【感想・ネタバレ】機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(下)のレビュー

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Posted by ブクログ 2020年06月26日

最終巻のテーマは友情。上巻のテロリズムと移民、中巻の恋愛と比べれば随分地味な気がしないでもないが、本書で描かれたハサウェイとケネスの素晴らしい読後感だった。

“「いや、マフティーがはっきりとした戦いの目標をかかげても、そんなに人を殺していれば、いつかはマフティーが生贄になるなって、そう思って……」...続きを読む
(富野由悠季『機動戦士ガンダム――閃光のハサウェイ(上)』角川書店〈角川スニーカー文庫〉、1989年2月28日初版発行、206頁より引用。)

と上巻でケネスに対して正直に語ったハサウェイは、早くもその運命を辿ることになる。しかし、その死には卑屈さも惨めさもない。多くの人々に敬意を抱かれながら、自らの運命を従容として受け入れ、戦士に対する礼を以て銃殺されたテロリスト、ハサウェイ。上巻の感想文で述べた通り、その姿にはチェ・ゲバラのようなものを感じる。

それと、本書で良かった点は、富野監督がハサウェイをニュータイプとして描かなかったことであった。「ニュータイプにできることなんて人殺しだけですよ」と語ったカミーユ・ビダン、「子供はみんなニュータイプ」ということで始まって収拾がつかなくなったZZ、よくわからない理屈で地球に住んでいる人々の大量虐殺を図った逆襲のシャア。チェ・ゲバラのいう「新しい人間」(革命後のキューバには、実際にはこのような人間類型が育たなかったことは周知の通り)という概念並みに曖昧模糊としたニュータイプという言葉に引きずられて、ガンダムはよくわからなくなっていったという感が私には強かったため、ハサウェイを特にニュータイプではない人間として、なおかつ魅力的な人物として描き、そして物語に破綻がなかったことは素晴らしい。

“’「……ぼくは、まえにニュータイプといわれた人びとに会ったことがある。彼等は、年齢に関係がなく、大人社会にくいこんでいったけど、いい結果を手にいれられなかった。それに、ぼくには、ニュータイプ的な才能はない……となれば、地球を中心にした体制にふくまれている毒をとりだして、根源的な問題を、人類のすべてに認識してもらうためには、こんなことしかできないな」”(本書41頁より引用)

ハサウェイが「こんなことしかできない」と語る「こんなこと」の内容は、テロ組織マフティー・ナビーユ・エリンによる地球連邦政府の閣僚暗殺を中心とした一連のテロ活動である。本書のラストではハサウェイが神話化された救世主(正に史実のイスラームの救世主マフディーである)として語り継がれていく展開が示唆されているが、本書の一番素晴らしい点は、「ニュータイプ」といった概念で偶像化されがちな「救世主」ではなく――それは現在の神話化されたゲバラの姿である――一人の人間が革命家として立つときの、こんな人物は実際にいそうだという姿を、リアリティを以て示したことではないか。映画の公開が待ち遠しい。

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Posted by ブクログ 2013年03月15日

僕はこの本の終わり方が好きではない。
そもそも読む前に考えておくべきだった。

富野監督はfirst小説版でアムロを殺しZテレビ版でカミーユを廃人にし、Vでシュラク隊全員を殺したのだ。露骨なテロリストとして描かれたハサウェイがまともな死に方をさせてもらえるはずはなかった。

ハサウェイがマフティー・...続きを読むナビーユ・エリンだとわかっている准将が、ブライトに息子殺しをさせることを忍びなく思って友達である自らが処刑したところまでは良かった。それで終わってくれても良かったと思う。
それが後腐れない綺麗な終わり方として認めれる形だったのではないだろうか。

しかしその後マフティー・ナビーユ・エリンの銃殺刑の報をマフティー=ハサウェイであるとして報じたとあった。死後も政に利用されたというのはテロリストの末路としてはよくできているが、ガンダムの主人公としては余りにも不遇な最期だったとどうしても思ってしまう。ハサウェイに対して余りにも救いのない話だった。


第四十版
p.90 l.9:ペーネロペーがべーネロペーになってた
たぶん誤字

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Posted by ブクログ 2012年05月06日

最終巻。結構、評価の高い作品だと思っていたけど、わたしにはあまり合わなかった。
ギギという存在もそうだが、あまりにも内容があっさりし過ぎている。
アムロのように人類の革新が現状を把握し、地球を救くという悲しいほどの楽観視でもないし、シャアのように地球に隕石を落とし寒冷化して人が住めない環境にし、地球...続きを読むの自然治癒を委ねるような強制的とも違う。地球に住み着くトップだけを粛正(殺害)していくという、中途半端にも思えるアフティーの活動。
最後には捕らえられて銃殺刑で死刑。死刑なる主人公など珍しく、それ故に映像化もしないんだろうと思う。
①人類の叡智が地球をも救う。アムロ
②人類を強制的に地球から追い出す。シャア
③人類を地球に縛り付けるトップを殺害する。マフティー
であれば、人類もまた自然から派生した産物であるならば、人もまた自然であり、人が自然を破壊するのは地球という自然がバランスをとろうとした結果ではないのか、といったUCへ続き。そこで④の選択肢が生まれるだろうか?
マフティーの資金面などを活動を支援していたクワック・サルヴァーとは誰だったのだろう?
それに、ケネスがマフティーの正体を隠していたのに、大将によって公にされてしまい、自分の息子が銃殺刑になってしまったことを知ったブライトのその後の心境はどうだったのだろう?

この物語での登場人物ではレーン・エイムが好きだった。あまり登場の機会はなかったけど、最新鋭の機体に乗りながらも自分の満足する成果を得られず、ゲン担ぎなどをする大佐をみて、「運で戦局が決定しているとは思いたくない、やはり実力だ」と負けている立場に言っているのだから、若々しくて好きだ。

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Posted by ブクログ 2012年04月22日

しかし、どこまでもどうにも救いがなかった。

ただハサウェイがどうにかすっきりとした気持ちで死んで行ってくれていればいいのだけどという感じだ。

死んだ者よりも残された人間の心は傷ついているだろう。

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Posted by ブクログ 2013年05月05日

閃光のハサウェイ。ファーストからゼータ、シャアの反乱などの一連の流れの集大成となる作品。

主人公はあのハサウェイ。どうやら設定では25歳と大人の設定。
彼がマフティーとなり、連邦軍に対して反旗を翻す話。

昔から存在は知ってはいたものの、なかなか手にする機会がなかった。

読後感の感想は他の感想で...続きを読むもあるが、なんとも言えない感じだった。
富野さんの賛否両論はこういった締め方にもあるのかもしれない。

とりあえず、シリーズの完結作として読んでおくといいでしょう。

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