あらすじ
生命科学の基礎を築いた大発見の舞台裏
ワトソン博士ノーベル賞受賞から50年を記念して新書化
DNAの二重らせん構造はどのように発見されたのか
共同発見者のフランシス・クリック、モーリス・ウィルキンスらとの出会いから、「多才な巨人」ライナス・ポーリングの猛追をかわして、二重らせん構造の発見にいたるまでの、その舞台裏をワトソン博士が赤裸々に綴った感動のドキュメント。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
素晴らしい。科学史における最も重要な発見の1つであるDNAの二重らせん構造。重鎮ポーリングとの競争など幾多の困難を乗り越えその発見に至った経緯にとても感動した。当事者の視点から描かれたクリックなど個性的な登場人物や魅力ある展開にまるで映画を観ているよう印象を受けた。
Posted by ブクログ
以前ケンブリッジに住んでいたこと、そしてホリエモンの本で本書が紹介されていたということで、読んでみました。
クリックとワトソンがDNAの二重らせん構造を思いついた場所が居酒屋イーグルとガイドブックなんかには書かれていたので(そして店内にはプレートも飾られている)、てっきり二人がここで議論をしていてピカッと思いついたのかと思っていましたが、そんなことはなかった(笑)そうですよね・・・
どのように二重らせん構造にたどり着いたかワトソン目線で書かれており、興味深いのですが、主観的なのでその他当事者の意見も聞いてみたいと思ったり・・・
昔の話のようで、今もそんな感じなケンブリッジ。歴史の息吹が感じられるあの街並みや大学が懐かしく感じられました。
Posted by ブクログ
今世紀最大の生物学史上の成果といわれるDNAの二重らせん構造発見に至る、若き科学者による感動のストーリー。青春ドラマのような面白さに小説のようにのめり込むとともに、諦めることなく自分の好きなこと、大切にしていることに突き進む若きワトソンの姿勢から学ぶことは多い。
Posted by ブクログ
最近読んでいたいくつかの本で、この二重らせんが紹介されており、手に取ってみた。DNAの構造を発見した、科学者のうちの一人である、ワトソンによって、その構造を発見するまでのストーリーが本人主役で語られている。
自分自身は、化学は全然と言っていいほど知識がないのだが、印象に残ったのは、構造を検討するときに模型を組み立ってて考えたりしていたのだが、ワトソンってこの模型をいじってたか、ぶらぶらしてただけじゃないか?と(実際には違うのだろうが)。
この手の本って、ある重大な発見に向かって、謎解きのように、更に、科学的知識を少しずつ積み上げて理解できるように書かれたりしている物と思って読み始めると、なんじゃこりゃ?って思う読後感。
この本を予備知識なく読んで、DNAの構造解明についての化学的な知識を得られる感じはしない。
DNAの構造発見までの人間模様が描かれていて、当時の研究者の生活感みたいなものを感じることはできるので、その筋に行こうとしている人にとっては、役に立つと思う。 周りの研究者について、あれこれ描いてるが、ライナス・ポーリングは、本書に出てくるほかの科学者とは別格として認識されていた感じを受けた。
Posted by ブクログ
副題の「DNAの構造を発見した科学者の記録」とありますが、科学的競争が本当にリアルで読みやすくおもしろかったです。ただ、科学的知識がもっとあれば、理論的説明の部分の本質も読めておもしろかっただろうなと感じました。
Posted by ブクログ
門外漢には理解できない部分は多々あるが、科学の世界がどのようなものかがわかって実に面白い。
印象的なことは、それぞれが競争したり、時に敵対的になったとしても、根っこのところには皆、すばらしい発見に感動する素直な心を持っており、ライバルの発見であっても称賛するというところである。
ねたみや恨みはどのような世界でもあることだが、純粋に何かを追い求め続けるということの素晴らしさを感じる。
科学の世界にかかわらない一般人であっても、そのような心を忘れずにいれば、人生がもっと楽しくなるのではなかろうか。
Posted by ブクログ
とてもノンフィクションとは思えないノリで色々とぶっちゃけていてすごい本。これだけ主観的かつ率直に書かれていると潔いというか、むしろこのくらいでないと自伝なんて出す意味がないのかも。とはいえエピローグで登場人物全員に対してのフォローは入るし、他人だけでなく自分のことも良いこと悪いこと含め書き綴っているので、不快には感じなかった。
ワトソンとクリックといえば、生物学史でもっとも有名な人名といっても過言ではないくらいの存在だけども、実のところ実験らしい実験はほとんどしていなかったことがわかる。筆者であるワトソンは全編通して結構な頻度で遊びに出かけているし、わりとしょっちゅう女の子のことを考えていて、一見余裕でこの発見を成し遂げているように見えるけれど、DNAに目をつけた着眼点、各方面の知見を積極的に入手して、それらを25という若さで繋ぎあわせた能力は、やっぱり並外れていたんだなと感じた。科学者というと職人気質なイメージがあるけども、政治力大事。ワトソンはそっち方面の才能が突出していたんだと感じた。後年は研究所の所長に落ち着いたというのも頷ける。
それにしても、ワトソンを取り巻く環境のすごさといったらない。ノーベル賞受賞者のオンパレード。ハックスレイに鍵開けて貰ってたとか、ポーリングの息子と同じところで研究してたとか、面白すぎる。
ロザリンドは本当に不憫。彼女がいなかったらワトソン達3人の受賞はありえなかったのに。生きていたら一緒に受賞できたんだろうか。
Posted by ブクログ
ノーベル生理学・医学賞を受賞したワトソン博士による、DNAの構造を解析するに至るまでのドキュメントです。野心がぷんぷん匂ってくるような回想録になっています。あけすけな発言で物議を醸した本でもあります。
Posted by ブクログ
DNAの「二重らせん」構造は、1953年、分子模型を構築する手法を用いてジェームズ・D・ワトソンとフランシス・クリックによって提唱されたものである。二重らせん構造が明らかになったことによって、遺伝がDNAの複製によって起こることや塩基配列が遺伝情報を担っていることが見事に説明できるようになり、その後の分子生物学の発展に決定的な影響を与えた。この研究により、ワトソンとクリックはモーリス・ウィルキンスとともに、1962年のノーベル生理学・医学賞を受賞した。
この発見は、20世紀最大の発見とも言われ、その経緯と人間模様を描いた作品は、ベストセラーとなったワトソンによる本書のほか、クリックによる『熱き探求の日々』、ウィルキンスによる『二重らせん 第三の男』のほか、この発見の鍵を握っていたとされるロザリンド・フランクリン(1958年、この発見にノーベル生理学・医学賞が与えられる前に37歳で死去)の視点から描かれた『ロザリンド・フランクリンとDNA―ぬすまれた栄光』(アン・セイヤー著)等、多数ある。また、福岡伸一のベストセラー『生物と無生物のあいだ』(2007年)が、これを詳細に取り上げており(トーンはフランクリンに同情的)、私も同書を読んでこの発見の背景を知った。
本作品は、上述の通り、多数ある著作の中のワトソンの視点から書かれたものであることを踏まえて読む必要はある。私は既に福岡氏の著作を読んでいるため、少々斜に構えて読むことになったが、それでも、一般的な日本人とは異なる、ライバルを設定して一つの大きな目標へと突進するワトソン(とクリック)らの研究姿勢は、ある意味興味深いものであり、それによって(西洋)科学をここまで発展してきたとも言えるのであろう。
(2020年4月了)