【感想・ネタバレ】機動戦士ガンダム 閃光のハサウェイ(下)のレビュー

あらすじ

ブライト・ノアを父に持つ青年ハサウェイは、マフティー・ナビーユ・エリンを名乗り、連邦政府高官の暗殺を続けていた。一方、連邦のケネス大佐は新型MSペーネロペーを入手。さらに少女ギギと同行することでマフティーにプレッシャーをかける。ハサウェイを想ってケネスのもとを離れるギギだが、そこには悲劇が待ち受けていた……。富野由悠季が織りなすオリジナル・ガンダム小説、衝撃のクライマックス!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

最終巻のテーマは友情。上巻のテロリズムと移民、中巻の恋愛と比べれば随分地味な気がしないでもないが、本書で描かれたハサウェイとケネスの素晴らしい読後感だった。

“「いや、マフティーがはっきりとした戦いの目標をかかげても、そんなに人を殺していれば、いつかはマフティーが生贄になるなって、そう思って……」
(富野由悠季『機動戦士ガンダム――閃光のハサウェイ(上)』角川書店〈角川スニーカー文庫〉、1989年2月28日初版発行、206頁より引用。)

と上巻でケネスに対して正直に語ったハサウェイは、早くもその運命を辿ることになる。しかし、その死には卑屈さも惨めさもない。多くの人々に敬意を抱かれながら、自らの運命を従容として受け入れ、戦士に対する礼を以て銃殺されたテロリスト、ハサウェイ。上巻の感想文で述べた通り、その姿にはチェ・ゲバラのようなものを感じる。

それと、本書で良かった点は、富野監督がハサウェイをニュータイプとして描かなかったことであった。「ニュータイプにできることなんて人殺しだけですよ」と語ったカミーユ・ビダン、「子供はみんなニュータイプ」ということで始まって収拾がつかなくなったZZ、よくわからない理屈で地球に住んでいる人々の大量虐殺を図った逆襲のシャア。チェ・ゲバラのいう「新しい人間」(革命後のキューバには、実際にはこのような人間類型が育たなかったことは周知の通り)という概念並みに曖昧模糊としたニュータイプという言葉に引きずられて、ガンダムはよくわからなくなっていったという感が私には強かったため、ハサウェイを特にニュータイプではない人間として、なおかつ魅力的な人物として描き、そして物語に破綻がなかったことは素晴らしい。

“’「……ぼくは、まえにニュータイプといわれた人びとに会ったことがある。彼等は、年齢に関係がなく、大人社会にくいこんでいったけど、いい結果を手にいれられなかった。それに、ぼくには、ニュータイプ的な才能はない……となれば、地球を中心にした体制にふくまれている毒をとりだして、根源的な問題を、人類のすべてに認識してもらうためには、こんなことしかできないな」”(本書41頁より引用)

ハサウェイが「こんなことしかできない」と語る「こんなこと」の内容は、テロ組織マフティー・ナビーユ・エリンによる地球連邦政府の閣僚暗殺を中心とした一連のテロ活動である。本書のラストではハサウェイが神話化された救世主(正に史実のイスラームの救世主マフディーである)として語り継がれていく展開が示唆されているが、本書の一番素晴らしい点は、「ニュータイプ」といった概念で偶像化されがちな「救世主」ではなく――それは現在の神話化されたゲバラの姿である――一人の人間が革命家として立つときの、こんな人物は実際にいそうだという姿を、リアリティを以て示したことではないか。映画の公開が待ち遠しい。

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2020年06月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

この下巻は、かなり悲しい展開だった。
ハサウェイは、チェーンを殺してしまった日から、罪悪感に苛まれ、自分自身を許せなくて、いつかはこうなる結末をどこかで分かっていて、望んでいた死なのかなとも思う。最後は良き友のケネスに処刑されて本望だったのかも。
プライトさんは、メディアで自分の息子がマフティーで処刑されたあとだと知って何を思うのだろうか、、、悲しすぎる。
ハサウェイの父のブライトさんが気の毒なので、処刑するにあたって悟られないようにと、色々としたケネスのせっかくの配慮が、身内の大臣の裏切りによるリークにより水の泡になり、悲しくて泣けてきた。。

地球連邦軍側だったケネスも、組織のあり方に疑問を感じて退役した。未来のシャアを作ると言っていたが、今後は何をするのだろうか、、
ハサウェイのようなやり方で,また悲しい悲劇が起きるので、ケネスなりの平和なやり方で人生を切り開いていてほしい。

