あらすじ
勇者は孤独な里帰り、女子中学生の天使は進学に悩み、ケンタウロスは馬車馬のように働く、今日も大学の上空には竜が飛ぶ……あたりまえのように、そこにある非日常。現実(リアル)と幻想(ファンタジー)が入り混じる「九井ワールド」へご案内!ウェブや同人誌即売会で発表された7編に加筆修正を加え、描き下ろし2編もあわせて収録。ウェブや同人誌即売会で作品を発表し、広い世代から注目を集める新星、初の作品集!【収録作品】『帰郷』『魔王』『魔王城問題』『支配』『代紺山の嫁探し』『現代神話』『進学天使』『竜の学校は山の上』『くず』
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Posted by ブクログ
竜の学校は山の上 九井諒子作品集
こういった拾いものがあるので、マンガの乱読も無駄ではないです。
収録作品は以下の通り。
『帰郷』
『魔王』
『魔王城問題』
『支配』
『代紺山の嫁探し』
『現代神話』
『進学天使』
『竜の学校は山の上』
『くず』
最初の4つはRPGの後日談的な物語。魔王を倒したんだけど・・・の設定で、その後に起こる様々な問題を描いています。「現代神話」は、ケンタウロスと人間が現代生活を一緒に送ったらという設定で、働き過ぎの日本の社会をちくりと皮肉っています。「進学天使」は、羽を持った女子高生が、飛ぶことに制約のないアメリカへ留学するかどうか悩む話。今も昔もファンタジーの世界でも同じなんだなあ~。表題作の「竜の学校は山の上」は、”竜学科”のある大学で主人公が竜の有効利用を模索するお話。この話も効率至上主義について考えさせられます。
絵柄も好きですし、何より物語りが良く練られている上、登場人物の気持ちの綾まで表現していてとても深い。
次作を心待ちにする作家さんが一人増えました。
竹蔵
Posted by ブクログ
九井諒子作品集「竜の学校は山の上」。
うーん。人の善意や未来への希望が作者の根底にあるのだろうけど、それだけで物事は収まりはしないよね、という現実の虚しさ厳しさを見せてくれる作品集だと思いました。どちらも、大上段に振りかぶってどうだ、というのではないし、こういうのもあるよね、というさりげなさでもない。押し付けがましくもなく、気づく人だけ気づけば?のニヒルさもない。ちょうど良い塩梅なところが、うまいと思います。
『代紺山の恩返し』『現代神話』のラストが、誰かへの好意という善意が生み出した先にある結果の虚しさを描いていて、どちらも報われなくてこう悲しさと悔しさと哀れみが混じって虚しくなる。
皮肉や冷笑を喜劇のオブラートに包むのが巧みなのかな。奇妙奇天烈というわけではないんだけど、王道でもなく、風刺も含みながら、誹謗批判ではない。
中庸になるのかなぁ。いろんな要素が作品のテーマとしてあるんだろうけど、世の中の全てに、それぞれの要素でうまく中庸なんだと思います。
現代と融合したファンタジー
現代社会とファンタジーが上手く融合していて、
本筋と息抜きの案配もよい。風刺と見ることができるが、
いかにも社会への批判といった風でなく、ユーモアや希望が
あるところが素晴らしい。
Posted by ブクログ
すごい才能だ(絶句)
一話一話確実にページの向こうに異世界が存在している。全話何回も読み返すぐるぐる案件なんだが、特に「代紺山の嫁探し」が好き。
民俗学っぽい。蛇信仰っぽい。日本昔話っぽい。
現代ものも、すごく普通の日常に少し不思議なことが嘘っぽくなくはまってるのがとてもすごい。
隣の世界のぞいてるみたい。
すこしふしぎ
気軽に読める短編集。どれもオチがいい。九井先生には『ダンジョン飯』で出会いましたが、この短編集を読んで、こういうことを日頃から考えている人だからダンジョン飯が描けるんだな……とわかりました。
Posted by ブクログ
RPGに浸かっていた身分にはとても心地よい作品。魔物と、感情移入しやすい行動に従うキャラクター達が物語に引き込んでくれる。いつまでも浸っていたい世界。
Posted by ブクログ
これほど雰囲気のしっくり来る作品は久しぶりだった。
素朴と幻想と、日常と非日常とがいっしょくたになった短篇集。丁寧。
