あらすじ
皇帝暗殺まで残り七日。宿敵・梁興甫との交戦によって分断された皇太子一行は、陸路と水路に分かれて北京を目指す。追手の猛攻はさらに激しくなり、次々と倒れていく仲間たち。逃亡先で皇太子は敵対している白蓮教徒の男とであい、衝撃の真実を告げられる……
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Posted by ブクログ
ミステリやSFに面白い華文小説がどんどん増えてるけど、鳴物入りで発刊されたこの冒険小説も先月の1巻ですっかり魅了され、待ち望んでた2巻目は正にページをめくる手が止まらない圧巻の面白さだった。 中国の明時代の正史に虚構実々の味付けをした、熱量一杯のエンタメ小説で、魅力的なキャラ総立ちの活躍による王室簒奪事件の見事な解決を堪能。しかし、回収予定の復讐譚がこんな結末になるとは。冒険小説だったはずなのに最後は重厚なミステリ小説。表紙絵も帯文も暗示してて、気になりながら読んだが納得した。どこか懐かしいラストも秀逸。
Posted by ブクログ
面白かった。
途中難しいところもあったので、なかなか読み進められなかった。
呉定縁のキャラクターが特に好き。
それぞれの人生の歴史があるから、それを無き物にする事は難しいとは思うが、復讐がその人を幸せにするわけではないところが切なかった。
Posted by ブクログ
中国、明朝4代皇帝治世の時代、首都を北京から南京に遷都することを計画した皇帝はその先ぶれとして皇太子を南京に派遣する。皇太子朱瞻基は南京到着すぐに御座船を爆破され命を狙われる。
白蓮教徒、遷都反対派、行程の座を狙う派閥が入り組みあって、朱瞻基の命を狙う。彼は皇帝皇后の命も狙われると知り、南京から北京への逃避行を試みる。仲間は若いくせに理想を追い続けるお堅い官僚于謙、酒浸りのやさぐれ捕縛人呉定縁、謎多き美人の女医蘇荊渓。
次々に襲い来る絶体絶命の危機、彼らは無事に北京にたどり着き陰謀を防げるのか?
とこんな筋書きなんだが、とにかく長い!そういえば初めて完訳版の西遊記を読んだ時も長いと感じたが、中国の良質な歴史冒険小説ってのは特有の長さがあるなぁ。漢詩や四書五経を引用したり、仏典を引用したり…そういうとこも似てる。
その長さと飽きてくるくらいの危機の到来とご都合主義的に助かる展開に「これはちょっと期待外れ」と思いかけてたのだが…
最後の最後のどんでん返しが圧巻。力任せの感はあるものの、この結末は予想できなかった。歴史を覆すことはできないのが歴史小説の縛りなんだが、その中では最大限のどんでん返しではないだろうか?
大変だろうけど(笑)是非最後まで読んで欲しい。でないとこの本の醍醐味は味わえないぞ
Posted by ブクログ
・あらすじ
梁興甫によって連れ去られた呉定縁を救出するべく朱瞻基と蘇荊渓は斉南城、于謙は朱瞻基の叔父である張泉に援軍を求めるため臨清へと向かう。
白蓮教徒に捕えられた呉定縁は仏母から衝撃的な事実をしらされる。
朱瞻基、呉定縁、蘇荊渓の三人に絡まる因果の糸と十五日の旅の結末。
・感想
幾度も危機を乗り越えてきた三人の結末がこれなのか…。
こういうのめっちゃ好き。読み終わった後とても切なくてやりきれない思いになった。
三人ともひとりひとり「人間」同士なら或いは違う結末もあったかもだけど、でも朱瞻基は「皇帝」になってしまったからもう三人の道は永遠に交われなくなってしまった。
それぞれの信念、立場、断ち切れ無い呪いの様な因果によって始まって、そして終わった旅だった。
ただの一族の殺し合いに過ぎないのに、争うものが「皇帝」というだけでこんなにも甚大な影響を及ぼしてしまう。
1日を生き延びる事に必死な下々の民には全く関係ないのに犠牲になるのは結局そういう民なんだよね。
外野からすれば傍迷惑な話でしかないわぁ。
でも立場や権力にはさまざまな思惑や利益、忠義や歴史など人を縛り付けて手放せないものが絡まってくるからね…。
白蓮教の言い分、そして悪役の漢王とその息子である朱瞻域の気持ちも分かってしまう。
最後はちょっと漢王に同情しちゃったし。
梁興甫の最期なんてちょっと泣きそうになってしまった。
本当にどのキャラクターも本当に魅力的だった。
朱瞻基は孤独な人だ。壊れてしまった香炉を作り直してきっと何かある度にあの旅を思い出すんだろう。
辛く悲しい結末だったけど、彼がひとりの人間として過ごすことができた大事な日々。
呉定縁と蘇荊渓。
いやもうこの2人が最高に良かった!!!