伝説や神話として語られる歴史には、父の苦悩、母の悲痛、妹の絶望、生々しい現実がそこに散在しているのである。

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2026年02月18日

Posted by ブクログ

ネタバレ

僕はこの本の終わり方が好きではない。
そもそも読む前に考えておくべきだった。

富野監督はfirst小説版でアムロを殺しZテレビ版でカミーユを廃人にし、Vでシュラク隊全員を殺したのだ。露骨なテロリストとして描かれたハサウェイがまともな死に方をさせてもらえるはずはなかった。

ハサウェイがマフティー・ナビーユ・エリンだとわかっている准将が、ブライトに息子殺しをさせることを忍びなく思って友達である自らが処刑したところまでは良かった。それで終わってくれても良かったと思う。
それが後腐れない綺麗な終わり方として認めれる形だったのではないだろうか。

しかしその後マフティー・ナビーユ・エリンの銃殺刑の報をマフティー=ハサウェイであるとして報じたとあった。死後も政に利用されたというのはテロリストの末路としてはよくできているが、ガンダムの主人公としては余りにも不遇な最期だったとどうしても思ってしまう。ハサウェイに対して余りにも救いのない話だった。


第四十版
p.90 l.9:ペーネロペーがべーネロペーになってた
たぶん誤字

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2013年03月15日

Posted by ブクログ

ネタバレ

映画版を先に観ていたのですが、本作と映画版ではハサウェイが目指すものが異なるように感じました。

本作では己を否定し、死へと誘うクェスの幻覚をハサウェイが振り払おうとしているのに対し、映画版では精神薬の服用を拒んでまでクェスの幻覚に縋り、自らが手にかけたチェーンの幻覚を見ては涙を流しています。
クェスへの未練は一貫しているものの、映画版のハサウェイはクェスとチェーンへの贖罪、そしてアムロへの罪悪感を引きずっているように映ります。
一方、本作のハサウェイはクェスへの負い目よりも怒りが勝り、シャアを乗り越えることで、自分の中に巣食うクェスの呪縛そのものを否定しようとしているように感じました。

アムロとシャアにそれぞれ歪な母性と父性を見出し、本作の戦いを通じてその二人を超えることを目指したハサウェイ。しかし彼の志は半ばで断たれます。
それは単にハサウェイの力量不足というより、そもそもアムロとシャアという存在自体が、人間という枠組みを逸脱した一種の到達点だったからではないかと思います。
彼らの先にあるのはもはや人知の届かない領域でしかない——そのことが根本的な問題だったのでしょう。

到達不可能な高みを目標に据えたことで、健やかな人生から逸脱し、テロリストとして生涯を終えたハサウェイの姿には、イカロスに通じる物悲しさを感じます。

また、ドラマの重厚さに加え、モビルスーツ戦のアクション描写も見どころの一つです。
ビームライフルを射出して囮に使ったり、ビームサーベルをあえて暴発させて目眩ましにしたりと、機転を活かした戦闘描写には見応えがありました。

心理的な呪縛、理想の継承、そして人間を超えた存在への憧れと挫折。
ハサウェイという人物の精神的破綻と理想主義の悲劇を描いた物語として非常に印象深かったです。

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2026年05月08日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最近漫画に逃げてるので全然本を読んでないが、久々の読書なので、アニメ系ではあるがこちらに記載。

ちょっとネタバレになるかもなので、念の為。









昔からのガンダム好きでありながら、ハサウェイには惹かれず今まで避けてきた作品だった。
なんとなく大まかなあらすじも知ってた(わけではなく間違ってたと判明)ので、そんなものでいいかなと。

歳をとって最近たまたま見た映画版を見て、あ、だいぶ認識と違う気がして小説を読む。

これ、映画にできるの?してるけど。
どの作品より終わり方キツいでしょ。この悲劇、最後のケネスとギギの旅をちゃんと描くの?

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2026年03月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

閃光のハサウェイ。ファーストからゼータ、シャアの反乱などの一連の流れの集大成となる作品。

主人公はあのハサウェイ。どうやら設定では25歳と大人の設定。
彼がマフティーとなり、連邦軍に対して反旗を翻す話。

昔から存在は知ってはいたものの、なかなか手にする機会がなかった。

読後感の感想は他の感想でもあるが、なんとも言えない感じだった。
富野さんの賛否両論はこういった締め方にもあるのかもしれない。

とりあえず、シリーズの完結作として読んでおくといいでしょう。

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2013年05月05日

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