あらすじ
密林を、二機のASが駆け抜ける。深い緑に白と黒のコントラストが踊る。メリダ島基地に帰還した宗介に上官クルーゾーがAS戦を挑んだ。白の超兵器アーバレストと漆黒のM9。圧倒的なまでの技術の差。だが、勝負は宗介の完膚なきまでの敗北に終わった。「“存在しない技術”が制御できない!」憤る宗介を挑発するように、さまざまな思惑を秘めテロリストが破壊の行進を開始した!一方、東京。残されたかなめは、正体不明の尾行者の影に怯えていた。気配は、第二の護衛[レイス]か?それとも新たな暗殺者のものか?不安と絶望に蝕まれた彼女の心に、あまりにも危険すぎる決意が生まれようとしていた!宗介とかなめに、試練の時が訪れる。彼らは、ふたたび出会えるのか?人気シリーズ、待望の最新刊!!【この作品は表紙イラストが新しくなった新装版です。本編や収録イラストの変更はありません】
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Posted by ブクログ
前巻でしっかり積み上げたものをまとめる形。宗介の心情に限りなく寄せて描かれた今作は今までに無い魅力を発している。宗介を揺さぶる役目と立ち直らせる役目を担うそれぞれとの会話も王道ながら大変好ましい。かなめのアクションも短編で見える性格も活かしつつ激しく行なわれ、手に汗握る展開と言って良い。基本的にはかなめメインの話だが、しっかりテッサもヒロインとして扱えている構成もまた良い。
何度も蘇ってきた奴の止めを直接目前で行ったことによって読者としてもはっきり確認できたことに、今回からレナードが姿を現すことによって今後の展開への見通しがはっきりする点も優れている。また、ミスリルと別系統のブラックテクノロジーを持っていることも描かれており、今巻のエピソードだけのための展開ではない所に高い構成力を感じてならない。
AIのアルとの遊びのシーンのおかげで最後の展開が違和感なく飲み込め、かつ熱い。
一点だけ不満があるとすれば、クルーゾーが後半になると目立たなくなることくらいか。宗介を追いつめた所まで目立ってたのだからもう少しこの話の中で触れて欲しかった。今後の長編に期待したい。