荊渓に定縁が居てくれて良かったなぁ…なんか呉定縁に感謝したいよ。
荊渓を一人にしないでくれてありがとな。
あのどっちとも取れるラストも良かった。
あの陵墓でのシーンは今後何度も読み返してしまいそう。
蘇荊渓の身を切るような慟哭と呉定縁の覚悟。
朱瞻基に向かって「お前は朋友だけど何百万の兵がいる。荊渓には俺一人だ。俺は荊渓と最後まで一緒に行く」というセリフに呉定縁!最高!!!ってなった。
でも朱瞻基にも部下は沢山居ても朋友は呉定縁ただ一人だったと思うから…辛いね。
最後に見せた微笑みで荊渓の呪いも解かれたんだと思いたい。
私が二次創作書きだったら定荊転生パロで二次創作してるわ〜。
于謙は後半脇役になっちゃったかな。口うるさくて真面目な于謙が好きだった。
作葉何もとっっっても魅力的で好きなキャラクター。
しなやかな強さを持った凛とした人だった。
中国の作品は三体と天官至福しか読んだ事ないけど慣れない人名、地名などに加えて故事成語が頻出したり知らない語句や漢字も沢山あったのにすごく読みやすかった。
わからない漢字や語句の意味などを調べてノートに書きつける語句帳というもの作ってるけどこの作品だけで数ページ使ってしまったw
すごく好きな文体だったし、翻訳日本語の美しさ?を感じる訳でした。
きっと中国の風習などに詳しかったらより深く物語を理解できるのだろうけど、冒険小説として娯楽で十分楽しめる絶妙さ。
とっても面白かったーーー!!
Posted by ブクログ
なんとか読み終わった。
うけん視点パートが少なめになったせいか、引用も少なくなった感触。
北京について、ハイ終わり、じゃなくて、その後の謎の解き明かしもあって面白かった。画面映えしそうな描写がいっぱい。
漢王の次男と五男とか。
香炉の破片とか火事とか。
内容と関係ないけど、中国語読みの名前で良いんじゃないかな?と思った。三國志などで、日本語読みに慣れちゃってるけど、中華BLだと中国語読みになってるし。三体では両方明記されてたし。中国語読みは慣れないけど、日本語読みしたって、日本でしか通じないから、やっぱ名前の読みは原語のままが良いなと感じた。
Posted by ブクログ
1巻で得体のしれない敵だった白蓮教が頼るべき味方になるなど、展開にワクワクが止まらない。数々の困難を乗り越えて、朱瞻基が北京に到着し漢王の策略を打ち破ってハッピーエンド、かと思いきやラストでこれまでの謎が全て回収される。15日間の旅をしてきた仲間たちとの結末がこれか、と切ない気分にもなったが、後書きを読んで作者が描きたかったテーマがこれなんだとわかった。
大長編だが読み終わるのが勿体なくなった、大傑作の冒険譚!
