あらすじ
「犯人役を演じてもらいたい」と世界有数のゲーム会社・メガロドンソフトからの依頼で、VRミステリゲームのイベント監修を請け負った加茂冬馬。会場であるメガロドン荘に集ったのは『素人探偵』8名、その中には「幽世島」の事件に関わった竜泉佑樹もいた。だがイベントは、探偵と人質にされたその家族や恋人の命を賭けた殺戮ゲームへ変貌を遂げる。大切な人と自身の命を守るには、VR空間と現実の両方で起きる殺人事件を解明するしかない! 次々と繰り出されるトリックと鮮やかなロジックが圧倒の、『時空旅行者の砂時計』『孤島の来訪者』に連なる〈竜泉家の一族〉三部作。
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Posted by ブクログ
竜泉家シリーズ第三弾にして最新作。
今回は冬馬と佑樹の二人がタッグで謎を解き明かすという形式。オンラインゲームの試運転のため孤島へ呼び出された8人の"自称探偵"がVRゲームで起きる事件と現実で実際に起きる殺人事件の真相の二つを解明すること。真相を見抜かれる・自白すると問答無用で参加者の大切な人と共に死亡するというデスゲームであった。
今までとは違い、人外もタイムスリップもない現代的なストーリーでかつ“読者への挑戦状”が2回も設けられている非常に濃い作風で飽きさせずに読めてとても面白かったです。展開も何回も裏切られるものばかりでページを捲るたびに驚かされて読み応えがありました。そして前作・全然作で出てきた描写や伏線も回収している所があるので是非読む際は、事前に読むことをお勧めします。3部作と銘打っているが続編がありそうな雰囲気もあるので新作を待ちたいと思います。
この作品をアニメ化した際の声優陣を自分なりのキャスティングしてみたので読む際に参考にしてください(敬称略)。
加茂冬馬:木村良平
竜泉佑樹:下野紘
六本木至道:大塚明夫
不破紳一郎:津田健次郎
未知千明:釘宮理恵
東柚葉/椋田千景:小清水亜美
乾山涼平:内田雄馬
棟方希:悠木碧
椋田千景/東柚葉:沢城みゆき
十文字海斗:宮野真守
椋田燿司:中村悠一
加茂怜菜:高橋李依
三雲絵千花:佐倉綾音
マイスター・ホラ:森川智之
Posted by ブクログ
方丈貴恵、大好きすぎて困る。
推しの加茂がこれでもかと活躍する話です。あと佑樹くんも!
登場人物に馬鹿がひとりもおらず、読者(わたし)が一番の馬鹿なので、物語がめっちゃスムーズに進む。ゆえにストレスがなく、ただひたすら感嘆する。
犯人を当てるところ、名前聞いた瞬間うおおおって叫んじゃった。なんとなく犯人の目星はついていたんだけど(勘です)、最後の最後でその展開はお見事。好きすぎる。
素人探偵に対する憎しみっていうのは阿津川辰海の館シリーズでも見た話なんだけど、それより説得力がある話だった。
運命とは皮肉なもんだ。
毎回毎回オチが一筋縄ではいかぬものばかりで痺れる。
方丈貴恵、大好き!推し!
Posted by ブクログ
まさか続編とは知らず読んでしまった……笑
ミステリーといえばトリックが肝になってくるが、とても面白かった。
ミチ殺しの気圧差を利用したトリック、そしてユウキ殺し、ケンザン殺しで使ったVRならではの館自体の大きさを変えたトリック、特に後者は想定できなかった……また、現実空間での棟方殺し、不破殺しも面白い観点だった。
また、この著者の特徴なのか、途中で推理できるポイントを挑戦状として書いてくれてるのは楽しかった。
一番はプロットの面白さだった。
犯人の視点として3事件、探偵として2事件を扱う構成はなかなか無い面白い展開だった。
更には、最後の東が千景であった驚き、犯人の目的はこの空間だけでない全素人探偵の殺害であったことなど、どんでん返しの展開も素敵だった。
(本書全編にわたった伏線の張り方も自然で良かった)
とても満足しましたー!
