【感想・ネタバレ】鬼人幻燈抄 : 10 大正編 夏雲の唄のレビュー

あらすじ

仲間の助けを借りた甚夜は、南雲叡善の企みを阻止して皆を救うことができた。だが、目的の一つであった鬼哭の妖刀は、混乱の最中、吉隠によって持ち去られてしまう。吉隠が密かに狙っていた鬼哭に秘められた能力、それは甚夜にとっては葛野の記憶に繋がる大切なものだった……!? ――大正編が大団円を迎える。大人気和風ファンタジー巨編、第十巻!

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Posted by ブクログ

ネタバレ

中西モトオ著『鬼人幻燈抄 十 大正編 夏雲の唄』は、長きにわたり積み重ねられてきた「人と鬼の物語」がひとつの時代を超える節目として、美しくも切なく結実した一巻である。

大正という激動の時代を背景に、変わりゆく社会の中でなお「変わらぬもの」を求め続ける人々の姿が、静かな筆致で描かれている。かつて何も守れなかった甚夜が、今度は誰かを守るために立ち上がる。その成長の軌跡は、過去から未来へと受け継がれる意志の炎のように、読み手の胸の奥を温かく照らす。

野茉莉との再会の場面には、時間の隔たりを越えた絆の尊さがにじみ出ており、哀しみの底にひそむ希望が静かに息づく。終盤で語られる「世の中は変わっていく。だからこそ、私たちだけは変わらず今を思い出せる場所を残す」という言葉は、この物語の核心であり、儚い時代を生き抜く者たちへの祈りでもある。

シリーズを通して描かれてきた“人の情”と“鬼の孤独”、そしてその狭間に生まれる“祈りにも似た生”の輝き――そのすべてが、大正編という舞台でひとつの円環を描き出す。本巻を読み終えたあと、深い静寂の中で自らの心にも“守りたい何か”が確かに息づいていることに気づくだろう。

『夏雲の唄』は、ただの時代小説でも、怪異譚でもない。これは、変わりゆく世界の中で“変わらぬ魂”を探し続ける者たちの詩(うた)である。

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2025年11月12日

Posted by ブクログ

余談:夏雲の唄/妖刀夜話 ~鬼哭~ /溜那の話/大正編終章:街の小さな映画館/幕間:老いも若きも

鬼と鬼の闘いは続く 大正の終わりにも
この先も終わらない?
2009年(平成22年)の高校生活も続く
楽しそうに
鬼も一緒に?
そう あなたの隣に 鬼はいるのだよ……

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2025年10月12日

Posted by ブクログ

大正編の最終章。葛野の集落の秘密が明らかになり吉隠との戦いが関東大震災の最中にあるも鬼との戦いはひと段落ついた気配。野茉莉と甚夜のエピソードで穏やかな気持ちに。世の中はいつだって変わっていくから私達だけは変わらず今を思い出せる場所を残す、印象に残る言葉。

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2025年09月17日

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