あらすじ
臨床犯罪学者・火村英生と推理作家・有栖川有栖のかけあいが楽しい「作家アリス」シリーズの短篇集。「とっておきの探偵にきわめつけの謎を」──火村英生のもとにprof. Rを名乗る者から送られてきた犯罪予告めいたファックス。トリックの小さな綻びから犯罪が露呈する表題作ほか、過去の影におびえる男の哀しさが余韻を残す「長い影」、殺された男の側にいた鸚鵡(おうむ)が真実を暴く「鸚鵡返し」など、ごく短い掌篇から短篇まで珠玉の作品が並ぶ1冊。
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先生とアリスのペアが光ってます
作家アリスシリーズは火村先生とアリスの両方がいて成り立つ世界なんだなぁと改めて感じられる話の集まりで、短編集では1、2を争うくらい好きです。
【鸚鵡返し】
新聞を読めとニヤニヤしながらアリスに指示され、面倒臭いと言いながらも素直に読む火村先生。こういう風に友人関係が描写されるのは珍しいと思うので、読んでいて楽しいです。
火村先生からアリスへの言葉だけで完結する、何だか凄い構成の短編。
【火村英生に捧げる犯罪】
個人的に大好きな話です。中編。
アリスには、盗作疑惑を指摘する電話。
大阪府警には、火村先生への恨みから事件を起こすと予告する手紙。
京都府警の管轄下では、殺人事件。
火村先生は入試の試験官で、大学から動けず。
場面がテンポ良く変わり、アリス以外の場面では第三者視点です。「柳井さんは火村先生のことを『大胆なようで慎重』と認識してるんだな」とか「茅野さんと森下君のアリス評が、辛辣なんだか親愛の情があるんだか微妙!」とか、第三者視点は面白いです。
森下君から「いつも見事にはずしてくれますもんね、あの人」などと言われているアリスが、京都の殺人事件の捜査に首を突っ込んだ瞬間その事件が解決したというのが、この話の一番面白いところだと思います。
更には犯人が、事件を解決するのはアリスで、火村先生は単なる付属品だと思い込んでいたことを、火村先生が冗談か本気か悔しがっているのも見所だと思います。
今回の火村先生は安楽椅子探偵です。ともに電話で聞いた、アリスの話と大阪府警の話を、京都の殺人事件に結び付け、アリスに京都の捜査へ加わらせてもらえと指示し、アリスが加わった瞬間に解決。
二人ともが存在したから解決したというこの展開は、作家アリスシリーズの最も重要な部分だと思います。「タイトルの割に事件がしょぼい」とか批判もあったそうですが、火村先生が主役に聞こえるタイトルでアリスが活躍(?)、いかにもな感じでとても良いと思います。
【雷雨の庭で】
中編。読むたび思いますが火村先生は一人でフェンスに登れば事足りますよね。推理作家であるアリスに「本物の犯行現場ではこんな場所にこんなふうに証拠が残るんだぞ」と教えようとしてるんですかね、普段から。それを野上刑事に見られて「日向ぼっこをする野良猫」と言われていて面白いです。
8編全て面白いです。
Posted by ブクログ
火村シリーズの短編集。 短編だと、ある程度犯人が直感ではわかるのどけど、トラックは全くわからないので、当たりをつけて、そこに向かって火村の話を聞いたり、アリスの珍推理を聞けるので楽しい。 うわ、これは短編でいいの?って入りが、実はおふざけ的なきっかけで解決したり、刑事たちもアリスはおまけって思っていて、でも好かれているのも面白い。 重厚な入りで、2人それぞれがピンチかと思ったら実は、みたいなのも2人のつながりあってこそ解決できたり。顔を合わせなくてもナイスコンビなのは、羨ましい関係。
Posted by ブクログ
面白かった!本格ミステリのショートショートっていいね…!
鸚鵡返し
火村先生の語り口調可愛い、、
あるいは四風荘殺人事件
謎が好きだった
火村不在のアリス可愛いし、
アリス不在の時に警察に「あの人の推理が当たったことあったか?」って言われてるアリス可愛い、、
それなのに優しくしてくれる警察たち優しい(笑)
火村英夫に捧げる犯罪
表題作だし、先生の名前入ってるし、どんな長編なんだ?!って思ってたら、
中編だし、結局アリスが出てこないように火村先生に脅迫状を送ってたとか、、いいなぁ(笑)
まさかのアリスが現場に行ったら一瞬で解決するという(笑)
雷雨の庭
犯人の早瀬さんが地味に好きかもしれない。
飄々としてるところが。
たしかに、最初のセリフが「凶器は見つかりましたか?」はあかん気がする
いい感じの表紙に、このタイトル、そりゃ一体どんな犯人が出てくるのかとドキドキしちゃう。あとがきでも触れてあって思わず笑ってしまった。確かにママやら妻やらに捧げる犯罪だったら、犯罪者不在のいわゆる人が死なないミステリーっぽさがあるな。今度読んでみようかしらん。
鸚鵡返しや殺風景な部屋とかも変わりネタだったけど、ネタより火村の安楽椅子探偵ぶりに驚嘆。今回は二人で出掛けていって謎解きっていうの少なかったけど、「くるか、アリス?」「付き合えということやな」から受けるコンビの安定感に和む。
Posted by ブクログ
火村シリーズ短編集。
長編系は割と読んでいるが短編集はロシアン紅茶の謎以来か。
個人的には「あるいは四風荘殺人事件」「偽りのペア」、「火村英生に捧げる犯罪」が面白かった。
Posted by ブクログ
2011/6/10 メトロ書店御影クラッセ店にて購入。
2023/10/2〜10/4
2年半ぶりの有栖川作品。オール読物と携帯サイトJ-ミステリ倶楽部に掲載された色々なパターンのシチュエーションのショートショートや中短編。最初の「長い影」が一番かな。
Posted by ブクログ
(短編)火村&有栖シリーズ18
目次
長い影
1
2
3
4
5
6
7
鸚鵡返し
あるいは四風荘殺人事件
1
2
3
4
5
6
7
殺意と善意の顚末
偽りのペア
火村英生に捧げる犯罪
1
2
3
4
5
6
7
8
9
10
殺風景な部屋
1
2
3
雷雨の庭で
1
2
3
4
5
6
7
あとがき
文庫版あとがき
あるいは『火村英生に捧げる犯罪』の解説 柄刀一(つかとう はじめ)(ミステリ作家)