あらすじ
先駆的に化学物質による環境汚染を訴え、今に続く環境学の嚆矢ともなった『沈黙の春』の著者であり科学者であるレイチェル・カーソン。そのカーソンの最後に遺した未完の作品が『センス・オブ・ワンダー』だ。本書は独立研究者・森田真生による新訳と、「その続き」として森田が描く「僕たちの『センス・オブ・ワンダー』」で構成する。カーソンが残した問いかけに応答しつつ、70年後の今を生きる森田の問題意識に基づいた、新しい読み解き、新しい人間像の模索を行う。
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Posted by ブクログ
冬至を過ぎて。
痛み差し込む空気の鋭さは、アウターいらずの春の陽気と交互に訪れ、つるべ落としだった夜の幕開けはゆるりと始まるようになる。
仕事場横の川にはサギや川鵜、カモだけではなく、カモメが訪れ季節を告げている。
何種もの鳥の鳴き声、川のせせらぎ、川沿いを走る風の音、耳を澄ませば多様な音楽が耳を楽しませてくれている。
センス・オブ・ワンダー《驚きと不思議に開かれた感受性》。
美しさの感覚、新しくて未知なものに出会ったときの興奮、共感や哀れみ、称賛や愛情ーこうしたさまざまな感情から、心を動かされたその対象をもっと知りたいと思うようになる。
『知りたい』と思うように導くことの大切さ。
自然を探索することは、身の回りにあるすべてをもっと感じ始めるということ。自分の芽と耳、鼻と指先の使いかたを学びなおしながら、使わなくなっていた感覚の経路を、ふたたび開いていく。
変化し続ける偉大なる自然がもたらす、五感に問いかける美しさや驚異。
日本には四季があり、温度変化があり、生き物の移り変わりがある。
それらを表す日本語の美しき言葉たちの数々。
空色、雲の移り変わり。
雨の形状、匂い。音。ぬくもり。
波の大きさ、形。etc.
レイチェル・カーソンが言うセンス・オブ・ワンダーを体験してみませんか。
●幼年期は、この土壌を豊かにしていくときです。美しさの感覚、新しくて未知なものに出会ったときの興奮、共感や哀れみ、称賛や愛情ーこうしたさまざまな感情がひとたび呼び覚まされた後になってようやく、私たちは心動かされたその対象を、もっと知りたいと思うようになるのです。
●消化の準備すらできていない事実を、次々と与えようとしなくてもいいのです。まずは子どもみずから「知りたい」と思うように、導いてあげることが大切です。
●子どもと一緒に自然を探索することは、身の回りにあるすべてをもっと感じ始めること。自分の芽と耳、鼻と指先の使いかたを学びなおしながら、使わなくなっていた感覚の経路を、ふたたび開いていく。
●日々のなかにどんな悩みや心配があろうと、その思考は、内なる充足と、生きることの新鮮な感動に至る道を、やがて見つけることができるはずです。
●自然がもたらすワンダーに開かれた感受性ーこれをカーソンは、「センス・オブ・ワンダー」と呼んだ。そして、この感受性を子どもが失わないためには、「生きる喜びと興奮、不思議を一緒に再発見していってくれる、少なくとも一人の大人の助けが必要」だと綴った。
●人が生きるという営みが、いかに人間ではないものたちに支えられているかを、子どもたちに学び続ける日々であった。
●変化にあらがうのではなく、変化とともに生きていくこと。季節に応じて、大胆にその姿や生き方を変えていく植物や虫たちは、その生きる姿を通して、見事に体現している。
●いまの僕たちにできることがあるとするなら、それは人間の力を否定し、排除しようとするだけではなく、人間の力をも一つの力として受け入れ、これを生かしていく道を探していくことだと思う。