あらすじ
電子版は本文中の写真をすべてカラー写真に差し替えて掲載。
地震や疫病、蒙古襲来など、激動の鎌倉時代を生きた日蓮。天台宗ほか諸宗を学び、三二歳で日蓮宗を開いて法華経の信仰を説いた。鎌倉を本拠に辻説法で他宗を攻撃して圧迫を受け、建白書『立正安国論』の筆禍で伊豆に、のちには佐渡に配流された。死をも恐れぬ「闘う仏教者」のイメージがある一方、民衆の苦しみに寄り添う姿も垣間見られる日蓮。自筆の書簡、数多くの著作をはじめ、史料を博捜して、その思想と人物像に迫る。
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Posted by ブクログ
日蓮の生涯について綿密な史料解釈の基、要点を抜き出して簡潔にまとめた名著。
日蓮のゴリゴリに追求していく思想、過激発言と数々の舌禍とも言える困難、その反面驚くほど人間味のある数々の手紙、日蓮という人物のエッセンスが詰まった面白い本だった。
また、難解な日蓮の仏教思想を噛み砕いて(久々の読書であったのでそれでも難解であったが)丁寧に解説している。法華経とそれに基づく日蓮の思想の骨子を知ることができた。
Posted by ブクログ
立正安国論提出の経緯、佐渡流罪、蒙古襲来と祈祷、本門の戒壇、墓輪番などについて、従来とは少し異なるが妥当な考え方が立論されている。
日蓮の生涯についての現時点での決定版だろう。
Posted by ブクログ
立正安国論を日蓮が書いたことは勿論知っていたが大まかな内容については知らなかった。
地震や飢饉、疫病などの災害の由来は国家が念仏を採用してるからで、それを捨てて正しい教えに帰依することが災害をなくし、国家を安寧ならしめる道
このことが立正安国論では説かれている。
客と主人の問答形式で、構成されているのも立正安国論の私が驚かされた点だ。
少々行き過ぎた思想(他宗の寺、塔を破壊し、他宗の僧の首を刎ねろなど)また、自分が祈祷しないと国は滅びるなど、中々にぶっ飛んだ思考の持ち主であることは間違いないが、随所に信者への気配り、優しさの心を持ったある意味カリスマ的存在であったと拝察する。
何度、法難にあっても諦めない気持ち、その精神力は驚愕する思いで読ませて頂いた。
戦前の政教一致や、戦後の政界進出に日蓮の教えが利用されることに関しては懐疑的ではありますが、報恩を大事にする日蓮の報恩抄など、色々な教えをこれからも学んでみたいと思えた。