あらすじ
古い屋敷を探検していた四人きょうだいの末っ子ルーシーは衣装だんすから別世界ナルニアに迷い込む。そこは白い魔女が支配する常冬の国だった。「人間の世界から来た四人の王と女王により魔女は滅ぼされる」という伝説のためルーシーらは追われる身となるが――。ナルニアは光を取り戻すことができるのか。美しい挿画と読みやすい新訳で堪能するファンタジーの最高峰。いま冒険の扉が開かれる。(解説・鴻巣友季子)
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Posted by ブクログ
言わずと知れた名作、新訳版で初めて読みました。
すごく読みやすかったです。もっと長い話というイメージだったので、本を見たとき、薄くて驚きました。
ファンタジーの金字塔…その後のファンタジーに影響を与えた本…等々、様々に言われていて、逆に楽しめるかどうか懐疑的でしたが、間違いなくワクワクしました。金字塔と言われるのも納得!
特に印象的だったのは「衣装だんす」。
これが異世界へ行く装置なのだということは、予備知識として、もちろん知っていました。最初は「ふんふん、こうなるのか」と、傍観するように読んでいましたが、最後に四人が元の世界に戻ってきたとき、思ったんです。「あれ、おかしいな。すごく寂しい」「わたし、またナルニアに戻りたくなってる?」
思えば、ハリー・ポッターで、一つの巻を読み終わって、続きを読みたくてたまらなくなるのは、毎回、物語の終わりにホグワーツからプリベット通りに戻るからでした。魔法の世界から、非魔法の(現実の)世界へ…。
ハリーは、最後には、ずっと魔法界にとどまりますが、私にとって「プリベット通りに帰ってくる」という行為は、「はやく魔法界に戻りたい!」という、たまらない高揚感を味わうための重要な装置だったんです。
「ゆきてかえりし物語」と言うと、こどもの成長を描く一つの形式のようですが、私にとって、「帰ってくる」という行為が、すごく重要なことだったんだなと、この本を読んで実感。
「衣装だんす」という言葉それ自体に魔法がかかったような気がします。