【感想・ネタバレ】赤と黒(下)のレビュー

あらすじ

神学校を足がかりに、ジュリヤンの野心はさらに燃え上がる。パリの貴族ラ・モール侯爵の秘書となり、社交界の華である侯爵令嬢マチルドの心をも手に入れる。しかし野望が達成されようとしたそのとき、レナール夫人から届いた一通の手紙で、物語は衝撃の結末を迎える! 抑圧的な社会で激しく苦悩する魂の葛藤を描いた「情熱の文学」、ついに完結!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

ちょっと待って名作が過ぎる

うーん、書きたいことが3つくらいあるんだけど、めんどくさいから1つに絞ろうw

それはね人間の想像力ってすごくない?ってことです
今さらそれ言うか?って感じかもですが、そんなすごい想像力から生み出された物語の力ですよ

珍しくがっつり
ネタバレであらすじとか書いちゃいますよ!
古典の名作なんて結末知ってたって問題ないと個人的には思うけど、一応フタしときます

ってここまでですでにあらすじめんどくさいとか思いはじめてますが、頑張ります

上巻でそのとんでもない記憶力と明晰さ(プラス見た目の良さ)で、市長のおうちの家庭教師となった製材店の三男坊ジュリヤン
どのくらい記憶力がいいかって言うと聖書まるまる暗記してます
しかもラテン語で
えげつない
だってみんなもホテルとかに泊まった時に聖書読んだことあると思うけど、恐ろしく分厚いからね
とんでもない頭の良さです
そう言えばアパホテルだけ、なんか変な本置いてあるよね

で、そこでまぁ色々ありまして、下巻でも色々ありまして(横道にそれた結果心折れたあらすじ無理)

結局さジュリヤンは死刑になっちゃうのね
で、その死刑になる前の最期の数日間で色々気付くわけ
そうね真実の愛とはとか、自分がいかに不誠実で小さな人間だったかとか
後悔しまくるわけ

でさ、たぶんまぁきっと死刑とかなったら自分も色々振り返って、もしかしたらジュリヤンと同じように、素直に自分ってものを見つめ直すことができるのかもしれないな〜って

でもそんなん手遅れもいいとこやん
つか死刑になってる時点でそうとうなことしでかしてるわけやん
今の日本だったらその時点で二人以上殺してるわけやから

でも物語を読むことで、実際に死刑になる前に、そんな心持ちに近付くことができるわけ(いや死刑前提かよ)
もちろん綺麗事もいいとこだけどさ

そこになんか物語の力ってものを感じずにいられないフランス文学の名作でした!

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2025年09月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

スタンダールの容貌はよろしくないらしいが、年譜ほどの恋愛をしていれば、赤と黒も容易く書けただろうと思う。恋愛経験の浅い男の妄想話かと思っていたが、実際は自身の恋愛経験と時事、新聞を織り交ぜた著者本人の姿が透けて見える作品だった。主人公ジュリヤンは容貌と記憶力こそ良いが、地頭はそれほどよろしくない片田舎の息子だ。彼なりに努力し神学校に入り、家庭教師など仕事をしていたが、やることなすこと悲劇の主人公気取りで他人に与える迷惑などまるで考えない。むしろ、迷惑をかけている自分に陶酔していた。彼は家庭内暴力の中で育ち、ナポレオンを生きるよすがにしたことで、英雄ナポレオンを崇拝するしか脳のない男に育つ。戦争のない世の中で英雄のような生き方に焦がれる性格になった。ただ彼が人間関係においてみせる自己中心さや他人への無関心は、環境のせいだけではないと思う。彼が時折見せる無責任な行動や感情的な言動は、彼の稚拙な性格の表れだった。要するに、彼は若さゆえに感情的と周りから見られていたが、もともとそちらが本性なのである。理性的で知的な美貌の青年は見せかけで、美しく無垢な町長夫人も移り気な侯爵令嬢も見せかけに騙されて恋していたが、彼は自分だけを一番に思っていたろくでなしである。子供ができたなら父親として責任を取り生きるべきなのに、迷わず死を選ぶのが卑怯者な彼らしい。

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2025年10月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

