~

長宗我部は必ず?下の名前に「親」が付いて、どの時代のどの長宗我部がどの「○親」なのかよく知りませんでしたが、四国を平定したのは元親だったんですね。
そしてその後、秀吉に屈服し土佐一国になるわけか。
四国平定後、どうなったかは読むまで知りませんでした。

元親はよく「僻地の土佐に生まれていなければ」と言ってましたが、まあそれはそうで不運なんですが、何度もその発言が出てきたので女々しく感じました。
随分内省的な人であったようですが。

秀吉の命令で九州征伐の先鋒になり、アホの仙石権兵衛のせいで、嫡子の信親を失って四男の盛親が世継ぎになるわけか。
続きは「戦雲の夢」で・・・

0
2021年02月27日

「歴史・時代」ランキング