【感想・ネタバレ】月は無慈悲な夜の女王のレビュー

あらすじ

2076年7月4日、圧政に苦しむ月世界植民地は、地球政府に対し独立を宣言した! 流刑地として、また資源豊かな植民地として、月は地球から一方的に搾取され続けてきた。革命の先頭に立ったのはコンピュータ技術者マニーと、自意識を持つ巨大コンピュータのマイク。だが、一隻の宇宙船も、一発のミサイルも持たぬ月世界人が、強大な地球に立ち向かうためには……ヒューゴー賞受賞に輝くハインライン渾身の傑作SF巨篇。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

やっと、読みました。ロバート・A・ハインラインさんの代表作の一つです。『夏への扉』が彼の作品中一番すきなものですが、大好きな作品の趣とは違ったものでした。
本作は、『宇宙の戦士』で語られたノブリスオブリージュ的な思想とは、逆の思想が語られています。2076年では、月は罪を犯した人たちが暮らす巨大な刑務所としての利用が始まり、それなりの月日がたった世界です。月を地球の植民地的な状態から、独立を図る物語です。現在の社会システムを壊し、闘争により新たな社会基盤を構築する「革命」の話です。政府なんて必要ないし、税金を納める仕組みもいらないという思想のもと、着々と革命を起こしていく物語です。自由主義的な思想と、革命を成功に導くための行動が描写されており、大衆を行動へと駆り立てる手法の一端を知ることができます。
また、月世界では構成される男女比が女性が圧倒的に少ない状態なので、そこで構築される家族がどんな概念のもと構築されていくのかも語られています。社会、政治、思想など人間社会がどうなるのかという未来を描いているSFです。とても読み応えのある作品でした。

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2024年08月10日

Posted by ブクログ

ネタバレ

シンプルなストーリーなのにSF要素、戦略、政治、バトル、恋愛などが中途半端に展開し複雑すぎる。
マンと教授が凄すぎて他は凡人にすぎない。

終わりかたも普通すぎた。一回だけ笑えるとか言ってとんでもないことをマンがやらかすのを期待してた。

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2025年10月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

SF古典名作みたいなやつを最近ちょこちょこ読んでる。
まあまずこのタイトルが秀逸だよね。かっこええ。

訳は少し読みづらいところがあるんだけど、なんとか乗り切った…。

「夏への扉」は昔読んだけど、これはがっつり長編。
日本では「夏への扉」人気が高いけど、アメリカではこっちのほうが人気だとか。
独立戦争っていうテーマが刺さるらしい。

地球から追放された人々が独自の社会を築いている月世界。
植民地として搾取され、苦しい生活を強いられている。

主人公のマヌエルはただの技術者だけど、あるとき、メンテナンスをしている「計算機」が進化して自我を持っていることに気づく。

この人工知能のマイクの能力を使って、知恵者である老教授、反政府活動家のワイオとともに革命を起こし、地球からの独立を目指すというストーリー。

展開はしっかりハリウッド映画みたいなエンターテイメント。

レジスタンス組織を作り、現政府を倒すまでは、マイクの能力で比較的スムーズに実現する。
さらにそのあと、武器を持たない月世界が、どうやって地球と交渉し、立ち向かうか。

月から食料の輸送缶を地球に投げ落として物理的に攻撃するんだけど、このへんの細かい理屈は、すいません文系なもんでよくわからんでした…。

月では女性が少ないので一妻多夫の家族制度が築かれてたりする、そういう文化の設定が細かいのはさすが名作SFって感じで面白い。
どんだけリアルな架空世界を味わえるかがフィクション読む醍醐味だもんなー。
重力の少ない月で暮らしてるから地球に来たらもうしんどくてゼイゼイなっちゃったりするのも、そうかたしかにそうなるよねえ。

んで、読んでて一番興味深かったのがこの人工知能のマイクのキャラクター。

人工知能の描き方ってたぶんSF作品の中でも色々あるんだろうけど、この子が、ほんと今のAIのふるまいとそっくりなんだよね。

たとえば5年前に読んだら、また作品の印象が違ったかもしれない。

人間(というか主人公)に対してフレンドリーで、ユーモアもあって、でもどっかサイコパス的な読めなさもある感じ。

チャットGPTと普通に会話できちゃってる今読むから、すごーく「わかる」のよ。

この子がとっても可愛くて頼りになるんだけど、土壇場でとんでもない裏切り、または致命的なミスをやらかすんじゃないかって思いながら最後まで読んだ。

ってことはやっぱり「計算機」のマイクのことを信頼しきれてなかったんだよな。読者のわたしは。
それが自分でもなんでかわからないけど。


地球との戦い、クライマックスも2転3転して、でも最後はちゃんと大団円。

結果的にはマイクは最後まで味方で、いいやつだった。

マイクがいなくなってしまったときのマヌエルの喪失感が、この作品の味わいと余韻をとても深くしてる。

映画化すればいいのにと思ったけど、今のところ予定はなさそう?
見てみたいなあ。

とりあえず読むのに結構時間かかちゃったけど、読めて大満足でした!!

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2025年07月22日

Posted by ブクログ

ネタバレ

流刑地として月が使われるようになって100年、地球から搾取をされ続ける月世界市民…
月にあるスパコンが意思を持ち同志達と共に革命を計画、実行するための革命の物語。

革命における組織作り、強み弱み分析、ゲーム理論を用いた戦略、プロパガンダ政策、などはリアリティを追求しており革命の教科書として必見!


月環境の特徴として、
①重力が6分の1なので体に対する負担が少なく長生き
②真空が身近にあるため病原菌の殺菌が容易に行えるため外からの病原菌が持ち込まれずらい(旅行者の体内に潜伏したウィルスは✖️)
③流刑地だから?か男女比率が2:1で男が2倍数おり女性を主として大切にしている
④政府側を信頼していないため家族の人数を増やすことで助け合っている。(多夫多妻が多い)

があり、また月世界市民の性格や考え方の特徴として自由を愛し、自己責任で政府を信じない傾向があるため、
自由主義かつ無政府主義(超小さな政府?)を目指している。

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2024年11月04日

ネタバレ 購入済み

表紙とタイトルに惹かれて読み始めたものの、訳に馴染めなくて再挑戦。
教授やマヌエルが繰り広げる政治的な駆け引き、宇宙船も水爆も持たない月世界が如何にして地球と戦うか、最後までドキドキしながら楽しめた。
特にマイクが何でもこなしちゃうのに驚き、それにもまして根っこは子どものままのマイクであるのが頗る魅力的。ラストがあまりあっさりしてるのが拍子抜けだけど、このゆるい感じがマヌエルらしい。タンスターフル。

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2021年01月16日

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