あらすじ
山で遭難した祖母を探すため夜行堂を訪ねた幼い少女。彼女の手には黒い切符が握られていた。千早と大野木の二人は共に祖母を探すため夜行堂の地下深くへと階段を降り、怪しげな駅のホームへ到着する。電車へ乗り込んだ一行がトンネルを抜けた先に見たのは、夕暮れに染まる稲田がどこまでも続く光景だった。(「追華」)。新屋敷の国道沿いの高層マンションの一室。通報を受けてやってきた警察官たちが見たのは一面の血の海だった。その中央に置かれた白い骨壺には、女の笑い顔が描かれており、甲高い女の笑い声が……(「穢瘡」)。亡き祖母の家は近衛湖疎水の傍に立つ百年の歴史ある家で、趣味の茶道具を蒐めているうちに小道具屋になったという。長年かけて集められた骨董品の眠る土蔵から不可思議な声がするという(「黒偉」)。滾々と淡水が湧き出る謎の石(「水石」)など書下ろしを含む全8篇収録。
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Posted by ブクログ
徐々に向こう側に浸食されていることを自覚し、それでもそんな自分を受け入れ自身の考える道を進む千早。
業務上どうしても怪異に関わることが増え、良い意味でも悪い意味でも向こう側に好かれやすい体質だがそれに無自覚な大野木。
個々での能力も高い2人だが、どちらか1人では対処できないことがある。それでも互いを思って、相手のために2人は動く。
「追華」:行方不明の祖母を探しに電車でGO、家族を思い、家族を信じる良い話。物理的に行きはよいよい帰りはしんどい。
「穢瘡」:昔かたぎな警部補権藤が特別対策課案件に相対するが、怪異相手ではこれまでの意地もプライドも意味がない。餅は餅屋だ。
窃盗団も裕福村も因果応報、千早の考えに私は賛同する。
「黑偉」:先祖代々の負債を孫世代が背負って責任を果たす。単純に自分たちはいいとこ取りして、後は任せたと退場とは卑怯なり。
「驟雨」:楸の好奇心は人をも殺す。どうなるのか気になったの、このキラーワードに引っかかったた対象はバッドエンド確定。
「水石」:祖母の負債を孫が応うパート2。ここ黑偉で登場した孫の由紀もだが、今回の聡子も良い孫だ。私は良い孫じゃなかったとわが身を振り返る。
「鼓花」:千早が最初からフラグを立ててたが、その期待に応えるのが大野木だ。特別対策室室長だが、そっちの免許はなにも対策できてないのが大野木。
「夜葬」:帯刀老の最後に会いに行こう。大野木のことが大好きな帯刀老、大好きだけどそれは引くよ?葛葉さんのがよっぽど人間味がある。
「門出」:小雪さん、ごめんなさい。私、あなたが誰だか思いだせません。
上巻も各話よかったのだが、千早と大野木の登場頻度が低くかった。下巻は2人が出ずっぱりで満足した。
千早がどんどん浸食されているのと、大野木も引っぱられている。お互いがお互いを気遣い、心配し合い、尊重しあう関係。それがどうかこれからも長く続いて欲しい。