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Posted by ブクログ 2013年12月27日
生まれも育ちも神奈川県は足柄上郡で、我が家のベランダからは富士山がよく見えた。富士山の頬をザックリとえぐった宝永火口は美的観点から疵だよなぁという印象しかもっておらず、まさか自分の故郷がその宝永噴火で最も被害を受けた地域だったとは迂闊にも知らなかった。
1707年の宝永大噴火は、駿東郡と足柄上郡に降...続きを読む灰による大被害を与えた他、その後の大雨が灰を押し流し酒匂川の堤が決壊、足柄下郡に深刻な洪水被害も与えた。その結果、これらの地域の農民は飢餓の危機にさらされた…
本書は、政府から見棄てられた飢民を救うために命を懸けて働く代官を中心にして、富士山噴火という大災害のその後を描いた物語だ。全国から集めた救済金が別の予算に使われたり、復興が遅遅として進まなかったり、現代にも通じる問題はまさに他人ごとではない。
小田原高校卒業生は必読!
Posted by ブクログ 2010年01月14日
新田次郎の力作、長編。
宝永年間の富士山噴火を中心に、駿東郡の村と幕閣の駆け引き、農民の生活改善に取り組む、伊那代官の活躍が中心に書かれていく。
富士山に因縁の深い新田次郎の大作で、とても面白い内容だった。
この本に出てくる、駿東郡や足柄郡などは市町村合併などでその名前も消えてきている現在...続きを読むの状況は悲しい。
沼津も宿場町として出てくる。
自分の生まれた街の歴史をもう少し勉強して見なければと感じました。
Posted by ブクログ 2019年09月03日
富士の噴火によって被害を被った農民を何とか助けんとはしりまわる関東郡代の伊奈半左衛門のはなし。
当時の混乱や農民の事を本気で考えない幕府の上役のことが赤裸々に綴られている。富士の噴火のことさえも政争の具として使おうとする役人たちには腹が立つ。
農民を飢えさせないために半左衛門は起死回生の策をとろうと...続きを読むする。確かに伊奈家は家康以来の名誉ある関東郡代の家柄だ。代官の仕事は農民から米を取り上げることだけではない。困っている農民を助けてやるのも代官の仕事だ。農民を救って家が取り潰されるならば、それは構わないと半左衛門は行動するのである。