あらすじ
電子犯罪捜査局を標的とした一連の事件の首謀者とされたAI「トスティ」。しかしその開発者は世界のどこにも実在しない人物だった。開発者の正体を探すエチカとハロルド。ハッカーから足を洗ったビガも本格的に捜査に加わるが、一向に足取りを掴むことができない。そんな中、アミクスを狙った殺傷事件が発生。その手口は、かつてハロルドの恩師ソゾンが惨殺された「ペテルブルクの悲劇」と酷似していて……。第27回電撃小説大賞《大賞》受賞の本格SFクライムドラマ、波乱の第4弾!
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Posted by ブクログ
前回のトスティの件が解決していないのに、まさかもうソゾンの事件をもう扱うのか、決着つけるのかと思ったら……そう来たかー!
ただでさえ二転三転したのに、このオチにはしてやられたと感じた。
ただそうなるとハロルドの復讐(とエチカは考えていたが)の真の決着はどうなるのだろうか……
トスティの件については最後にやっと進展。
ただそれよりも、エチカとハロルドとの「関係性」に具体的な名称がいつつくのか、そちらの方が気になったり。
読者側には見えているんだ、気付いていないのは本人たちばかりなり。
事件の複雑さも魅力だが、このもどかしさもまた魅力なのだ。
Posted by ブクログ
人間にも「敬愛規律」のようなものがあることは、デーヴ・グロスマン「戦争における『人殺し』の心理学」を読むと分かることですが、本書には、そのような心情を欠いた人物が登場します。
作者の菊石さんは、第1作目のインタビューで、「機械のような人間」と「人間のような機械」との交流を描きたかった、ということをおっしゃっていましたが、本書でも、「人殺しへの抵抗感」という人間的な心を失った(その意味では機械のような)人間と、敬愛規律はなくとも、人を傷付けることに心理的な(!)抵抗を覚える機械との対立が描かれています。
2025年5月10日再読。
この辺りになるとさすがにプロットは覚えています。
2度目ということもあって、ややプロットの強引さが気になるところもありましたが、次巻以降が楽しみな展開でした。
Posted by ブクログ
【悪夢の靴音が次第に近付く、繰り返される悲劇に抗え】
過去の殺傷事件と似た事案が発生する事で、ハロルドの力量が試される物語。
路頭に迷っていたハロルドを救ってくれた存在。
ソゾンにより、ハロルドの心は救われる。
彼らと疑似家族を形成する事で、彼の根幹と言える物が形成された。
しかし、暖かさを伴う安寧は永くは続かなかった。
卑劣な犯行により、恩師は惨殺されハロルドの心に影を落とす。
そして、月日が過ぎると共に悪夢が再演される。
今度こそ、大切な人を守る為に全身全霊を尽くして抗う。
それが亡くなった者に対する唯一の贖罪だから。