【感想・ネタバレ】孤高の人(下)のレビュー

あらすじ

いかなる場合でも脱出路を計算に入れた周到な計画のもとに単独行動する文太郎が初めてパーティを組んだのは昭和11年の厳冬であった。家庭をもって山行きをやめようとしていた彼は友人の願いを入れるが、無謀な計画にひきずられ、吹雪の北鎌尾根に消息を断つ。日本登山界に不滅の足跡を遺した文太郎の生涯を通じ“なぜ山に登るのか”の問いに鋭く迫った山岳小説屈指の力作である。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

加藤文太郎は感受性が高すぎて、
自他に壁を作っているようだった。

孤高とされるも、その内面は人間臭い。
不器用ゆえに、ひとりになってしまう。

理性は下山を勧める。
しかし、頂に魅了され、登る。

合理性を超えた魅力を、山に感じてしまった男の物語。

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2021年06月08日

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ネタバレ

この下巻で加藤文太郎は死んでしまう。なぜ人は自らの身を危険にさらしてまでして山に登るのか…そんな登山者の命題を深く考えさせらる1冊。

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2019年01月17日

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ネタバレ

昭和初期に、単独行で名を馳せた、加藤文太郎の人生を追った小説。本当は優しいのに人づきあいが下手な加藤が、山にのめりこんでいき、やがて数々の冬山の単独行で有名になる。そんな彼も結婚し、子供をもうけて、山を控えるようになるが。。
新田次郎の乾いた、しかし鋭い筆で描かれる山行のシーンに引き込まれます。実在の人物をもとに描かれたと思われる登場人物たちも、個性豊かで映画のよう。
加藤と同じ生き方はできないけれど、彼の人生や仕事、そして山に対する真摯な姿勢には大きな感銘を受けました。

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2018年08月31日

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ネタバレ

多分でしかないけどすべてが完璧にいく登山なんてほぼなかったんじゃないかな。常に学んで修正して挑んで、その繰り返し。その工程が加藤文太郎を育てたのだと思う。

それにしても下巻の途中からは読むのが辛くなっちゃったな...。あれだけ山に夢中だった加藤が結婚を機に人が変わるとは、人が人に与える影響力は底知れない。孤高であったが故にこれから先は幸せに生きて欲しいと願っていた。

経験と知識からなる譲れない芯は持っているのだから、もっと自己主張が強ければ、グループ登山の経験があれば救われたのかもしれない。けどどちらも持ち合わせていないのも加藤文太郎の魅力であり...。

山はとてつもなく魅力的な場所であり、一時も油断ならない。いつか北アルプスを歩く時、この本を思い出すだろうなぁ。

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2025年05月11日

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ネタバレ

下巻では山行記録よりも人間模様が更に浮き彫りにされていく。ちょっとびっくりする様な下宿のお隣さん界隈の繋がりが見えたりするけど、何より宮村健の豹変っぷりが恐ろしい。

加藤氏はと言うとまるで人が変わったかの様に良い方に向かう。良き配偶者に出会えたからこそ。
でも、加藤氏が幸せになればなるほど、不安が募るのは上巻での出だしがあるから。

園子が去って安心したかと思えば、もっと太刀の悪いのが宮村…。なぜ自殺願望がある人は、誰かを伴おうとするのだろう。その自殺願望に宮村自身気が付いていなかったかもしれないが、明らかに異常である。

ヒマラヤ貯金するも、きっとヒマラヤには行けずに終わるんだろうなと言う感が当たってしまい残念。

何も、愛する妻子ある者が、そこまで付き合ってあげなくても良かったのでは…と悔やまれてならない。

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2021年02月14日

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ネタバレ

家族を持ったからこそ出た優しさなのか、単独行の加藤が単独ではない登山で生き絶えるやるせなさ。面白かったです。

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2021年01月09日

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ネタバレ

私も山は好きだ。北アルプスにも行く。雪の山にも登る。

結局は無謀だったのだ。

孤高の人は孤高を捨てていた。
家族を想い、山を想った。

最後に自分の登山を貫くことができなかった加藤。
読みながら宮村を疑い、加藤の甘さに怒りを覚えた。
しかし、後味の悪さだけではない不思議な感情も残った。

登山家とは常人には理解できない世界に生きているんだろう。儚くも輝かしい、孤高の世界に没した加藤文次郎に敬意を表する。

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2022年10月28日

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ネタバレ

孤独を愛した登山家というイメージで読み始めたからか、孤独で寂しいとか、人とうまく話せないもどかしさもあったりして、そういう部分は普通の人と同じだったのかなと感じた。

最期に単独行でなく、パーティを組む選択をしたこととか、その他諸々の選択の結果死ぬことになってしまつて、どんな言い訳しても結局選んだのは自分で、結果は全部自分に帰ってくる厳しさを感じた。

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2019年05月17日

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ネタバレ

孤高が至高。

上巻の最初にオチをネタバレされている手法なので、「主人公が初めてパーティを組んで山登りをすることにより死ぬ」とわかっていた。だから、幸せそうな生活を送っていればいるほど、この人は死んでしまうんだな、と頭の片隅に引っかかり、そのギャップが切ない。読み進めれば読み進めるほど、その時が着々と迫ってきてしまい、先が読みたいけど、死んでしまうんだよな、戸惑う。
その時に繋がる山登りの話が出てきたとき、ああ、そういうふうに最期に繋がっていくのね、、と、ようやくわたしたちは死の状況の詳細がわかる。

死んでしまうとわかっていたこともあり、途中からずっと宮村くんにムカつきながら読んだ。
孤高の山男を家庭の人にした花子さんや登志子ちゃんにはあんまりムカつかなかったけど、宮村くんにはムカついたのは、それがやはり死に繋がっているとわかっていたからか?

宮村くんがああなってしまったのは園子さんの所為→園子さんに出会わせたのは自分だから責任がある、という風にいやに責任感があるのは、昔の人ならではなのかな。

楽しい山登りの描写は、上巻の方が豊富で、下巻は厳しい山登り。

フィクションだと思って読んでいたんだけど、フィクションじゃなかったことが最後にわかった。
ヒマラヤで単独行している姿、読んでみたかった。

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2025年11月27日

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