【感想・ネタバレ】蒼穹の昴(4)のレビュー

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年05月09日

【あらすじ】
変法派順桂による西太后暗殺未遂事件を機に、西太后と光緒帝の間に決定的な断裂が生じる。そして、親政を開始した光緒帝は急激な改革に乗り出したが、一方の西太后は変法に逆行する懿諭を渙発し、情勢は混迷を極めた。追い詰められた変法派は、袁世凱を取り込みクーデターを企てるが失敗に終わり、光緒帝は幽...続きを読む閉される。文秀は同志と共に死を決意していたが、春児が占い師の預言が嘘であると知りながらも自らの運命を切り拓いた事実を知り、己の新たなる使命を見つけるため生きる道を選ぶ。大総管太監となった春児は、西太后から命の輝きに燃えるような首飾りを賜る。それは、かつて乾隆帝の命により、韃靼族の故地へ封じ込めた龍玉の代わりに郎世寧が作製した見事なヴェネツィアングラスであった。人間の可能性に限りがないことを、そのヴェネツィアングラスや郎世寧が蒼穹のなかに描いた昴が物語っている。

【感想】
全巻読むのに時間がかかったが、とても面白かった。史実と小説のバランスがよかった。帝党と后党の権力争い、乾隆帝時代のエピソードとのつながり、そして春児と文秀の行末にハラハラドキドキできた。中国史にとても興味が湧いた。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2020年04月16日

~感想~~~~~~~~~~~~
Mrs.チャンの重要度がどんどん上がる最終巻。
とうとう会っちゃう光緒帝と康有為。
そして王逸、予想外の着地点。

~登場人物~~~~~~~~~~~
・伊藤博文(日本初代総理大臣)


~ネタバレ覚え書きあらすじ~~~~~~~~~~~
とうとう紫禁城を去る事になった西...続きを読む太后。
身の危険を感じ離宮へと向かう行程を変えるも雷雨の中で爆弾を抱えた順桂から襲われるが、春雲の機転により無事。
恐怖で紫禁城に帰ろうとするがこの暗殺劇は光緒帝の企みと栄禄と春雲に諭され、ひとまず離宮へ。

康有為は光緒帝との念願の謁見を果たし熱く清の現状と未来を語り合い、改革の詔を次々と出すがすべて西太后に潰される。

その頃日本の伊藤博文が、李将軍からの密書により初代総理の座を辞して朝鮮に現れる。

身の危険を感じた光緒帝は譚嗣同を袁世凱の元へ。
栄禄を殺し西太后を包囲するよう交渉するが、袁は譚嗣同への嫉妬から栄禄側につく。
Mrs.チャンから愛する光緒帝の叛意を聞いた西太后は苦しむが、結局のちに光緒帝そして寵姫の珍妃を打ち据え、別々に幽閉する。

文秀と譚は日本公使館に逃れるが、光緒帝の結末を聞き死を覚悟し公使館を出るが、春雲が走ってきて泣きながら文秀を留める。譚は文秀を置き、ひとり死地に歩いていく。
のち、死に場所を得、愛する玲玲の前でにっこり笑って斬首される…

白太太とMrs.チャン春雲など多くの人から命を守られ、行程を助けられて文秀は玲玲と共に日本へ亡命する。

一方、死に損ねた王逸は「毛沢東」と名乗る少年に命を助けられ勉強を教える約束をする

西太后はまた、混乱した国をまとめる為そして近い将来に自らの手で滅ぼす為、紫禁城へと出御する。

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ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年12月22日

列強諸国に蹂躙される間際の斜陽の清朝時代の中国で、抗いがたい大きな時代の流れになすがままにはされるまいと踏ん張った人々の物語。糞拾いの春児は万に一つも裕福になる可能性のない運命を自らの手で掴みとった。文秀は皇帝を、ひいては中国という国全体を正しい道に導くために全力で奔走した。結果として2人が迎えた結...続きを読む末は、2人が目指した白太太のお告げのそのままとはいかなかったかもしれない。しかしそこには天命なんてものを凌駕する人間の力というものが働いていたと思う。また、個人的にもう一人の主人公だと思っていたジュゼッペ・カスティリオーネが偉大なるヴェネチアンという身分を捨て、郎世寧として西洋のバロックの芸術家も到達し得なかった「青」に到達したことが、誇らしかった。貧しい人々や苦しい人々の心を救う絵を描きたいと言って中国へと渡ったカスティリオーネの描いた絵画や、生み出したガラス工芸が何百年の時を経て、蒼穹の昴として春児や西太后をはじめとした中国の人々の心を救ったとき、人間の力は天の力をも超えるのだと思えた。岡やトムをはじめとする諸外国の記者団や、変法のために自らの命を捨てた順桂なども、その一人一人の働きは微々たるものかもしれない。しかし、作中で岡が演説したように、彼ら一人一人の行為は何ひとつ歴史を変えることが出来ないかもしれないが、彼らは確実に、あの時あの瞬間に歴史に「参加」していた。ただ時代の激流に流され、清朝が倒れていく様を傍観しているのではなく、自らの頭で考え、自らの足で行動を起こした。そうした積み重ねが未来を変えるのだと、今の私たちにとっても、身につまされるようなメッセージを受け取った。

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