あらすじ
カタコーム戦役で皆を叱咤した城外の民の指導者、ジンバックが死んだ。弔いに訪れたベル一行は、城外の友人たちと再会し、酒と剣と恋に夜は更けてゆく。一方、飢餓同盟に身を投じたアドニスは、究極の治療薬にして猛毒「試者の灰」を手に城を襲い、王に挑みかかった。今度は敵としてベルの前に立ったアドニスは笑いながら問いかける。「俺を、斬れるか?」――冲方丁がおくる魂のファンタジー、狂騒の第3巻!!
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Posted by ブクログ
この広がった風呂敷はたたまれるのか?そんな疑問を抱きつつ。アース3巻。
押井守の「イノセンス」を彷彿とさせられる観念的な言葉の応酬。頭のどこかで許容と拒否がせめぎ合う。理解しようと務めるも浮遊する言葉たち。ちょっとしたトランス気分に陥ったのはさておき。
闘う。傷つく。失う。癒される。成長する。典型的な冒険譚の構造を持ちつつ、独自の理論をぶちかます。これがデビュー作二作目とは。いやはや。若者特有の熱量を出し惜しみすることなく放出。
若造がなんか青臭いこと言ってるよ。と、思う部分が大半ではあるが、読み物として惹きつける引力たるや。いやはや。さてさて。この風呂敷の行方を楽しみに四巻へ。
Posted by ブクログ
物語は転から転へ。影をまとって炸裂する懐疑。
それでも歩みを止めること無いそれぞれの登場人物。
そして表れる、いかにもなラストダンジョン。
ベルが、アドニスが、ギネスが、シェリーが、ガフが、それぞれの理由と共に闇の中を進んで行くあたり、物語も大詰めって感じでございます。
Posted by ブクログ
以前に単行本のときに読んで面白かったのですが、文庫化されて四分冊され、順次刊行となると、ちょっと二巻目が中だるみかなーと放置していた三冊目。事態も大きく動くし、何よりも集団戦の描写が圧巻。「マルドゥック〜」シリーズ同様の気持ち悪い敵に対してどう動くか、その描写の華やかさだけでも読んでいてわくわくする。こういうの読んでいると、映像化が及ばないものがあるっていうことを強く感じる。過剰なまでの言葉の海に溺れる幸せ、とでもいうのかな。
Posted by ブクログ
冲方さんの初期の頃のSF
マルドゥック・スクランブルから、こっちに飛んできた。
言葉の使い方が特徴的で、なかなか難しい。
でも物語は理解できるし、サクサク読める不思議。
Posted by ブクログ
逆から、読むんやーーー!!!
と、3巻目にして気づきました。
遅すぎ?
いままで、どういうことなんだと思っていた謎が、それだけでだいぶ解けた気がします。
なにかのアンチテーゼとして自分を確立していこうとすれば、ぶつかるのは当然。
そういう意味では、ベルも、アドニスも一緒。
そして、王国も、饑餓同盟も同じ。
それは、タイミングがちょっと違っただけの運命かもしれない。
それでも、その運命にあらがう。あらがうことすら運命づけられているとき、あらがうことで運命を超えられるのか?
次巻、怒濤のラストです。多分、怒濤のはず。
Posted by ブクログ
ベルの剣にべネットの結界、ギネスの指揮と物語として見せ場のシーンがつまった3巻。
どの登場人物も世界も剣も心や感情の戦いであって、この物語の世界における強さとは、力ではなく形なき意志。
物語が大きく動くほど感情は大きく動き、スポットライトを浴びる登場人物が多いほど、いくつもの感情に振り回される。
これは読むのが大変。
だけどそれがまた面白い!
Posted by ブクログ
氏のデビュー後、初長編。
発売当時、余りの高価さに手が出なかったので、文庫化が嬉しい。
ラブラック・ベル。
のっぺらぼうと称される一人の少女が、己が相棒の一降りの剣と共に、自らの由縁を探るヒロイック・ファンタジー。
氏が文庫本後書きに書かれたように、「主題と世界の構築と発見に特化した」初期大作をごらんあれ!
Posted by ブクログ
ドゥルーズの哲学を感じさせます。
浄化の後の主人公の変化、自らを由とすること、脱属領化することで受ける大きなプレッシャー“傷”を負い、さらに脱出する事で、真に主体の生成を演じることが出来る。自律する。
物語の要素の中に近現代哲学の要素が散りばめられている冲方氏の作品に惹かれます。
Posted by ブクログ
小説の中で登場人物が成長するのは良くあることだが、ベネットとギネスは成長しすぎの気もする。そして、アドニスとベルはどこに向かっているのか。賢者キティと愚者キティ、旅人の呪い。最終巻で全てが解き明かされ決着がつくのだろうか、悲劇に向かっている気がしてならないが、読む勢いがついて止まれないなぁ。