あらすじ
落ちこぼれの聖女見習いであるリシーは、ほとんど神殿を追い出されるかたちで、ある難しい命令を受けることになった。それは救国の英雄、魔術師ヴェロスを王都へ連れ戻せということ。ヴェロスは人を寄せ付けない森の奥深くにこもっており、わずかな人間しか彼の元へはたどりつけない。リシーはなんとかヴェロスの元へたどりつき、交渉によってヴェロスを王都へ連れ戻そうとするが、ヴェロスはまったく聞く耳を持たなかった。恩人のため、リシーはなんとしてもヴェロスを連れ戻さなければならない。しばらくヴェロスの元に居座ることにするが、やがて、英雄とまで呼ばれたヴェロスがなぜ突然人々の前から去ったのか疑問を抱くようになり……?
...続きを読む感情タグBEST3
泣いた
作家さん買いです。
すさまじく優しくて切ないお話で、ついつい何度もじわっと涙が出ました。
リシーという生き方とヴェルの生き方と、2人につながった運命とが美しい描写と時にコミカルに描かれていて、終盤はもう切なさの嵐。
リシーの異能の力がとっても意外で、すっごく重要な鍵を握っていました。
それだけではなく、リシーという女性の話を聴く力がすごくよくて、異能だけではなく、無力な人間であっても元気になるためにするべき小さな工夫に満ちた優しいお話でした。
アミナの率直さや優しさ、のんびりとした様子も大変よかったです。
そして2人がとても素晴らしい旅をしていることがラストに語られるのですが、そこはもうついニコニコしてしまうし、涙も出ちゃう素敵なラストになっています。
ウィステリアとロイドのシリーズも好きだけど、こういう単発のものも色々読めると嬉しいです。
次回作も楽しみ!
題名は軽いけど内容は重い
帰りたがらない英雄の過去、無くしていた主人公の過去が背負いきれないほど重い。
何の疑問も抱かずただ王家の駒として動いていた英雄が自分はただの侵略者であったと自責の念に苛まれるところにはハッとさせられました。
心を壊していた英雄が動きだし、無くしていた過去に向き合って生きていけることになった2人。
読後感は良かったです。
どちらも捨て子の教会育ち
どんなにお祈りして修行しても、聖女になるための異能(才能)に恵まれず、落ちこぼれのヒロインと、厭世して森の奥に引きこもっている「王の剣」と言われた魔術師。
どちらも捨て子で、教会育ちなのが共通点。
だけど、それだけではない何か別の縁がありそうで。
読んでいてワクワクします。