あらすじ
三条女御の策略にハマり、呪詛をかけた犯人に仕立て上げられた塔子。
冤罪を晴らす決定的な証拠を手に入れるまで、宮中の混乱に乗じて故郷・熊野に帰ることに。
「必ず、戻ってきてください」
――明槻との約束を果たすためにも、身の潔白を証明して入内を果たしたい。
なりゆきで始まった東宮妃の塔子に、国母として戦い抜く自覚が芽生え……!? 平安恋絵巻、最終巻!
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Posted by ブクログ
三条女御の陥穽に陥った塔子は、左近衛大将がの知らせによって素早く熊野に逃れる。一方、東宮・明槻は水害の後処理を下級官吏たちと進めていた。さらに左京区だけに疫病がはやる。先の左大臣の怨霊のせいとその娘の塔子は呼び戻されることになる。水害と野分のせいで井戸が汚染されたためと考えた塔子のひらめきのおかげで、疫病は収まる。このあと、どうなるかって?塔子は三条女御に復讐などしないのさ。三条女御と自分の息子のどちらを立派に東宮として育てられるかと宣言する。三条女御との丁々発止のやり取りが凄い。塔子らしいやり方で、前向きに乗り切ろうとする。左近衛大将もまじに「どんな難題も、知恵と根性で立ち向かっていける女人」と評するのだった。東宮・明槻もすがすがしい心映えを見せ、塔子は惚れ直す。
最後は、塔子の息子が母を追って逞しく這ってくるところの場面で終わる。猿の子は猿なのである。立派な国母と東宮になるだろう。
いかにも塔子が主人公の物語にふさわしい終わり方だ。非常に魅力的な主人公だった。