あらすじ
奇妙な「二人だけの孤独と自由」を過ごす中で、恒一と鳴、二人の距離は徐々に縮まっていく。第二図書室の司書・千曳の協力を得つつ、〈現象〉の謎を探りはじめるが、核心に迫ることができないままに残酷な“死”の連鎖はつづく……。夏休みに入ったある日、発見される一本の古いカセットテープ。そこに記録されていた恐ろしき事実とは!? ──ゼロ年代の掉尾を飾った長編本格ホラー、驚愕と感動の完結巻!
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Posted by ブクログ
三神先生と玲子さんが同一人物だったのが衝撃的だった。結局、人が死んだり記憶が改竄されたりするのは自然現象ということだったが、それを上回る面白さがあった。
Posted by ブクログ
ミステリーを主戦場としてきた著者だけあって、作中に読者のミスリードを誘う記述が随所に見られ、それがほぼ無理なく機能して、作中で疑わしき(重要な)人物の印象がガラッと変わる。これがホラーとしてはかなり斬新な感じがしてとても面白かった。
超自然的な内容を扱うホラー作品ではあるが、それでも作中では”呪い(=災厄)”に対する論理があり、それが通っていると感じる。私が思いつく疑問にも作中でのやりとりで答えており、理不尽な感じがしない。登場人物も個性を持って努力や試行をしており、物語を展開するためだけの無意味にバカな行動や人物がいない。
端的に言って、私好みの作品だった。
物語の前半部分(上巻の多くの部分)では”災厄”の詳細をぼかしながら岬メイの存在に注目し、クラスに異常なことが起こっているらしいことや、メイが幽霊(少なくとも人間ではない)のように見えるようなミスリードを散らし、徐々に詳細が明らかに、気味悪くわかってくるように作られている。
メイのことを知ってもその本体に近づけないような、より疑いが深まるようなもどかしい書き方は巧妙で面白い。
後半に入るころには、メイがただの少女で幽霊に見えた部分もすべて誤解であったことが明らかになるが、それでスッキリすることも落ち着くことも無く、ホラー部分が強く、怖くなっていく。
前半で少しだけ現れた千曳氏が物語の重要な知識を語ると、怪しむべき人物が(千曳氏も含め)一気に広がり、中だるみ無く新たな展開をもたらしてくれた。
“災厄”が明らかになるだけでなくそこからの救いのようなものも見いだされ、中学生らしい冒険も含めたりしながら話は終盤まで流れていく。
最後の三神先生のギミックだけはかなり強引な気がしたが、それ以外は破綻を感じることも無く気持ちを切らすことなく読み切ることができた。
Posted by ブクログ
今回も綾辻行人に十角館の時みたいな殴られ方をしたよ!笑
三神先生 = 怜子 は無理だって!わかんないって!笑
本作における理不尽はまるっと納得できるけど、管理人沼田妻の奇行はいったい何だったんだろうという謎が残る。
あと、呪いが解決していないのなら、見崎鳴は毎年の3年3組全員を見る役をやってあげればいいんじゃないか?
