あらすじ
フランス革命によってヴェルサイユ宮殿の栄華は過去のものとなった。貴族たちは財産を奪われ、特権を剥奪され、次々と裁判にかけられる。王と王妃の処刑を要求する民衆の声は、日増しに高くなって行く。激しい愛を胸に秘め、フェルセンは王妃救出を必死に画策するのだが――。苛酷な運命の中、愛と優雅さとを失うまいとする悲劇の王妃の生涯を、円熟の筆に描き出す華麗な歴史絵巻。
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Posted by ブクログ
脚色されていると思われるところもあるけれど、物語としてとっても面白かった。
歴史を学ぶ際に、こういう本を読むと歴史上の人物が身近に感じられるというか、どんなに昔の人でも私と同じ感情を持っていたのかなと想像できて楽しい。それがきっかけで例えば、マリーアントワネットの周辺の国の歴史も知りたくなったり、その時栄えた文化(服とか食事、芸術、文学とか)を学びたくなるし、マリーアントワネットのお父さんの時代は、その前は。息子の時代は、後世は、と一人の人をきっかけに興味がわいてくる。
マリーアントワネットの最後はとっても悲しいものだった。
彼女自身が処刑されるしかなかったのか。王政という制度の象徴として一人の人間を殺すことが必要だったのか。今では当たり前になっている人権という概念が形成させていく途中の時代。
歴史の出来事には常に、本当にこれでよかったのか、この時代の常識は、ということを考えさせらせる。
Posted by ブクログ
マリー・アントワネットは、フランス王妃。14歳で結婚し、37歳でギロチン死刑となるが、フランス革命は王妃のお金遣いが荒いせいだけではなく、軍事費(アメリカ独立革命に干渉してのこと)によって財政の苦境に見舞われた。王妃のスキャンダルもあったが、実際は王だけで浮気はしていない。スウェーデン人ウェルセン伯爵とはプラトニックで終わっている。どんなに辛くても、王妃としての優雅さを忘れず死刑のときも保っていたという。
Posted by ブクログ
歴史小説の中では断トツで好きな一冊です。
初めて読んだのは学校の授業でフランス革命を学んだ直後で、遠藤周作は革命のさ中にフランスに居てその目で見たことを小説にしているのではないかと錯覚するぐらいのリアルな描写とドラマチックな展開に感激し夢中になって読んだ記憶があります。
物語の終盤、アントワネットが最期に口にする「ごめん遊ばせ」「うっかり、いたしましたのよ」の言葉に彼女の王妃としての誇り、気高さ、優雅さの全てが集約されているように感じました。