中には納得の行かない結末が付けられているものもあったが、そのくらいでちょうど良い。
Posted by ブクログ
一話一話世界観を作り出す素晴らしい漫画家さんです…。いいなぁ。
その世界観が生半可なものじゃなくて、こんな問題があるとか、悩みとか、歴史とかそういうものがきちんと細部まで生み出されていて本当にすごい。
竜がでてくるからなのか日本昔ばなしのような教訓を得られる物語が多い。絵本にしたらまさに大人のための深い絵本になるんだろうな。是非やってほしい…。
Posted by ブクログ
これは面白い。魔王討伐後の世界とか。ドラゴンが普通の現代とか。とか。とか。ファンタジーなのに地に足着いてる感じでするすると溶け込むように読めてしまう。沁みる。ケンタウロス族と人間が共存する世界のお話かわいかったな。
Posted by ブクログ
9つの短編作品。
味のある絵と、ひねりのある、かつ美しい物語が素敵。
前半のRPGゲームのようなファンタジックな世界観が特にすきです。魔法がいて、お姫様や剣士がいて、どこか後にひく物語が良い。
Posted by ブクログ
漫画短編集
本当に、本当に良かった
特に「進学天使」
思春期のすれ違いを種族の違いという要素を加味して描く
切ない、切なすぎる
男性の方は、幼馴染の同級生に天使がいる
(なお文字通りの天使であり、翼が生えている。天使という存在は希少ではあるが世間に認知され当たり前に受け入れられている)
女性の方は、あなたは翼の生えた天使である
好きな人間の男子学生がいる
これで物語を創造して欲しい
この結末を思いつく人はいる、いると思う
ただ
この絵の終わり方 引き方
思いつきました?
ダンジョン飯で大ブレイクした作者ですが
あれは連載なんで本領じゃないですよ
完全手塚治虫の系譜だと僕は思っています
Posted by ブクログ
ど真ん中ファンタジー世界の余白を切り取るのがうまい
このアプローチでダンジョン飯が生まれたんだなというのがよくわかる
途中からダンジョン飯のプロトタイプ作品を勝手に期待してたので入ってなくて勝手に落胆
Posted by ブクログ
どの作品集よりも一作品一作品がシリアスで、クスリ笑いすら出ないものすらある。より切なめなショートショートが読みたい時に。
表紙絵にもされてる「現代神話」が1番インパクトあった
Posted by ブクログ
九井さんのデビュー作。それ自体ほんわかする。しつつ、こうなったら楽しそうねーとは思うものの、どの話も刺さる。
『現代神話』と「竜の学校は山の上』が好きだな〜特に。
・現代神話
馬人(ケンタウロス):タナベくんと奥さんのポジティブさと言うか、明るくてほわ〜っとしてて前向きな雰囲気が良い。関連づけて考え出したらキリがないけど、兎に角奥さんカワイイ。大きいパンツもかわいい。文句言わずに精進料理で痩せていく旦那さんもカワイイ。ほんわかする。タナベくんがベンチに腰掛けた図もかわいい。そして少しホロっとする。
・竜の学校は山の上
ヒリュウのよし子(4)がめちゃくちゃ愛い。もはや尊い。P.237〜の一連の流れがとてもスキ。
「竜なんか役に立たないから大切にする意味はないと言われても〜」てアズマくんの問いに対する香野橋部長のセリフ…あと「世の中にはなーふたつのものしかないっ〜」に痺れた。
キツネのブドウ。
Posted by ブクログ
この作者はほんとに竜が好きですね。
他の作品集に比べて描き込みが少なくてさみしいところが多いですが、
十分楽しめる一冊かと思います。
私は嫁さがしの話が一番好きです。
Posted by ブクログ
RPGで魔王を倒したことがある人は読むべき漫画だ、たぶん。
ゲームしないからわからんけど。
RPGというわかりやすい勧善懲悪ものも(知らないだけでそうでないのもあるかも)、久井ワールドでは「ラスボス1人倒しただけで世の中平和になったら苦労しないわ」ということになる。
ゲームにはゴールが必要だけれども、現実の世の中に「ここにさえたどり着けばすべてが解決」というゴールはない。
でも、じゃあ現実がゲームみたいだったらよかったのか?
答えが一つの世界ならよかったのか?
争いの元は絶やせばいい、猿人(ホモサピエンス)と馬人(ケンタウロス)のどちらかしかいない世界にすればいいのか?