あと、3年3組自体を無くしてしまえないものなのか…。
とりあえず続編の S を読んでみる。
よかった
伏線も全て回収いただけてよかった。
その後の3年3組の呪いがどうなるか心配。
その後の呪いまで解けるような解決法が描かれているとよいなと思った。
Posted by ブクログ
災厄を避けるために「いないものとして扱う」設定が秀逸である。クラスという隔絶した空間を丸々因習村のように仕立て上げたのは見事な手腕である。と、同時に「いないものとして」扱われることを逆手に取って、好きに休めず、時間割に則って行動せざるをえず、放課後ぐらいしか自由時間がないとあう中学生特有の行動制限の縛りを、咎める大人を制したことで一時的に無くしたというのも面白い。
記憶が辻褄が合うように都合よく消され、記録すら改竄されるという立証不可能な災厄が迫る中、誰が「死人」なのかという作中最大の謎の正体は大掛かりな叙述トリックであり、これは流石に見抜けなかった。学校の先生である三神先生=主人公の叔母の怜子というのは驚くしかなく、記録や記憶の改竄があるからこそ少しズルい気もしたが、これはミステリではなくホラーだからこそできる芸当でもあり、その若干の「ズルさ」こそが本格ミステリとホラーを分けるものでもあるのだ。
ただ、父親の電話や九官鳥の言葉などの伏線は散りばめており、それでいながら減った席は職員室の席だったという理外の部分であったのも面白い。
一番驚いたのは上巻から曰くありげな振る舞いをしていたヒロインのミサキ・メイが実は何でもないただの少女であり、思わせぶりな台詞のほとんどはただの厨二病だったのでは?となった点だろう。一応全部筋が通っていて辻褄は合うものの、隠された眼以外は本当にただの人だったというのは意外すぎた。
そのミサキ・メイの能力も明かされるのは終盤であり、クライマックスは疑心暗鬼に駆られての殺戮パーティというぶっ飛び具合も凄い。しかしながら、ラストの意外性のある驚きも含めて、実力派の作家にしては珍しいほどに力技かつエンタメに完全に振り切ってて凄く良かった。学園ホラーとしては一級品である。
Posted by ブクログ
どんでん返しがあるホラーミステリーだったか。
上巻は鳴がいるのかいないのか、なぜいないもの扱いでなのかという謎で、下巻は誰が死者なのかという謎がメインのミステリーって感じ。
あんまりこのタイプのミステリーを読んだこと無かったけどこれはこれで面白いと思った。
綾辻行人っぽいどんでん返しだったなぁ。
伏線もしっかり張り巡らされてて楽しかった!
Posted by ブクログ
面白かった!夢中で読み続けて久しぶりに夜更かししてしまった。
綾辻作品は十角館の殺人に続いて2作品目だが、十角館よりも個人的には好み。
むしろ十角館を読んでいなかった方が楽しめたな〜、最大のトリックが同じだから…。正直、トリックが分かった時はびっくりもしたけど少しがっかりもした、トリックが同じだから…。
でもそれを抜きにしても、確かに叔母さんに対しても副担任に対しても微妙な距離の取り方をしてるな〜とかを結びつけて考えたりしなかったし、随所でヒントが出ていたのに全て見落としていたので、びっくりの方がやや勝った。
特にあのインコは絶対何かあると思ってたのに、全然気付けなかった!
あと鳴ちゃん絶対幽霊だと思ってた。
Posted by ブクログ
「ホラー」というジャンルと聞いて読みましたが、心霊的な描写は少なくどちらかと言うとオカルト的な要素が多かったように感じます。そのため心霊系が苦手な方でも読めるような印象を受けました。
上下巻あったことで少し読むのを躊躇っていたが思いの外すらすらと読めた。しかし、分ける必要性があったかと言われると疑問が残る。上巻、下巻通してそこまで重要ではない情報等を少し引き延ばしすぎな印象を受けた。勿論、不思議な、それこそオカルト的な世界観に入り込む事ができると言う点では良いが、物語全体が間延びしているようだった。
上巻での伏線を下巻では丁寧に一つ一つ回収しており、読みやすい点では良かったが丁寧すぎて読み手側の想像力を少し限定的なものにしていると感じた。物語を通して重要な「もう1人」が誰なのかについても、少し丁寧すぎる描写により、予想できてしまった人が多かったのではと感じた。
下巻での最終場面にて少し無理矢理すぎる?ような印象も受けた。それまでの死者は偶然といえば偶然と呼ばれるような死に方、「厄災」が関係しているのかもしれないと思わせるが、最後の場面については、明らかな殺意を持った人間が人間を殺していく。それも動機が「厄災」によって引き起こされているのかもしれないが、少し無理矢理だと感じた。
しかし、全体的な世界観や設定は好みであったし、すらすらと読める点で面白くはあった。他の「アナザー」シリーズを読んでみたいと感じた。
Posted by ブクログ
綾辻さん大得意なドンデン返し。
登場人物のあの人とあの人が同一人物だというトリック。
今回も予想外でした。
ミステリーというよりオカルトネタ。
3年3組の中に紛れ込んでいる死者を葬らないと誰かが死に続けるという連鎖を止める方法がない、という対策を知りその死者を探す。
その死者を恒一が葬るのだが…その死者が3年3組の関係者を殺していた訳ではないので「犯人」てわけではなく、結局はその死者を退治する物語。
現実離れし過ぎてて✩3