あらすじ
貧しいジャン・ヴァルジャンはパンを盗んだ罪で監獄に送りこまれて十数年ものあいだ苦しみ、さらに出所後も差別に悩まされる。しかし、ある司教に出会ったことで生まれ変わった彼は、まったくちがう人生を歩きはじめる。そして、不幸な美女ファンテーヌと出会い、彼女を救おうとするが、執拗に追いまわすジャヴェール警部が行く手に立ちふさがる! フランス文学の金字塔にして娯楽小説の真髄が、コンパクトな新訳で登場!
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Posted by ブクログ
「世間は震撼せども、十字架は微動だにせず」
レ・ミゼラブルを読みやすくした本。新潮文庫こそレ・ミゼラブルだという人もいるが、読みやすいこちらから手をつけるのがいいだろう。面白いと思って、さらに詳しく読みたい人はそちらを読めばいい。
ジャン・ヴァルジャンは悪人だった。生きるために心を汚した。しかし、寛容な司祭に出会い、彼は変わり始めた。これは、彼の救済の物語である。ところどころ利己的な部分が出てくるが、彼は人のために自己を犠牲にできる人物になっていく。たとえ、築き上げた地位を捨ててまでも。
”レ・ミゼラブル”、ああ無情。それでも信念を捨ててはいけない。
Posted by ブクログ
昔に映画を見て感動。原作も読んでみようと。抄訳ですが。
フランス革命後の世界観。
"ああ、無情"のタイトルから、まあ基本報われません。そんな中、みんなどう思い悩み生き抜くのか。その生き様が描かれています。
ジャン・ヴァルジャンとコゼットを追うジャヴェール。「またジャヴェールが来てしまった」と何度思ったか。
その逃げて追ってが気になるのに、急にマリウス。このマリウスにまた惹き込まれる。
ただピュアなストーカーにもなりかけてて心の中でマリウスに待て待てと呼びかけてしまいました。
ジャン・ヴァルジャンが心入れ替えて真っ当に生きていく...のではなく、その都度保身や誘惑との間で葛藤しつつ生き抜いていく。そんなジャン・ヴァルジャンだからこそ応援したくなるのかもしれない。
下巻も読み終わったら映画を観返したいです。
Posted by ブクログ
不変のテーマ。
芝選書で紹介されていた、2冊で完結するレミゼ!
いつか読みたいなぁ〜と思っていたので、読みやすいというこちらを。
200年前のフランスが舞台なのに、共感できるところがたくさんあるのが非常に面白い。
人は更生できるのか?真なる善とは?考えさせられる。
主人公:ジャン・ヴァルジャンがとっても魅力的で、気になる存在。
司教に出会って親切にされたことがきっかけで、心を入れ替えて他人のために生きている姿がかっこいい。
人は、誰と出会うか、誰と出会わないか、が大切なんだね。(©MIU404志摩)
市長としての地位を確立していたとき、全くの他人がジャン・ヴァルジャンと間違われて処刑されそうになった状況で、どう動くべきか、一人ひたすらに悩んでいるシーンが印象的。
p.131〜p.148まで悩んでる。
自分が言い出さなければ、他人がジャン・ヴァルジャンの代わりに処刑されてしまう。一方、言い出せば市長としての地位は無くなり、昔の酷い囚人生活に元通り。そして、気にかけて心配していた女性がひとりぼっちになってしまう。
わたしだったらどうするかな、と考えながら読んだ。
懺悔することや告白することは、主に自分のための行為だと思っている。逆に懺悔せず、告白しないことは自分の健康に悪影響を与えると思う。考えすぎて便秘になりそう。
きっと、表に出すことでストレス発散してるのよね。
例えば、仕事でミスっちゃったな〜ということを、全く仕事に関係していない家族に話すだけでも気持ちが晴れる。
自分だけの問題だったら、この考え方で告白するを選択するけど、相手がいて、告白することで相手が不利な状況になる場合は、自分の中で閉じ込めておく、を選択するような気がする。
ジャン・ヴァルジャンが陥っている状況は、どちらを選択しても相手が不利な状況になってしまうので、どちらの選択をするか結局は自分の中で答えが出ないまま、先が気になって読み進めてしまった。
偽ジャン・ヴァルジャンの裁判に乗り込んだ時点で、きっとジャン・ヴァルジャンの心は決まっていたんだね。
目の前で有罪判決を下される自分の身代わりを、黙って見過ごすような人ではないはず。
偽ジャン・ヴァルジャンが有罪判決を下されそうになる瞬間、ジャン・ヴァルジャンが発言するシーンはとてもかっこよかった。
下巻でのジャン・ヴァルジャンの活躍も楽しみ。
宿敵:ジャヴェールの、権力に従い、罪人は許さず更生も信じないという角張った考えは、この物語の中に出てくると、なんでもっと柔軟性を持たないの?と思うけど、果たして普段の自分はジャヴェールになっていないか?と、考えさせられる。
教会に通うおじいさんマブーフの考えも印象的だった。
世界にはたくさんの異なるものであふれていて、それが普通であるにも関わらず、主義主張が違うからって憎しみ合うのは理解できない、と。
言われてみるとたしかに。違うが当たり前なのに、なんでそれを人々は受け入れられないのだろう。
これまた永遠のテーマ。
Posted by ブクログ
罪と罰から、一瞬、デジャブかと思った(笑)。
罪人がさまようところから始まる。
でも、読み進めてみたら、そんな内心を描写しまくるどろどろ系ではなくて(笑)、精神的な善に溢れていて大分読みやすい話でした。
相変わらず、古典ならではの生死をかけたガチストーリーではあるけど、でも、読んでてそこまで辛くない感じです。
ミュージカルだとこんな感じかなぁ、と、つらつら想像しながら読む感じ。
子どもを/が拾う拾われる、というのが普通な世界に驚きつつ、パン1枚で生きていくそのすごさに驚きつつ、弁護士になろうともものすごい貧困な世界に驚きつつ、なんか、時代って不思議だなと思う。
あとは・・・犯罪を犯したことがある人が市長になることが、どれだけ悪いことなのだろう、って。
「すばらしい市長」として皆が評価しており、本人も真に悔い改めていて、かつ刑期を全うした人なら、よいのではなかろうか、とか、少し思ってしまう。