あらすじ
加藤陽子、保阪正康、養老孟司激賞!
各紙誌上でも大絶賛!
敗戦、占領、抑留、青春、友情、再起ーー
希望よ、新たな時代の寵児たれ。
昭和100年・戦後80年記念刊行
昭和史三部作、物語はついに太平洋戦争の真っただなかへ。
たった七日間しかなかった昭和元年に生まれた四人が、
互いの運命を交差させながら、
新たな時代を切り拓く!
太平洋戦争が勃発した。
竹田志郎は、父に伴って渡米したが、そこで自分だけ捕虜となってしまう。ようやく帰国した後は日本の捕虜収容所の通訳となるも、目にしたのは看守の虐待が横行するずさんな実態だった。
矢野四郎は、父の死後、親譲りの素行の悪さで少年院を入れられる。だが、出院後次第に悪化する戦況うけ予科練に入ることを決意。戦友と共に人間魚雷「回天」で出撃を期する。
森村ノラは、ひょんなことから亀戸の喫茶店を任されることに。友人と闇米を買いに農村部へいったり、教会で預かった孤児たちを軽井沢へ疎開させるなど、母親譲りの活力で奔走する。
五十嵐満は、戦中は映画俳優として活躍。さらに、新国家建設を標榜する張学士らの組織〈リバティ〉に加入。だが、敗戦後に組織はあっけなく瓦解。タップダンスを武器に、旅芸者・藤田と捕まっては脱走を繰り返す。
感情タグBEST3
このページにはネタバレを含むレビューが表示されています
Posted by ブクログ
凄い作品です。
第1部の登場人物たちも魅力的でしたが、
第2部はその子どもたちの話になり、
親たちの存在感はすっかり薄いものに。
一気に話が進んで急激に面白くなりました。
第2部は太平洋戦争の頃の話が主軸ですが、
戦場や空襲を受けた東京などの描写がとんでもなくリアルで生々しいです。
戦時、戦後の日本人の生活のリアルがそこにあります。
戦争のを学ぶ歴史的資料としても価値のある作品と思います。
今まで、太平洋戦争については教科書や映画、小説で目にしてきましたが、当時のあらゆる立場から見る状況が本当にリアルです。
巻末の参考資料の多さを見ても、
本当に起こった事なのだとわかります。
今回の第2章では、矢野四郎と五十嵐満は、
命の危機に面してしまい、読んでいてハラハラしたものです。
そして、4人の主人公たちが少しずつ絡んでいく経緯はワクワクするもので、最後の章ではついに4人が揃います。
これは感動すら覚える場面でした。
しかし、さまざまな場所で4人の長い人生が進んで行くわけですが、適度な塩梅で章が変わって、多くの登場人物がいながらも、脇役も印象的で頭に入りやすいです。作者のテクニックの高さというか上手さがもの凄いです。
間違いなく、今年のベスト小説になるでしょう。第3部次第では、僕のオールタイムベストになるかもしれません。
何らかの賞を受賞しなければおかしい作品です。
ドラマや映画にしたら歴史に残る名作になるでしょう。でも、海外や戦争や昭和が舞台で、登場人物も多く成長もするので、もの凄く難しくてお金と時間がかかるでしょうね。もちろん、映画は1回では足りません。最低3部作にする必要がありそうです。
親と子の計8人、イメージ通りにキャスティングするのもとんでもなく難しいでしょう。
長々ととりとめもなく書いてしまいましたが、
それだけ、いろいろ書きたくなる素晴らしい作品ということです。第3部が待ち遠しいです。