あらすじ
1999年末、超新星爆発によって発生した放射線バーストが地球に降り注ぎ、人類に壊滅的な被害をもたらす。一年後に十三歳以上の大人すべてが死にいたることが判明したのだ。“超新星紀元”の地球は子どもたちに託された……! 『三体』劉慈欣の長篇デビュー作
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Posted by ブクログ
劉慈欣の長篇デビュー作『超新星紀元』は、彼がまだ20代後半だった1991年に初稿が書かれた作品。
物語の始まりは1999年末。地球から8光年離れた恒星の超新星爆発による高エネルギー放射線が地球を襲い、やがて13歳以上の人類が死に絶えることが判明する。大人から子どもへ文明が引き継がれ、「超新星紀元」が幕を開ける。
そして本書自体も、超新星紀元から約30年後に編まれた「歴史書」のような体裁をとっている。
ある時点から世界に13歳以下のこどもしかいなくなってしまったら?
という設定の中で、子どもらしい無垢さと残酷さが入り混じった人類文化のシミュレーション小説。
大人にとっての労働の対価は経済的なものだが、子ども達にとっての報酬は遊びとなる。
ここだけ切り取れば純粋無垢な人類の新時代が幕開けそうだし、作中でも13歳未満の各国首脳クラスの権威が集まる国際会議で実施された最初のゲームらしきものはアイスクリームを一番食べれたリーダーがいる国が勝ち!程度のものだったけど、状況はどんどんエスカレートしていく。地球の温度が上昇したことをきっかけに南極が居住可能な地域となり、その南極の上でオリンピックの体裁をとった世界大戦が実施され最終的に50万人の子ども達の命が失われる。
無情にも南極の温暖化は一時的なもので、戦争の決定打が施行された直前頃から、南極は再び極寒の地に戻り子どもたちは自国に返っていく。話がここで終わらないのがさすが劉慈欣先生で、最後のゲーム「米国と中国の国土交換」は詳細は書かれていないものの、その国の歴史や文化が子ども達に与える遺伝子レベルの影響を浮かび上がらせてものすごく哲学的だった。最後の数ページで若干ふざけてるのも個人的にはかなり好きでした。
読みながら本当にいろんなことを考えたけど、行動経済学的な論点で考えると、登場人物が子どもたちな割にはちょっと合理的すぎるところはあったかも。言い換えれば子ども達の力を信じているってことになるのかもしれないけど、13歳未満の子どもたちが「自国の影響力を勝ち取る」というモチベーションで行動を起こすには、まだ愛国心や動機が足りないんじゃないかなと思う。
それでも一部の天才的な子ども達を加えることで、大人の世界だったらそうはならんやろという意思決定が積み重なっていくのは思考実験としては始終ニヤけながら読んでしまうほど面白かった。
権威を引き継ぐ器を持った子どもを選別するシミュレーション、大人がいなくなった直後の絶望と孤独による混沌、大人世界を真似する慣性時代、大人のシステムで働く意義を見出せないための怠惰、新しいゲームとしての戦争の魅力。こんな前提があると、こんな群集心理になるかもっていう仮説作りがデビュー作の時点でセンスありすぎて最高でした。
(引用)
メガネはうなずいた。「そういうこと。生命の価値をほんとうに理解するには、長い人生経験が必要だ。子どもたちにとって、生命の地位は、大人時代と比べてよりもずっと低い。不思議なのは、大人たちがどうしていつも、善良だとか平和だとかいう概念と子どもとを結びつけようとしていたのかだよ」
ルールと合意は、システムの確立を意味する。いったんシステムができあがれば、それは慣性を持つ。そうなれば、一方の当事者によるルール違反はシステムの破壊につながり、計り知れないほど重い結果を招く。ここで重要なのは、こうした戦争のシステムは、ゲーム思考が決定的な影響力を持つ子ども世界でのみ形成可能で、大人世界では成立しないということだ。
Posted by ブクログ
ようやく読めました、劉慈欣の長編一作目!やはり一作目なので荒削りで、最初の盛り上がりから、途中でお?となり、おお?となって、なんか終わった笑という感じでした。
14歳未満の子供たち以外が死滅するという設定は超面白いし、それまでに大人たちが必死に子どもたちに何かを残そうとした最初のパートはお涙頂戴のエンタメとしてはぐぐっと読ませる面白さがあった。ただその後の展開としては、超スーパーコンピューター最初だけしか登場しないじゃん…?とか、いくら子供でも戦争途中で止めるんじゃない?とか、こういうことしているうちに大人になっていくわけで、そうしたらやっぱり《西暦時代》と同じような習慣になるんではないか?とかハテナハテナなまま話が進んでいく感じで、そこが「まあ長編一作目だもんね!」というとこで差し引きながら読む感じ。南極でのオリンピックという名の大戦争や、国土交換ゲーム(ゲーム?)など、話が飛んで行ったと思ったらさらに飛んでいきました…このあと三体に繋がっていくんだなあといういつもの感慨はありましたが、よく考えると三体以降、劉慈欣長編書いてないんだよな…三体を超えるものが出てくるのか…気長に待ちたいと思います。『白亜紀往時』も出るとのことなので。
Posted by ブクログ
三体シリーズ並みの期待値で読むべからず。デビュー作ということで粗削り感は否めないですが劉慈欣パワーやこの後の作品への進化は感じ取れるので読んで良かった。
Posted by ブクログ
最初の設定は面白かったが、その後の流れについては正直「すごいAIがいるならこうはならないのでは……」という気持ちが強くてあまりのめり込むことができなかった。
Posted by ブクログ
超新星紀元を読んだ。これは劉慈欣の最初の長編ということで内容が初々しい感じがした。
だいぶ多くの劉慈欣の作品を読んできたので、その1つとして楽しむことが出来た。
この本の内容としては、大人が一度に死滅して、子どもたちが中心の世界になるとどのような社会になるのかを思考実験するという本だった。
最初の大人たちが子どもたちの将来のためにいろいろなことを教えて準備していくパートは、文化祭の準備のように一つ一つ課題を進めていくという点で、ワクワクして面白かった。
また、この準備がそのまま子どもたちのためにはならないという点が、作者の皮肉が効いていて良かったと思う。
中盤以降は子どもたちの目線で社会を作るために、大きく大人社会とは考え方自体を変える必要があることに気づくということが面白かった。
大人は経済合理性や倫理性にがんじがらめになっているが、子どもは遊びを中心に社会を作っていく。
フェーズが代われば、前提も大きく変わる。そして、そのことに早く適応することが重要だなと思った。
終盤では、遊びをどのように実装していくかという点がストーリーとして書かれている。
このあたりの話が長く冗長に感じた。これは最初の長編デビュー作らしいなと感じた。
もう少し、最後までまとまっているとなお良かったと思うが、そのあたりは三体できちんと最後まで書ききったのだなと思われる。