Posted by ブクログ
中国の長い歴史の中の明という時代、その中の実在する五代 宣徳帝の皇太子時代〜の
たった十五日間の冒険
なのにこんなに 激しく長く感じられる
誰が味方か敵なのか、読み進めるうちに驚きの連続
読む方も 登場人物と共に何度も溺れかけたようだ
そしてまさかまさか!のどんでん返しも
Posted by ブクログ
馬伯庸の初翻訳作品。記念すべきポケミス2000番と2001番。
1400年代の中国、明時代が舞台。
大皇帝の永楽帝を祖父に待つ朱瞻基、切れ者の不良警官である呉定縁、才能はあるが運がない下級役人の于謙、秘密を抱えた女医の蘇荊渓。この四人が導かれて出会い、南京から北京へと向かう。
現皇帝と皇太子を狙ったテロ、暗躍する教団、絶望感を抱くほどの狂敵、それぞれの隠された過去、旅を通しての成長等、これでもかというほど様々な要素を盛り込んだ超弩級のエンタメ小説。ポケミス上下巻で非常に長い作品だが、飽きさせない展開で読ませる。
個人的には、最後の謎と展開は意外性はあったものの、もう少し爽やかな感じでも良かったかなと。逆に、下巻冒頭の展開は非常に熱く良かった。最狂の敵が味方になると、ここまで頼もしいのかと。ヤバイ奴だとはわかっているものの、その最期が無性に泣ける。
冒険小説としては近年稀に見る大作ではないだろうか。おすすめ。
Posted by ブクログ
『Ⅰ凶兆』に続く下巻。やはり地理などがわからず、Ⅰに続いて詳細は飛ばして約12時間で一気読み。冒険譚に最後はミステリー要素を入れて締めくくられました。期待通りの面白さでした。
Ⅰで気になっていたことが明らかになります。そして敵が…
こんな展開ありなん?→なんでもありです!
朱瞻基のピンチの脱出の仕方に涙しそうになり、呉定縁の大胆な作戦にスカッとし、病仏敵を『行け、やってまえ!』と心から応援し、昨葉何が自分のあるべき場所を見つけたことに感動しました。
そして時間がなく逼迫した場面で登場する新キャラ・阮安に苦笑。
唐賽児、漢王、周徳文、海寿なども、敵も味方もサブキャラも全部面白い。登場人物全員が苦しみながらも熱く生きていて、読んでいる私も熱くなりました。
中国の歴史ものを読むのは初めてだったけれども、ほんと読んで良かった。蘇荊渓が昨葉何のために暗誦した崔融の「瓦松賦」の一節は何度も読み返しました。出てくる他の詩の意味ももっと知りたいなぁと思いました。
映像化して欲しいです。
Posted by ブクログ
下巻読み終わりました。ラストはこうなのか…。
太子が帝位を継ぐために期日までに北京に戻らないと…というストーリーで進んでましたが、下巻の3/4くらいで北京にたどり着いたんですよ。え?着いちゃったけど、この後どうなるの??と思ったら、もう一捻りがありましたね。
伏線の復讐劇なのですが、大切な人が理不尽なことで亡くなったので復讐するという流れはまぁ分かるのですが、家族でもないようなので、そこまで人生と命をかけてまで??とちょっと首を捻ってしまったのが一つ。あとは亡くなったことに関わった者は全て殺す流れで復讐を進めるのですが、え?そのレベルの関わり度合いの人まで殺す必要あります??という感じで極端というか違和感が。。それと復讐劇の部分が駆け足すぎて、クライマックスの後の一捻りにするなら、もう少し丁寧に書いて欲しかったような。
「ひごさお」が北京に前乗りするところは本当にカッコよくてドキドキで楽しかっただけに最後の最後が残念でした。いっそのこと復讐劇のあたりはなくても良かったような気が。どんでん返し的な読者をびっくりさせる的な要素なんだと思いますが。好みの問題もあるか思うのでご参考まで。
この話は実際の歴史をベースにしているようですが当然フィクションの部分も多分にあって巻末に作者の方が当時の状況を書いたものが付いてるので、そちらも併せて読みたいと思います。