というと、
「そーかもね
でもちょっとだけつまんなかったかもね」
(from『現代神話』)
なのだと思う。
答えはわからんけど、諦めないよ。
諦めるということは見捨てるということと変わらない。
希望こそ、勇者がくれたものだ。
……というなんか説教臭いレビューになってしまうんだけど、久井さんはこれを、全部ファンタジーの体をとっているのに妙に現実くさく、笑えるほどしょうもないレベルに落として、私の隣で喋ってくれるので、笑いながら、ぎくっとしたり、あああーーー…あるよなあ……となったりする。ないよ。同僚がケンタウロスだったり、クラスメートに羽生えてたりはしないんだけど。
でも似たような「異種」はいくらでも隣にいるんだろう。私が異の方かもしれない。
でもどんなに異に見えても、きっと「なーんにも変わらない」んだろう。ケンタウロスに言われてしまうとな…。
そんなもんだと考えれば、いくらか、一緒に暮らしていくための良い意味での諦めと希望が見えてくるような気がする。
まあ、しょうがないか、という感じで。
Posted by ブクログ
ダンジョン飯の人。この作品を買ってなかったらダンジョン飯を速攻で買おうとは思わなかったかもしれない。
ファンタジーものとして読み応えのある作品群です。
Posted by ブクログ
魔王退治から帰ってきた勇者の話「帰郷」
美女と野獣的な「魔王」
和風な神様の嫁探し「代紺山の嫁探し」
あたりが好きです。
でもこの本は馬人の話が長すぎだったと思う…。
Posted by ブクログ
表紙の画的に、ダンジョン飯から入ったからそういうマンガかと思うじゃないですか。
最近割と書かれてるような気もする、「世界を救った後のファンタジー勇者」に関する話がいくつか。そこからグラデーション的に、現代日本にモーフィングしてくるファンタジー世界がやってきたら、のSFがいくつか。
面白い。ファンタジー好きなんだろうなぁ。
「必要なものと、これから必要になるもの」というのは、ものすごく重要な視座だと思いますよ。「今不必要なもの」に対する施策が如何に多様性を殺してきたのか。
おもしろい。
Posted by ブクログ
電子書籍にて。
風邪を引いて寝込んだ時に、読みたいものから選んでみました。
いろいろファンタジー詰め合わせ。
読みやすかったし面白かった。
ブラックがきいてたり普通に笑えたり。
帰郷
魔王
魔王城問題
支配
代紺山の嫁探し
現代神話
進学天使
竜の学校は山の上
くず
Posted by ブクログ
現代の日本(?)に竜がいて竜学科のある大学があったり、背中に羽が生えていて飛べる人間がいたりと、世界観が独特で面白かった。
勇者が魔王を倒したその後の話は切なかった。
Posted by ブクログ
少しシニカル、ユーモアがあり、センチメンタル。
懐かしい感じがするショートショートSFです。
翼人や飛竜が飛び立つ場面が好きです。
若干痛みを伴う不思議な爽快感があります。
Posted by ブクログ
丸井鯨子さんの作品は・・・「ひきだしにテラリウム(2013)」、「九井諒子作品集 竜のかわいい七つの子(2012)」に続き・・・ 『竜の学校は山の上 九井諒子作品集(2011)』 ”進学天使”が切なくてよかったなー。
Posted by ブクログ
一言で言い表わせない面白さ。何か不思議で、非現実的なのに実際ありそう。神様を娶る話、普通はあれでめでたしめでたし、欲張りのお父さんは…な話かと思うけど、なぜお父さんが、というラストシーンが絶妙。
Posted by ブクログ
"「権平
わしを村まで送ってくれたせいで帰れなくなったんだな
すまんかった すまんかったなぁ…」
「おみつ
違うぞおみつ 皆から忘れ去られ山を去ろうか迷っとった時にお前と会った
自分のことは忘れても お前のいるこの山を守りたいと思ったからこうして戻れた」"[p.110_代紺山の嫁探し]
「帰郷」
「魔王」
「魔王城問題」
「支配」
「代紺山の嫁探し」
「現代神話」
「進学天使」
「竜の学校は山の上」
「くず」
「あとがきマンガ 金食い虫くん」
ページが足りない
カバー裏のおまけマンガが電子版に収録されてない・・・。天使の話はアレ含めてオチでしょ!?!?!?
なんでそんな愛の無い電子化するの・・・
期待してましたが
つまらない話ばかりでした。
ギャグもなく、主人公達は魅力もないし、マニアックな話が淡々と続いていく感じです。
ダンジョン飯が大好きなので、似た世界を期待して痛い目にあいました。
ただ、ダンジョン飯の基礎にはなっているのかと思うネタがいくつかありました。