他の本を読むのも間に挟みながら、ようやく、ようやっと読み終わった…。読み切った自分を褒めたい笑。

子どもの時に「漫画で読む名作文学」的な本で読んだことあったが、その時は、ジュリアンの恋愛と出世の物語…というものだと思っていた。
それは物語の軸ではあるものの、小説で読んでみると、風刺画的な当時のフランスの情勢や貴族、市民の文化風俗がリアルに書かれていて、そっちが主題かなと思うほどだった。
上巻でもそうだったけど、そのせいで、ストーリーとして大事なところは簡単に書かれて、それ以外の時代の説明文やジュリアンの内心が長々と…。
この小説の価値は、表面的なストーリー(野心深く出世を目指したジュリアンが、レナール夫人とマチルドと恋愛をしながら、レナール夫人への殺人未遂により死刑を受ける…)というより、当時のフランスの政治や宗教を書き切ったことがすごいことなのだろうか。

それにしても、ジュリアンがレナール夫人を撃つところは、2行くらいだったか。
ジュリアンの死なんて、直接的記載はなかった。
事実の記載があっさりしすぎていて…。
ただ、マチルドがジュリアンの生首にキスするところは、漫画で読んだ強烈なグロテスクな印象よりも、さらっと書かれていて、むしろ爽やかで好感をもった。
キスも、口付けではなく額へのキスだったのね。
さらりと書かれた事実の中では、レナール夫人の最期が一番悲しかったかも。彼女こそ、どんなに苦しんで死んでいったのかと思うと、母として、同性として、悲しい気持ちになったのよ。

ジュリアンの女性に対する思いは、
レナール夫人に対する気持ちは「愛」。
マチルドに対する気持ちは「恋」だったのだろう。
マチルドの気まぐれに振り回されて苦しんで、でも美しい彼女から目が離せない…まさに恋の初期の感情だよね。
ジュリアンが貴族に教えられた通りに振る舞った結果、マチルドに不安や見捨てられる恐怖を感じさせ、マチルドの心を手に入れたところら、ジュリアンってすごく理性的な人なのね…と感心しました。
恋のさなかって、こういうこと言っては逆効果、こういうことやっては逆効果だと理解していても、感情や行動を抑えられない人が多いだろう。貴族からのアドバイスの通りに行動できるジュリアンは、理性的だし、それだけ出世のための行動が身についてしまっていたのか??
それにしては、ジュリアン突発的にかーっとなってレナール夫人殺しに行ったり、理性とはかけ離れたところもあるんだけどさ…。

マチルドとジュリアンは、生まれた家の格は全然違うけど、人間性は似てる。
ジュリアンもマチルドも、自分が周りからどう見られるか?どう評価されるか?ということを常に考えているんだよね。

レナール夫人のモデルは、著者のスタンダールの母とも言われているらしい。
スタンダールの母は、彼が7歳の時に33歳で亡くなっている。そういえばジュリアン自身の母も登場しなかったな。
ジュリアンがレナール夫人の手紙に激怒したのは、この手紙のせいで輝かしい将来が失われた!という思いもあるだろうけど、レナール夫人から裏切られた!という、絶対的に自分の味方であるはずの人からの裏切りに対する怒りだったのだと思う。

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2023年04月30日

Posted by ブクログ

ネタバレ

とにかくめんどくさいやつらばっかり。本来だったら数十ページかけてやるだろうめんどくさい恋愛のあれこれが2ページくらいにぎゅぎゅっと濃縮されてどのページを見てもめんどくさい。名誉や義務のために人を好きになろうとする主人公のクズっぷり。義務のはずだったのに本気で好きになってたり、相手が自分を愛してないんじゃないかと不安になったかと思うと相手のことを軽蔑したりと登場人物全員が非常にめんどくさい。世の中の人はみんなこんな山の天気みたいな恋愛してんのか?でも悔しいことに愛の文句はまたこれ以上 なく熱烈。

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2022年12月20日

Posted by ブクログ

ネタバレ

まさかの最後だった。
レナール夫人はあの手紙に書いたことを、真実として書いたのか、それとも・・・
主人公が穏やかな気分になれたことが、救いだと思った。
ナポレオン戦争に関する書物を読んで再読したい一冊。

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2017年10月12日

Posted by ブクログ

ネタバレ


ジュリヤン・ソレルの野心と恋が、ついに破滅へと向かう下巻。
貴族令嬢マチルドとの駆け引き、そしてレナール夫人との再会が、彼の運命を大きく揺るがします。
激情と冷静さが交錯する展開に、最後まで目が離せませんでした。
「赤=栄光」「黒=破滅」とも読めるタイトルの意味を、読後に深く考えさせられる一冊です
結末は、サロメを連想しました。

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2025年10月25日

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