あらすじ
昭和10年1月、書き下ろし作品として松柏館書店から自費出版された。〈日本一幻魔怪奇の本格探偵小説〉〈日本探偵小説界の最高峰〉〈幻怪、妖麗、グロテスク、エロテイシズムの極〉という宣伝文句は、読書界の大きな話題を呼んだ。常人では考えられぬ余りに奇抜な内容のため、毀誉褒貶が相半ばしている。〈これを書くために生きてきた〉と著者みずから語り、十余年の歳月をかけて完成された内容は、狂人の書いた推理小説という異常な状況設定の中に、著者の思想、知識を集大成する。
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Posted by ブクログ
まず、この本を読み切った自分を褒めたい。
何度読破を挫折したことか。
なんなんだこの本は。
今まで読んできた本の中で一番濃かったことはわかる。
何かが分かったようで何も分かっていない。
終始夢の中にいるような感覚。
これが混沌。
現代人からすると非常に読みにくい本だが、最後の100ページは鳥肌が止まらなかった。
読み切れたと言う達成感も霧散するほどの内容。
生きてるうちに出会えてよかったとは思う。
きっとこの本を理解する日はこないのだろう。
Posted by ブクログ
前半部分は文章が難しく、硬くて読むのに少し時間がかかってしまったけど、文章が柔らかくなってからはするすると読めてしまったし、この物語を解き明かす真実を早く知ってしまいたいと急いで読んでしまっていました。物語が進んで行くに連れて、どんどん確信に迫っている感覚がありつつも、それが嘘だったり本当だったりと何が正しくて間違っているのかどんどんわからなくなっていくところが面白いと感じました。また、最後にやっとこの事件の真相がわかると思ったのに裏切られて結局思ってもみなかった方向に物語が帰結したのがなんとも言えず、好きでした。
Posted by ブクログ
好奇心、ただそれだけの気持ちで読み続けた。読み続けられた。面白いから。最高だ、高揚するとはこれかと思った。
読んでる途中、自分が夢を見た時、起きてから何日間かそれを現実だと思い込んで、「あれ?あそこ難波やっけ?あの人とはいつ知り合ったっけ?」と、
全く知らん場所と人に対して、まるで自分の人生の一部だったと思わせた、夢と現実の境がなくなった事があって。
これは、私は本当に狂えたのか…とテンション上がった自分になんか引いた。
これが厨二病ってやつなのかな。
Posted by ブクログ
2025/5/20
圧倒的な情報量を提示することで、ある種ナンセンス文学的な氾濫空虚な感覚を与える。それにしても、下巻でも相変わらず文章表現のお上手なこと。脳髄とビフテキ等にみられる、文学的単語矛盾で強い印象を与えたと思えば、女の麻酔姿を神秘の国に生まれた貝の剥き身と表現する比喩のうまさ。作中で出てくる死語のアナグラムなど、夢野は「日本語」のセンスが卓越している印象。これが、いつまで経っても彼の作品が色褪せない衝撃を持ち合わせている理由。読者の浅学の自覚を強要してくる、支配的蠱惑に魅了される作品。
Posted by ブクログ
空前絶後の幻魔怪奇探偵小説。
「…ブウウ―ンン――ンン…。」という時計の音で初まり、同じ音で終わる物語世界。徹頭徹尾己が誰か己の名前も分からぬ主人公(果たして彼は呉一郎なのか否か)。怪人めいた二人の大学教授。奇妙奇天烈雑多、絢爛たる様々なテクスト――『ドクラ・マグラ』の中の「ドグラ・マグラ」、精神医療現場の地獄を喝破した祭文語り、「脳髄は物を考える処にあらず」という超絶探偵小説と題する談話、系統発生を繰り返す個体発生の内に胎児の見る先祖から親に至るまでの歴史を繰り返す夢、世にも奇妙な遺書、遺書なのだか活動写真の描写なのだかなんとも奇天烈文体。心理遺伝という不可思議(本当にそんなこともあるかもしれぬと思わせられる)、殺人者の証言、精神鑑定者による荘重な文語体の報告書、古刹の縁起、事件関係者のさまざまな語り――そして現れる、自殺したはずのもう一人の怪教授。千年前に描かれたという死美人の絵巻物(しかし本当に千年前のものか?)。そして語られる二十年に及ぶ因縁ばなし。最後に見つかった絵巻物の真実(しかし真実か?)無限の入れ子構造の迷宮。一体何がどうなっているのやら、「私」は一体全体誰なのか、精神科学の学術実験にかけられたあわれな青年なのか否か、それとも第三者なのか。はたして二教授は本当に教授なのか狂人なのか、その語りが真実なのか、主人公への騙りなのか、そもそも語り手「私」の語りが理性的なものなのか狂者の妄想幻想なのか。「私」の発言(記録)は信用に価するのか。時間は円環しているのかそれとも無限の繰り返しなのか。疑い出すとキリがない。
何を読んだのか読めたのか分からない。だからこそ何度も読みたくなるのか。目眩く読書体験。恐るべし『ドグラマグラ』
Posted by ブクログ
オーディオブックだったので、上下まとめて聴きました。どこから下巻かわからなかったので、本の感想は上巻のコピーです。
日本三台奇書のひとつ。
名作なので、表紙をなんとかして欲しい。
長く、読みにくく、難解。活字をあきらめて、オーディオブックで挑戦しました。
ミステリーという器に、グロテクスさ全部乗せ!
