【感想・ネタバレ】決壊(下)のレビュー

あらすじ

戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

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Posted by ブクログ

ネタバレ

豊富な表現と筆力に引き込まれ、上下巻一気に読んでしまいました。読後は徒労感と悲しみが心を蝕ばみます。重くのしかかる小説です。

名も無い他人の底知れない悪意に恐怖しました。カフェで読み終えましたが、読後周りにいる他人を無性に怖く感じました。冷淡な社会に対して、信頼感をもてずにいる自分と、自分も他人から見ればその冷淡な社会そのものであるという事実に震えます。良介の最後の叫びには涙が止まりませんでした。

「空白を満たしなさい」「マチネの終わりに」に続いて読んだ平野啓一郎さんの作品でしたが、分人主義の鱗片がこの作品からも読み取れました。自分が知っていると思っている人が本当はどんな人間なのか、それは誰にもその人自身にも分からない。その決して埋められない距離に悲しさと救いの両方がないまぜになった感情をおぼえます。

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2018年03月26日

Posted by ブクログ

ネタバレ

最後まで読者をぞくぞくさせる感じ。登場人物の些細な仕草や言葉遣い。

最後に崇が持ってきた黒いバッグ、後で改めて中身見たのかな。怖すぎる。

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2025年08月01日

Posted by ブクログ

ネタバレ

⚫︎受け取ったメッセージ
信じることの難しさ

⚫︎あらすじ(本概要より転載)
戦慄のバラバラ殺人──汚れた言葉とともに全国で発見される沢野良介の四肢に、生きる者たちはあらゆる感情を奪われ立ちすくむ。悲劇はネットとマスコミ経由で人々に拡散し、一転兄の崇を被疑者にする。追い詰められる崇。そして、同時多発テロの爆音が東京を覆うなか、「悪魔」がその姿を現した! 2000年代日本の罪と赦しを問う、平野文学の集大成。芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞。

⚫︎感想(ネタバレ)
一度疑い始めると、とめどなく押し寄せる不信感。
宗の完璧さは高知能は、平均的な平凡を生きるには、解像度が高すぎて難しいのだろう。それゆえに宗は誰も信じられないのだろうか、、、人を信じることの難しさと折り合いの付け方について考える一冊。

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2023年11月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

深い心の闇。暗く渦巻く謎。
未成年者の犯罪。ネットを介した脅威。警察の横暴。
現実にありそうな恐怖。
それらを奥深く描いている作品。
犯人は主人公??と思わせるストーリー。ラストは辛いものでした。
難しい会話が続き、主人公・崇の言葉を理解していないところもあると思う。登場人物の心の声が痛い。
犯罪物の声は理解を絶する。殺人に快楽を覚える闇は、常人では理解できないが、そこをえぐるように描いているのが、ますます恐怖というか気味悪い人物像を想像していきました。
ラストは本当に痛い。悲しいとか、簡単な言葉では表現できません。
胸の奥に真っ黒なインクをこぼしたみたい。それが浸透してしまわないように……。そんな作品です。

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2018年03月19日

Posted by ブクログ

ネタバレ

感想
非常に内面的に切り込んだ作品。言い回しや文学的な表現が多いため、分からない部分もあるが、この作品を通して色々考えさせられることは間違いない。最後に何かどんでん返しがあるかと思ったが、救いようのないまま終わった。

残された家族の苦しみなど色々考えてしまう。被害者家族も加害者家族も生きていくのが辛い。

サイコパスはどうしても発生してしまうので一概に社会や家族のせいのするのは違うような気がする。

マスコミの過剰な煽りや一部の騒ぎ立てる人に社会が合わせていくと社会が成り立たなくなるし、みんなウンザリする。昨今の社会はそのような気配を多分に感じる。

あらすじ
バラバラ事件以降、模倣犯による犯行が相次ぎ、世の中は混乱を極める。そんな中、警察は兄の崇が怪しいとして逮捕勾留するが、自供を引き出せない。

そうこうする間に北崎が、同級生の女の子を殺害したとして、警察に自首し、京都での良介の殺害への関与も仄めかす。崇は勾留期間が過ぎたことで釈放となる。

事件は、お台場での中継中に再び起こる。北崎と共犯と思われる男が生放送中に自爆テロを起こして多大な被害をもたらす。

主犯は篠崎と北崎だったが、兄の崇への疑いは晴れない。父親が鬱で自殺し、母親も精神を壊していた。最後は兄の崇までも精神を病み、電車に飛び込んで自殺する。

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2024年03月04日

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