Posted by ブクログ
めちゃくちゃ面白かった。
竜泉家シリーズの完結作。ミステリ・メイカー2の試遊会に招待された加茂冬馬、竜泉佑樹を含む8人の素人探偵達。しかし彼らを待ち受けていたのは楽しい試遊会などではなかった。それぞれ人質を取られてしまいVR空間と現実世界で起こる事件を解決しなければならなくなってしまう。
竜泉家シリーズではお馴染みの読者への挑戦とクローズドサークル。さらに3部作の完結編という事もあり孤島とVR空間の2重のクローズドサークル、2つの読者への挑戦とボリューミーになっていて読み終わった後の満足感がすごい。
今回のトリックも先入観を捨てて考えなきゃいけないようなトリックだった。1作目の砂時計は1つしかない、2作目はマレヒトが1人しかいない、今作は犯人役が1人しかいない、自分が今いるのは傀儡館、本当の椋田千景は誰なのかと、自分が前提としているような事がひっくり返されるのがこの竜泉家シリーズの特徴だと思う。それに人の身長が変わったり、気圧を下げたり、自分がVR空間にいるように錯覚させたりとトリックの規模がデカくてぶっ飛んでてめちゃくちゃ面白かった。
それに、毎回この人が犯人だったら面白いなーって人が犯人で期待を裏切らない。今回の東柚葉(千景)も終始いい人キャラだったから犯人だと分かった時はびっくりした。
最後にマイスター・ホラが出てきたのは激アツだった。それに加茂がマイスター・ホラを渡した少年が乾山だったと判明したのも良かった。
ここまで3作品読んできた中だと2作目の孤島の来訪者が1番好き。竜泉家シリーズはどれもめちゃくちゃ面白かったし大満足。
最高だった。
Posted by ブクログ
シリーズが好きになり、期待大にして読んだからこそあえて星4かなと思います。
私自身特殊設定は受け入れており、だからこそVR空間を用いたトリックには頷け、ハウダニットとして十分楽しめました。
しかし、シリーズとして何か言葉にできない物足りなさを感じてしまったのも事実です(一気読みできなかったからかな?)。犯人の動機?前2作で得られたような読後感?
シリーズとして楽しんできて、なお高い期待値だったからこその消化不良感がありました。
ですが、作品として徹底した場面設定と特殊設定、館ものとしての緊迫感などなどミステリ好きとして楽しめました。
Posted by ブクログ
《竜泉家の一族シリーズ》第三弾。一作目の加茂冬馬と二作目の竜泉佑樹が共演する嬉しい筋立て。VRゲーム「名探偵に甘美なる死を」の中で連続殺人が起き、そのからくりと犯人を探偵が解く。
開発者の椋田千景に犯人役を指名されたのは加茂。招待される探偵役の中には、竜泉佑樹がいた。
ゲームの中だけの事件のはずが、主催者の復讐のために、探偵自身とその家族や恋人の命を賭けたデス・ゲームへと変わった。生還するには、現実世界とVRの両方で起こる事件をすべて正しく推理しなければならないという。
最初は緊迫感があり、どんどん読み進められたが、途中からそれが薄らいだのが残念。VRで起こる事件の方は犯人側からの視点になるので、驚きがあまり無いせいかな。
また、集められた探偵たちが主催者曰く「素人探偵」なので、鋭い頭脳戦のようなものが感じられず、特に不破さんの推理などとても人間臭くて驚いた。探偵たちもVR事件の方は正しく推理してしまうと犯人役の加茂が主催者に殺されてしまうので、遠慮する様子が描かれていて、そこも少し残念。
役割分担が「犯人役」「執行役」「探偵役」と入り乱れており、しかも人数が複数。舞台もVRと現実の館の両方。そして、主催者は自分の興が乗れば推理が一度間違っても探偵役におまけしたりする。かなり混乱しながら読んだ。
ラストはやはりどんでん返しが複数あって良かった。《竜泉家の一族》に平穏あれと願いつつ、四十五年後の話も期待しています。