といった印象です。
しかしながら、物語の奇抜さで読ませるのではなく、繊細な心理描写、情景描写が秀逸でのめり込みました。感じました。名作かと。
前半繰り広げられる、無意味とも思えるストーリーが、後半見事に繋がっていく所に鳥肌が立ちました。ただ、前半は読むの(聴くの)が辛い…。
この本が、50年近く前に書かれたなんて…。
本って素晴らしい。読書って素晴らしい。
以下、備忘録
呉一郎の目の光を押し返す。
死人の呼吸が聞こえるような静けさ
乾燥した喉に唾液を押しやったた。
魂から滴り落ちる、血と汗のにおいがわかる
探偵小説は、犯人と探偵の脳髄のスポーツ
脳髄は、謎のご本尊。巨大なタンパク質のスフィンクス。脳のために人体があるのか、人体のために脳があるのかわからない。人体の専制君主。
Posted by ブクログ
この本を繰り返し繰り返し走り読みたいと思う。
それと同時に、この本によって人生を棒に振ることになるのでは無いかと恐ろしくなる。
読後「捕まえられた」と感じる程、脳は考察に縛られ、手はまた頁を捲り同じ音を繰り返し聞く。
話は単純だが、仕組みは複雑。
考察を読んで掴もうとすると、こちらの理論が崩れほどき直してキリがない。
精神が異常になるというより、精神を『ドグラ・マグラ』に捕えられる。
Posted by ブクログ
解説にも書いてあるとおり全て理解するのは無理なんだろうなと思いました。
個人的な解釈として堂々巡りなのだと感じました。
ループもののように繋がっている冒頭と終わりのブーンという音や主人公の今起きている事を先月にもやっていたのではないか?という疑問。
若林先生が話しているドグラ・マグラを書いた大学生のこと。読み終わってからこの部分を再度読み、この本の事を本の中でも言及しているのだと気付きました。
伏線を探すために見返しているこれを書いている私自身。
本の中の1000年前と大正15年、主人公の把握できる今日と1か月前、読み始めと読み終わりでぐるぐる回って主人公も読んでいる私も一生理解出来ないし終わりがくるかもわからないのだとそういう作品なのだと感じました。
難しい部分も多くて読むのにとても時間がかかりましたが個人的にはとても面白くて好きな作品でした。いろんな解釈を漁ってみようと思います。
Posted by ブクログ
大変疲れた結果、ものすごい振り回されたなと思ったのが正直なところ。
そういうことかと思った次の瞬間には全然そんなことなかったし、上巻もさることながら、下巻の半分まではとても読みにくくて苦労した。
葉巻の煙を掴もうと躍起になる。そんな作品でした。
Posted by ブクログ
読んだ人の分だけ解釈が分かれそうな一冊ですね
一読してすぐの感想としては大いなる無限ループの物語…とでも言いましょうか
古文あり、漢文あり、論文ありととても一人の頭脳から生まれた物語とは思えませなんだ…夢野久作恐るべし
自分なりのしっかりとした考察がしたいですね
大きな宿題です
前提ができては崩され、崩されては作られて
繰り返しているうちに混乱しつつも結論に結びつくが、それは主人公の解釈に過ぎず―。
いや、凄い本だった
Posted by ブクログ
「読むと精神に異常をきたす」という評判から読者を当事者として物語に没入させるような小説なのかと思っていましたが、そのような形式の本ではありませんでした。むしろ読者側は物語に引き込まれながらも、目まぐるしく展開していく文章に、数多の「?」を浮かべたまましがみつくことしかできないような本だったと感じます。
作中に披露される知識の膨大なこと、それを書き表す表現力、何よりその文字数。人生を賭してこの作品を大成させた作者の執念が、重厚な説得力として迫ってきました。
人生の早い時期にこの本に出会えたのは幸運だったと思います。これから何度も何度も読み返したい一冊です。