あらすじ
宝永4(1707)年、突然大爆発を起こした富士山は、16日間にわたり砂を降らせ続け、山麓農村に甚大な被害をもたらした。ときの関東郡代・伊奈半左衛門忠順は、農民の窮状を救うべく幕府に援助を強く要請した。だが、彼が見たものは被災農民を道具にした醜い政権争いだった――。大自然の恐怖を背景に描く、著者会心の長篇時代小説。
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Posted by ブクログ
富士の噴火によって被害を被った農民を何とか助けんとはしりまわる関東郡代の伊奈半左衛門のはなし。
当時の混乱や農民の事を本気で考えない幕府の上役のことが赤裸々に綴られている。富士の噴火のことさえも政争の具として使おうとする役人たちには腹が立つ。
農民を飢えさせないために半左衛門は起死回生の策をとろうとする。確かに伊奈家は家康以来の名誉ある関東郡代の家柄だ。代官の仕事は農民から米を取り上げることだけではない。困っている農民を助けてやるのも代官の仕事だ。農民を救って家が取り潰されるならば、それは構わないと半左衛門は行動するのである。